店舗のスタッフによるオンライン接客の事例まとめ
新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で、店舗で接客を行うことが難しい状況にあります。そのような状況のもと、ZOOMなどのテクノロジーを活用し、店舗のスタッフがオンラインで接客する取り組みをはじめている企業があります。
従来からあったECサイトでの販売にシフトするというだけではなく、店舗でしか体験できなかったことをオンラインに移行するという取り組みです。ウェブ接客という言葉は2015年頃から使われていましたが、「ウェブ上でまるで実際の接客を受けているような体験ができる」ではなく、「オフラインの接客をオンライン上で体験できる」というのが特徴だと思います。
オンライン接客の試みがいくつか始まっていますが、利用するツールや提供方法が企業やサービスによって違いがあり、その違いが興味深いです。この違いは、オフラインの接客や店舗スタッフの価値をどう捉えているか、顧客がどのような体験を求めていると考えているかが各企業によって異なるので、違いが生み出されていると思います。
そのような点に注目することで、これからのお客様との新しい関係性、オンラインでの新しい体験のヒントがあると思いますので、そのような取り組みを随時取り上げていきたいと考えています。
※取り組みは記事執筆時のものになります。最新の情報は各サービスのウェブサイトやSNSをご確認ください。
ZOOMなどビデオ通話によるオンライン接客
オールユアーズ(プライベートZOOM接客)
「着ていることすら忘れてしまう」がコンセプトのアパレルショップ、ALL YOURSでは、代表の木村さんが自ら「プライベートzoom接客」をおこなっています。
対面ですと、オンラインでも情報量は多いですし、僕らの服はライフスタイルにフィットしてもらえると一番いいので、あなたのライフスタイルやどんな事に興味をもっているのか?など、商品以外のことも色々お話させていただきます。(家具や本なんかの話もしたりしてます笑)
僕のアパレルショップの原体験は、ショップスタッフの人に服以上に、ライフスタイルを教えてもらったことなので、そういう話ができれば!と思っています。
服だけの話ではなく、ライフスタイルの話などもできるのはいいですね。オンラインは効率性を追求することが多く、わき道にそれることが少ないので、あえてそのようなムダ話をするのはとても大事なことのような気がします。単に、木村さんがおしゃべりが好きという説もあります笑
IKEUCHI ORGANIC(オンラインZOOMストア)
そして、そのオールユアーズさんの取り組みの刺激を受けたというIKEUCHI ORGANICさんもオンラインでの接客をはじめました。
こちらは、IKEUCHI ORGANICの京都店の店長、益田さんがZOOMで接客をしてくれるそうです。
IKEUCHI ORGANICさんがオンラインでの接客を始める理由によると、お客様からの「店舗スタッフと会話したい」「相談して選びたい」という声があったそうです。
IKEUCHI ORGANICでは、コロナウィルスの影響により、現在全ての直営店舗を休業していますが、休業中にコアなお客様から続々と、「お店に気軽に足を運んでいた時のように、店舗スタッフと会話を楽しみたい」「大切な方へのギフトを、タオルソムリエに相談して選びたい」と声が挙がりました。
オールユアーズさんもIKEUCHI ORGANICさんも以前からECサイトはありましたが、店舗での体験も大事にされていました。その体験がどこまでオンラインでも体験できるのか、これから実際に体験された方の感想が楽しみです。
AIR BUGGY(毎日つながるエアバギーストア)
ベビーカーのAIR BUGGYを提供するエアバギーストアでも、電話とZOOMによるビデオ接客を開始しています。
こちらは今までの2社と違い、リアルの店舗とつながることが特徴です。
オンラインビデオ接客は、ご自宅からスマホひとつでエアバギーのリアル店舗とつながってスタッフと直接お話いただけます。
スマホやタブレットの画面を通して、実際の店頭の商品をご覧いただけるのはもちろん、ベビーカーの機能や使い方など、スタッフが丁寧に実演を交えながらお伝えできるので「分かりやすい!」と好評のお声を頂戴しております。
アドバイスを受けたいというのもそうですが、実際の商品をしっかり確かめたいという要望にも答えているのは、ベビーカーという安心が求められる商品だからかもしれないですね。
ファクトリエ(オンラインコンシェルジェ)
メイドインジャパンの工場直結ファッションブランド、ファクトリエでは3月20日よりオンラインコンシェルジェを無料で提供しています。
オンラインコンシェルジュとは、ご自宅にいながらにして、店舗にいるコンシェルジュの接客を受けられる無料サービスです。テレビ電話でお互い顔を見ながらお話ししていただけます。
・メリット
