見出し画像

ローカルプロジェクトのつくりかた(序):「渋谷ズンチャカ!」とは

「ローカル」の素数は「人」である。
とすると「ローカルプロジェクト」って、場所がどこかというよりも、人に依る比重が大きいものだと思います。

けっこう前の話になりますが2015年の頃、事務局長をしていたシブヤ大学「東北STANDARD」の授業をやってもらったとき、先生役を担ってくれた唐津くんがこんな話をしていました。

世間がぼんやりと信じていた「東京=かっこいい、地方=ダサい」って、たぶん「東京=特別、地方=どこも同じ」って価値観だったのだと思う。
ただ仕事で世界を回ったら、グローバル経済の中で成長している都市は、どこもだいたい「ほぼ東京」だった。
どの都市も、自然があって最先端のビルがあってクリーンで安全。人々はだいたい優しくおもてなしの心もあり、そしてhectic。
“引き”の写真を並べたら、どこがどこだかわかりゃしない。

均質化の波は恐ろしい。

いまなお特別なのは、むしろ「地方」ではないか?
「地方=ローカル」ということでなく、特定の、その土地だけが持つ価値=ローカル。

欲しいのはグローバルスタンダードじゃなくて、それぞれのローカルスタンダード。
誰かと同じ、均質なスタンダードじゃなくて、土地と時代に沿った、必要性にかられた、誰かの生活に寄り添ったスタンダード。

、、消費社会も、hecticな生活も、グローバル経済も、なんとなく(笑)になってきている気がする。

さまざまな地域の仕事に関わらせていただく中でも惹きつけられるのはやっぱり、どこかで上手くいった先行事例を「やれそう」だから持ってきた量産型ローカルプロジェクトよりも、当事者たちが「やりたい」からやっているそれぞれなりの取り組みたち。

こんな世界に暮らしたいぜ!って実現を試みることで意思表明してみる。小さくてもいいので、ありたいフィクションを出現させてみる。
地域の課題解決に取り組むというより、地域を使って自分たちのやりたいことに挑戦する。仮に大きな主体のやりたいことありきだとしても、自分たちの、小さな主体としてのやりたいことをそこに載せて、両面をもって成立させる。
で、好きでやってるから、ここにしかない差異が生まれる。

人口が減ってようが、当事者が増えてるところは面白いなあと。


翻ってぼくの話ですが、渋谷のまちなかを舞台に、当日の運営だけでなく全体の企画を考えるところからボランティアが担う音楽祭「渋谷ズンチャカ!」について、2014年の立ち上げから「どうやったら関わる人たちの"やりたいからやる"を増やせるかな?」って試行錯誤を重ねてきました。

当時、”渋谷”っぽいキュレーションプログラムはすでにたくさんあったし、これからもたくさんあるだろう。だから、ある種の「ギャップをつくる」というか、渋谷の真ん中でDIY(むしろDo It Together)すると面白いんじゃないか?と考えてました、、って見返すとだいぶ肩に力入ってますね。

この、現場で試行錯誤を重ねてきた渋谷ズンチャカ!づくりのプロセスが、ローカルプロジェクトづくりのショーケースになるかもなーと思い立って、以下のトピックでまとめてみることにしました。

ただこれ、あくまで現時点のもので、これからも色々うまくいったりいかなかったり、賞味期限が切れたりしてどんどん変わっていくと思います。もっと良いやり方・あり方がきっとあると思いますが、背伸びも萎縮もせずいったんアウトプットしてみますね。


「渋谷ズンチャカ!」とは

年に1回くらいは渋谷の真ん中で自由に音楽できる日があったら素敵じゃないか!とはじまった「渋谷ズンチャカ!」は、今年2022年の9月で第8回目。台風にもコロナにも負けず、毎年開催してきました。

この、みんなでつくる渋谷のまちの音楽祭の特徴は大きく2つ。

ひとつめは「音楽に詳しくなくても、楽器ができなくても、誰もが楽しめる」こと。
音楽視聴のクオリティを上げることよりも、音楽体験へのハードルを下げることに重きを置きながら、世代や経験、国籍や文化の違いを飛び越えて、思い思いに音楽を楽しめる場をつくろうとしています。
また、渋谷ズンチャカ!にはあえてメインエリアを設けず、"あなた"が音楽を楽しむ場所こそがズンチャカ!の"真ん中"としています。

