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5軸ルーターの木工にチャレンジ (2) 何をつくるか?

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さて、何をつくろうか。

真っ白な紙と鉛筆を渡されて、「なんでも好きなものを描いていいよ」と言われたらすぐに次々と描けますか? 私はそういうの苦手です。笑

what より how といいますか、エンジニア気質なので、お題があればそれをどうやって作るかというところに面白がるのですが、何でも作れるとなると困ってしまいます。そういうの得意な人から見ると、「作りたいもの無いのに何故作りたいの?」と思われるかもしれませんが、作るということ自体に興味があるのだから仕方ありません。

ちなみに、だいぶ前に3Dプリンターを使っていいよと言われたときにも悩みまして、最初に作ったのがこれでした。

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自宅にあるランプスタンドとランプシェードの軸の直径が違っていたので、それを埋めるスペーサー。

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地味すぎ。

前回の記事で紹介したShopbotで自分の欲しい物を作ろうとしたときも、すごく悩んで、結局切ったのはこちら。

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白樺の箸置き。工具の太さ(写真で削った経路の太さ)に比べて作品が小さすぎ!

そんなわけで、今回もBIESSE初体験で何を作るかって結構悩みました。VUILD社のエンジニアのみなさんが色々作ってるブログを読んだり、"shopbot" とか "CNC router" とかで画像検索してみたり。

そんなころ、学芸大の附属高校に行く機会がありました。Explaygroundでは、この高校の探究授業のお手伝いもしているのです。実はこの学校の教室ではユニークな机と椅子で授業が行われています。

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歴史的建造物の校舎は教室のサイズが特殊なので、それに合わせて特別に作られた木製の机と椅子なのです。

この机の構造が面白いな、これ作ってみようか、と思い立ち、次回ご紹介する CAD ツールでまったく同じ構造の机の設計図を描いてみました。

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この CAD ツールを使うのは初めてでしたので、ここに至るまでも結構苦労したのですが、設計が出来上がってみて、「じゃあこれをBIESSEで切り出そうか」と思ったときに、どうも躊躇する気持ちになりました。

まず第一に、これは接合部がとても多い家具です。木工で接合部はとてもデリケートで、CGならピッタリはまるものでも現物の木ではそうは行かない、接合部の内側になる方(オス)は 0.2-0.5mm ほど小さく作る必要がある、などとVUILDの方から伺ったので、かなり大変そうな予感がします。

もう一つ、こちらが大きな理由ですが、BIESSEは5軸のルーターで、斜めの面や曲面を削れるのが特徴なのに、この机ではそれがほとんど活きません。そもそも従来の家具は決まった大きさの木材をノコギリなどで切って作りやすいように設計されていて、この机もほとんどの部分は 2x4cm の角材で作るようになっています。それをわざわざ大きな材料から切り出すのはもったいないです。

というわけで、せっかく設計図を描いた机はスッパリやめて、ふりだしに戻りました。

どうしようかなあ、と考えていたときに、ふと自分の仕事道具に目が行きました。

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コロナ禍ですっかり自宅仕事が多くなったこともあり、ノートPCでは疲れるなあと思って最近購入したのが、PCスタンドとキーボードです。この組み合わせがすこぶる良いです。(余談ですがキーボードはHHKB無刻印です。) このPCスタンドを木で置き換えてみたいな、と思いました。

そういえばVUILDのエンジニアの人もPCスタンドを自作していました。彼の作品はコンパクトに折り畳んでしまえるところが秀逸なのですが、私は練習なので取り敢えず思いつくままにやってみて、せっかくなので曲線を多用して、ノートPCが現状と同じ位置と角度で固定されればOKとしましょう。

というわけで、ようやく作るものが決まりました!前回の記事で書いたひとつめの壁をクリアです。

次回は、具体的な姿を描きます。
いや、その前にBIESSEについてご紹介します。

(フジムー)

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