1)自分の好きなタイミングで好きな場所でコンシェルジュの接客を受けられる。
2)店舗とつながっているので、気になる洋服を実際に画面を通じてご覧いただけ、ネット購入の際に気になる洋服の生地感・サイズ感、自分に似合う?などの悩みが解決できる。
3)ご自宅とつながっているため、お持ちの洋服をコンシェルジュが拝見することでコーディネートの相談もできる。
こちらも店舗とつながるタイプですね。自宅の洋服を見てもらい、コーディネートの相談もできるという点は、双方向性があり、通常の店舗での相談より便利かもしれません。
K.uno(オンライン接客サービス)
日本最大のオーダーメイドブランド「ケイウノ」では、ジュエリーのコンシェルジュ・デザイナーとZOOMを活用して対面で会話しながらジュエリーを検討できるサービスを提供しています。
オンライン上で、ジュエリーコンシェルジュが直接お話を伺いながらご提案します。
デザイナーによるデザイン画提案もリアルタイムで行います。デザイン・お見積もりにご納得いただけましたら、ご注文も可能です。
リアルタイムなZOOMによる会話以外にも、ウェブ上でオーダーメイドのデザイン依頼から申し込みまで完結するサービスやLINEで相談できる窓口も用意されているようです。
いい仏壇(オンライン相談とオンライン来店)
終活関連サービスを提供する株式会社鎌倉新書が運営する「いい仏壇」は、2020年4月30日より、仏壇店に行かずとも仏壇・仏具に関する相談ができる「オンライン接客サービス」を開始。
こちらもオンラインでの相談に加えて、オンライン来店も組み合わせ、商品を実際に確かめることができるというのがポイントですね。
1.オンライン相談
「仏壇・仏具について聞きたいことがある」など、店舗スタッフへの相談をビデオ通話で行うことができます。価格や商品ラインナップなどを納得するまで相談することができます。
2.オンライン来店
ビデオ通話を用いて仏壇店のスタッフとリアルタイムに会話しながら、仏壇・仏具の商品案内を受けることができます。商品のサイズや色味を確認し、自宅の設置予定場所に収まるか、周囲の家具との雰囲気に合うかなどを確認することができます。
栃木FC(グッズ担当者や選手によるグッズのオンライン接客、販売)
Jリーグの栃木FCでは、オンライン接客でグッズ担当の商品説明を聞きながら購入できる 「TOCKEY SQUARE Zoom支店」をオープン。選手も1日店長として、登場するようです。
「TOCKEY SQUARE Zoom支店」では、今シーズンより発売となった新グッズやおすすめグッズの紹介を行うとともに、各商品のサイズ感や色味などを直接グッズ担当者や選手(1日店長)に質問していただいたうえでご購入いただけます。
DIFFERENCE(オーダースーツの無料オンライン接客)
オーダースーツブランド「DIFFERENCE(ディファレンス)」は、自宅でも店頭と同じように注文や相談が無料でできる「オンラインご案内サービス」を開始。
プロのテイラーにスーツのサイズやコ-ディネ-トの相談をしながら、専用アプリを使ってご注文まで可能となりました。
専用アプリをダウンロードすることにより、注文~受け取り、その後の相談まですべてのプロセスをお好きな時にご自身の操作で完結でき、最速2週間で高品質なオーダースーツを受け取ることができる、デジタルとリアルが融合した革新的なサービスを提供しています。
もともと専用アプリで注文から受け取り、相談まで可能となるサービスだったそうですが、そこにオンライン接客が加わりました。こういうサービスは、今後も継続されるとよさそうですね。
e.m.MARIAGE(オンライン接客サービス)
ブライダルリングのオンライン接客サービスとサンプリングのレンタルサービスを始めたそうです。
e.m.MARIAGE ブライダルコンシェルジュが
お客様のご要望に沿ってリング選びのお手伝いをさせていただきます
素材のこと デザインのこと
サイズのこと 着け心地など…
お困りのお悩みを 最大限店頭接客と同じように
お客様ひとりひとりに合わせて
お応えさせていただきます
オンライン接客では、対面で話しているような接客を受けることは可能ですが、店頭で大事な「ちょっと試してみる」という体験は難しくなってしまいます。その点を補完するレンタルサービスはいいですね。
RENDO(オンラインRENDO)
シューズの制作・販売を行うオリジナルブランド「RENDO」では、5月5日6日の2日間だけ限定的にオンライン接客サービスを展開されたようです。
オンラインRENDOをはじめるにあたっての、この部分が足りないとい感じていたというのは、リアルの店舗ではこのドラマ、熱量が大事だということに気づいたということですね。
結果、判明した事はお店のライブ感というか
お客様とRENDOが作りあげるドラマというか
お互い熱量というか、あのなんとも言えない空気感ですね
(近頃スタッフがいるので私は接客サボり気味ですが...)
