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モラルコンパス

"have a strong moral compass"

強い倫理観の持ち主である◆単純に「規則を守る」というニュアンスではなく、場合によっては「規則違反・命令違反だが、人としてこうするべきだ」と判断するような決断力が含意される(上官の非人道的な命令に従わない場合など)。◆【直訳】強い道徳の方位磁針を持つ ⇒ 何が正しいか自分の良心に照らしてしっかり判断 (英辞郎on the web https://eow.alc.co.jp/search?q=moral+compass)

赤木さんの名前を見るたびにモラルコンパスという言葉を思い出す。

赤木さんの犠牲の上に出世したり栄転していった人々の事もたまに思う。彼らはまず野心が強いとか日和見主義というのはわかる。ambitious opportunistは世界中どんな職場にもいるし、自分だってある程度はそうだから。赤木さんとの違いは忠誠心が倫理観の上にあったということなのではないか。「規則違反・命令違反だが、人としてこうするべきだ」という判断をしなかった。出世欲に加えて、組織(上司あるいは上司の妻)を守らなければいけないという忠誠心が「小さな倫理的な過ち」をどんどん正当化していって、それが公文書改竄や廃棄につながったり、大きな嘘を一生背負わなければいけない事になってしまった。もちろん組織への忠誠心は持つべき価値だとは思うが、倫理や良心は忠誠心の上にあるべきだと私は信じているので、だからといって忠誠心を貫ぬくために良心を犠牲にして犯罪者のようになってしまった彼らに同情しているわけではない。

赤木さんはなぜ積極的に内部告発者にならなかったのだろうかとも思う。けど、不正行為がノーム(普通の状態)になってしまった組織で、不正行為を内部告発するのは物凄く難しい。だって、不正が普通の状態だったら、それを指摘する方が異常者だから、”忠誠心”をまとった同僚や上司によってたかって攻撃されるだろう。

でも、でも、息子にはhave a strong moral compassと言いたい。そして倫理や良心を犠牲にしなければいけないことを会社に要求されたら、そしてどうしても拒否できないと思ったら会社を辞めて欲しい。良心の傷は一生残るけど、仕事はやめても次が見つかるからさ。