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創業者という生き物...事業承継のキモ

先月の第130回yoko-so未来創造塾では関与先のS社の後継者であるM社長とyoko-soの後継者である山本の対談形式で「事業承継と組織化」についての講演会をさせていただきました。

S社は創業者のS社長(現在は代表取締役会長)が個人的にもやりたいことがあり自分よりも少し年長のM社長に経営を承継してやりたいことをしているという珍しい経緯があるので一般的な次世代承継とはひと味違う形態ですがお話を聞く中でいろいろ気づかされ考えさせられたことがありました。

〇 創業者という生き物

講演の中でM社長から...
「社員から創業者のS会長のしていることについて意見が出る場合もありますが、それは社員が口を出すべき問題ではないとたしなめている」
とのお話があり
冗談交じりに「だから泉先生も山に登られても構いませんよ。引き継いだ僕たちとは違いますから(笑)」との楽しい絡みがありました。

その時、笑いながらも何かに「ハッ」と気づく瞬間がありました。

そう言われるまで
S会長がやりたいことをされているのも...
自分が早めに承継をしてエベレストなんかに出かけたのも...
某上場企業の社長が国会議員になったり戻ったりやりたい放題なのも...
全然特別なことでも常識外とも考えたことがなかったことに気づきました。

創業者同士のお仲間だからでしょうね(笑)

つまり、一人でゼロからスタートした事業自体が「自分がやりたいことをやりたいように追求した結果」なのです。
ですから、創業者という人種は多かれ少なかれ組織的に言うと常識外れでワガママだということです。

そして、その資質があったからこそ何もない無から何かを創り上げる力があったのだと思います。

〇 資質の違いを知る

当然ですが後継者はそうは行きません。

既に出来上がっているものを引継ぎ組織として発展させる義務を負っているからです。
「やりたいこと」よりも先に「やるべきこと」が決まっているからです。

もし後継者が創業者のように経営を放っぽり出してやりたいことに時間を費やしたり議員になったりしたら批判を浴びることは間違いないと思います。

役割と立場と求められる資質が違うからです。

つまり、創業者と後継者とでは最初から同じことができるハズがない訳で、目指す方向が同じであってもそのための戦略も戦術もそれぞれの資質に合ったやり方が必要だということです。

ですから、創業者は後継者のやり方(戦略や戦術)について口を出してはならないのです。
いったん口を出して方向性に影響を与えたら後継者は連続すべき次の一手を打てなくなります。

〇 どうせ死ぬんだから..

某大手税理士法人の創業者のTさんは「グループ経営を目指して承継をしたけれどあいつら俺の意見と真反対の決議ばかりするからもう役員会に出ない」と豪快に笑っていましたが...
理念を外れる根幹的なこと以外は腹をくくり笑って任せるしかないのです。

お客様のたくさんの事業承継を見てきましたが「それぞれの資質の違い」を理解できず口を挟んでトラブルになる場合がとても多いようです。

それで一番迷惑をし混乱するのは社員です。

事業承継の手本とした尊敬する先輩経営者から「承継しても代表権と人事権は最後まで渡すな」と再三注意を受けましたが
私の場合は、それさえも最初から後継者に託してしまう決断をしました。
それがなければトップとしての力を発揮させられないと思ったからです。

その結果、最悪、もし組織が理念から外れてしまったり、権利がないからと無視されたり阻害されるような事態になったとしても...
それはすべてが自分の覚悟と選択の問題なのです。

子育ても承継も同じ...
どうせ先に死ぬんですから、いつまでもとやかく口を挟まず
自立させることを最優先にして
なにごとにも執着せず爽やかに生き抜きたいものですね。

それが自分が山の世界で学んだ生き様です。
 
 

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