またオーダーをされる方のプレッシャーといったら
入店と同時に殺気みたいなものを感じるわけです。
そして、靴も試すことが大事な商品ですが、商品のスペック以外の部分を伝えるために話しましょうという姿勢。
どうしても靴は履いてみないと分からないので他の商品とは違い、こういったサービスはなかなか難しいジャンルではあるのは重々承知でございます。しかしこんな時だからこそ皆様で知恵を出し合い
少しでも何か商品だけではなく私たちが魅せられてしまった靴の面白さなんかも提供できればと思ったからです。
接客で大事なのは、正確にスペックを伝えることではなく、その裏に潜むストーリーを伝えることなのかもしれません。
自動車販売店によるオンライン接客
複数の自動車販売店がオンラインでの商談、接客の取り組みを始めたようです。
ネットの活用は輸入車が積極的だ。アウディジャパン販売(東京・世田谷)は4月から車を撮影しながら映像を配信し、ネット上で顧客との商談を始めた。ビー・エム・ダブリュー(東京・千代田)も一部店舗でネット接客を導入した。
自動車販売では、以前に比べて来店前にウェブで調べて購入意向を高めて店舗に来ることが増えていたそうですが、この流れでより積極的に増えそうですね。写真だけでは状態などの把握が難しい中古車販売などにも活用できるかもしれません。
LIXIL(ショールームのオンライン接客)
商品ご案内からお見積の作成まで、ショールームのサービスが自宅で受けられるLIXILショールーム「オンライン接客」サービスを全国でスタート(PDF)
「ショールーム 360°展示写真」も活用しながら、ヒアリング、商品案内、見積もりの作成までできるそうです。ショールームは混雑していることも多いので、こうやってじっくり選べるのはいいですね。
チャットによるオンライン接客
オルビス(ビューティアドバイザーに よる有人チャットサービス)
オルビスは、ビューティアドバイザーと気軽にコミュニケーションの取れるオンラインサービスを4月27日より開始しました。
自宅待機となっているビューティーアドバイザーの方によるオンライン接客です。
普段店舗を利用していたお客様に対しては店舗同様のお買い物体験を実現します。さらに、オンラインショップのみ利用していたお客さまに対しては、専門知識や深い商品理解のあるビューティアドバイザーとのコミュニケーションを通して、店舗ならではの接客を体験いただけます。
自宅からのビデオによる接客では、パソコンやカメラ、通信環境の用意、背景の映り込みなど、整備しないといけないことが多くなります。チャットサービスでテキストだけで相談できるというのは、気楽に相談したいと考えているお客様にとってもメリットになるかもしれません。
ビューティーアドバイザーの方も前向きなようですので、今後は店舗での空き時間に有人チャットの対応をする、ということも実現するかもしれません。
このような取り組みに対してビューティアドバイザーからは、「店舗でお買い物をしていただく時のワクワク感や、綺麗になるためのアドバイスなどをチャットでお話ししながら、少しでも楽しんでいただきたい」「自分の接客が普段とは違った形で多くの方に届けられることが嬉しい」など前向きなコメントが多く寄せられており、自宅待機の時間を有効活用し、専門知識や接客経験を活かした働き方の提供にも繋がっています。
スノーピーク(オンラインコンシェルジェ)
「GWも毎日おうちでスノーピーク。」という期間限定の特設サイトにあわせて、スノーピークでもオンラインストアでスノーピークスタッフがチャットで接客してくれるオンラインコンシェルジェを5月2日より始めるそうです。
商品知識豊富なスタッフがお客様のご購入時のご質問・ご相談にチャットでお答えし、スムーズなお買い物をサポートさせていただきます。
オンラインストアでも、店舗と変わらぬサービスをご提供できるよう、今後も対応の充実を進めてまいります。皆さまのご利用をスタッフ一同、心よりお待ちしております。
