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スタートアップ投資に関する一考~良い案件を探すことの難しさ

たまに「良いスタートアップないかな~」とか聞かれる事がある。「良い案件あったらお知らせしますね~」と答えるけど、多分そんなもんはない。他意があるわけでもなく。

同じように、「良い投資先ない?」、「良いポジションない?」、「良い案件ない?」とも聞かれる。私も無意識に言っていると思う。言っているときに悪気はないが、自分が言われるとフラストレーションに感じることもある。それは気を付けなければ、と。

全てにおいて「良い」案件などない。特にスタートアップなんて俗にいう「スタートアップ・シブがき隊問題」(今思いついたw)つまり、「ないないない」問題をどこも抱えている。金がない、人がいない、時間がない、だ。そしてプロダクトもなくアイデアだけのところもあれば、プロダクトはあっても客が無いところもいっぱいある。

「良いスタートアップない?」ってのは、無邪気な質問だけど、つまり「うまい儲け話ない?」とか、「楽な仕事ない?」って聞いている意図が透けて見えている場合が多い。そして、そんなもんはない。本当に他意はない。

スタートアップというのは可能性があるがリスクも問題もいっぱい抱える案件だ。じゃなきゃスタートアップじゃない。だから、万人にとって「良い」案件とはなり得ない。リスク投資とはそういうものだろう。

ましてやうまくいくスタートアップはみんなが探しているのだ。うまく行きそうになったら有象無象の投資家が群がるのだ。だから、我々レベルが”探して”そう簡単に見つかるわけもないじゃないか。

もし優秀なベンチャーに投資をしたいのであれば、「探す」というスタンスでは絶対的に無理だ。「引き寄せて、育てる」しかないのだ。引き寄せるためには自らも発信をしなければいけない。彼らの方から集まってくるように自分が魅力的にならなければいけない。

そして、駆け込んでくるなんにもない状態のスタートアップを、自らの時間と知恵と知識と資金を使って育てているのだ。それでやっとのこと立ち上がる。自ら思い入れを持ち、自分の物として心血を注ぐ必要がある。毎回真剣勝負だ。

挑戦する人を助けることは好んでやっている。私にとっては全てが思い入れあり可愛い虎の子の案件だ。だから、「良い」「悪い」という価値基準で判断されるのに抵抗がある。

裏も表も知っているから「良いスタートアップ知らない?」と聞かれても即答できるわけがない。どのスタートアップも旨い汁をすすろうとする人に「儲かりまっせ」といえるほど気楽な世界を歩いてはいない。

そして、そんな気軽な気持ちで来た人に、自分が思い入れを持っているスタートアップを紹介して、「あ~、あれだめだね~」と何の気なく言われたときの気持ちも察してほしい。まぁ、その気持ちもポジティブに変えるから率直に言ってもらった方が良いのだけど。

言いたいのは、「先ず隗より始めよ」ということ。最初から良い話、うまい話なんかない。それにたどり着くためには、周りから人脈をちゃんと作っていって、自分の周りの信頼を醸成することに投資をしていく気概が重要だ。

最初からリターンを得ることを想定するのではなく、次へつながるきっかけとなる投資も必要だ。まず、投資家としての実績作りも必要なのだ。

そして、その隗を、身近な投資先を、心血注いでちゃんと育てるのだ。リターンは直接は返ってこないかもしれない。しかし、苦しい時を支えてくれた起業家はその恩を忘れない。必ずや何かを返そうとするだろうし、引き寄せるという力につながるのだろう。

スタートアップ投資は「出るパチンコ台」を探すのとは根本的に違う。一つ一つが金銭的リターンを生まなくても、案件が無形の価値に変わり、つながっていきさらに引き寄せる。それが投資というものだ。

ないないない~♪

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