こちらも期間限定だと思いますが、知識豊富なスタッフが回答してくださるようで、より良いオンラインでのスノーピーク体験ができそうですね。
TwitterやLINEによるオンライン接客
ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング(TwitterとLINE接客)
ユナイテッドアローズ グリーンレーベルでは、Twitterアカウントを販売スタッフがつぶやくアカウントとしてリニューアルするとともに、TwitterやLINEでお問い合わせを受けつけています。
販売スタッフがつぶやくTwitterアカウントにリニューアル2020.04.27
どのツールがお問い合わせしやすいか?というアンケートも実施されていて、LINEがお客様にとってお問い合わせしやすいチャンネルというアンケート結果がでています。やはりLINEによるパーソナルなやり取りは、ユーザーにとっても障壁が低いのかもしれません。
VRを活用したオンライン接客
三菱地所レジデンス(オンライン接客)
三菱地所レジデンスでは、マンション販売においてオンライン商談システムの「ベルフェイス」を活用し、オンライン接客をはじめています。
三菱地所レジデンスでは、既にVR上でモデルルームを内覧できる「VRモデルルーム」を提供しているそうで、VRモデルルームとオンライン接客の組み合わせで、実際にモデルルームに行くのと同じような体験ができるかもしれないですね。
オンライン接客の導入により、顧客にVRでモデルルームを体感してもらいながら、これまで販売拠点で行っていたようなさまざまな資料を使った説明も可能になるとしている。
VR内覧システム「ROOV」
上記の話題と関連して、このようなサービスの普及も進んでいます。
ROOVは販売担当者が対面接客時に使う補助ツールとしてはもちろん、オンライン上で顧客にプレゼン資料や3DCGデータなど役に立つ情報を丸っと共有することにより、自宅で検討してもらう際の参考資料にもなる。
「これまで新築のマンション販売は対面が主流だったのが、対面の機会を作れなくなることで『メインの説明はオンライン、対面は最後のクロージングだけ』という流れに変わってきている。オンライン商談に使えるサービスとして認知されることで受注も増え、以前は何回プレゼンをしても響かなかったような企業からも問い合わせが来るようになった」(間所氏)
マンションのような高額の商品でも、オンラインによる検討が進んでいます。VRとオンライン接客の組み合わせは、結婚式場のような「自分の目で実際に確かめておきたい」という需要があるサービスにとって今後の可能性を広げるのではないでしょうか。
オンラインスナックやオンラインバー
スナックやバーなど、空間での会話を楽しむタイプの飲食店でも、オンライン接客が始まっています。
「飲み屋の役割は酒食の提供だけではない。ストレスを発散したり、独特の人間関係を楽しむという面もある」と考え、オンライン営業という形で店を復活させた。
この観点は、飲食店だけではなくリアル店舗という空間があること、そしてそこに人がいることの価値を問い直すことになるかもしれないですね。
他にも、様々な場所やサービスでオンライン接客への取り組みがはじまっています。随時更新したいと思いますが、なにか新しい取り組みがありましたら、Twitterなどでお知らせください。
最後に
XDを運営するプレイドでも、KARTE のウェブチャットの機能を主としたオンラインサポートの迅速な立ち上げ・開始を実現する「いますぐ始めるKARTEオンラインチャット」の提供を開始しました。
こちらの利用に興味ある方は、KARTEのサービスサイトよりお問い合わせください。
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