ふたつめは「ボランティアが主体となって、1年がかりで企画立案から担う」こと。
いわゆる音楽祭のボランティアと言うと当日運営のお手伝いさん的な立ち位置が多いと思いますが、渋谷ズンチャカ!ではボランティア(「チーム・ズンチャカ!」と呼んでいます)こそが主体で主役。その年々の具体的な企画の立ち上げからチーム・ズンチャカ!が担います。

それで、渋谷のまちの音楽祭としてどんな景色をつくっているかというと、たとえばコロナ前の2017〜2019年の本番当日に実際に渋谷のまちなかで鳴った音だけをカットアップしてつくってもらったプロモーションビデオがこちらです。

音楽祭を構成する主な要素としては、経験に関わらず誰でも公募でチャレンジできる「ステージ」と、チーム・ズンチャカ!たちがゼロから企画するセッションやワークショップなどの「アトラクション」で、具体的にはたとえばこれまでだと、、

ハチ公前やセンター街、キャットストリートや神宮前交差点など、渋谷のまちのいたるところにステージをつくったり、

こちらはステージに出演してくれたtoitoitoiさんが上げてくれてた宇田川交番前ステージの模様です。かっけえ!

また、ビルの屋上から唐突にラピュタのパズーのラッパを吹き鳴らしたり、

国道246を横断してパレードしたり、

スクランブル交差点に向かってSayHo!したり、

道端に誰もが弾けるグランドピアノを置いたり、

屋台でこどもたちにDJ教えたり、

楽器ができなくても楽しめるってことで、音の鳴る電子工作したり、

鶏を楽器って言い張ったり、

自分が偏愛する音楽についてyoutubeを流しながら語り尽くしてもらったり、

老いも若きも初心者も経験者も、はじめまして同士いろんな楽器ごちゃまぜでセッションしたり、などなど。


渋谷ズンチャカ!をつくる人々と、立ち上がった背景

渋谷ズンチャカ!は、主催が地元の商店会長の皆さんからなる「渋谷ズンチャカ実行委員会」、共催が「渋谷区」で、企画をボランティアの「チーム・ズンチャカ!」で担っています。

余談ですが、末尾に「!」が付く「渋谷ズンチャカ!」が正式名称なのですが、銀行口座だと「!」を使えなかったので「渋谷ズンチャカ実行委員会」だけ「!」が付いていないのです。
まじで余談ですね。

商店会、、渋谷駅前も”商店街”なんだよなというのは、個人的には驚きでした。ちなみに、実行委員会の皆さんは、土壇場での会場交渉を担ってくださったり「ここ使えそうだぞ」ってパスをくれたりはしますが、「これをやれ」とか「俺の知り合いのバンドを出せ」とかはこれまでに言われたことがなくて、さすが渋谷のドンたちだなって思います。

さて、この音楽祭が立ち上がった背景としては、当時(現在もですが)渋谷は「100年に一度の再開発」と呼ばれているような状況で、2027年までは今のペースでの再開発工事が続いていきます。

そんな中、主催の実行委員会としては、購買や消費以外の接点で、渋谷に来る・渋谷で過ごす人たちがまちに愛着を持つきっかけをつくりたい、という意志がありました。また、共催の渋谷区としては、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた文化イベントとして市民音楽祭を立ち上げたい、という意図がありました。

それで、渋谷のまちなかを舞台とした、「市民と共に創る」と書いて「市民共創型」の音楽祭をつくろう!というプロジェクトが立ち上がり、まずはプロトタイプとして「第0回 渋谷ズンチャカ!」を2014年に行い、その後、2015年の第1回開催を企画から担うボランティア「チーム・ズンチャカ!」を募りはじめ、今年で第8回となります。

ただ、ボランティアを集めただけで毎年9月にうまいこと音楽祭を実現できるか?というと、だいぶ"運"の問題になってしまうので、実現性と安全性と体験強度の担保として、施工・警備や渉外、プロジェクトマネジメント&ファシリテーション(=ぼくです)を担うスタッフが伴走しています。

ここで、ぼくが担うべくは「チーム・ズンチャカ!のやりたいことの最大化」なので、"司令塔"的にこっちから指示を出したりはほぼなくて、例えて言うと”部活の顧問のおっちゃん”役です。
やってることはざっくり以下の3つなのですが、具体的には次回以降でまとめていきます。

  • (踏み出すのをためらってしまうとき)背中を押す

  • (企画を置きに行ってしまってるとき)背伸びを促す

  • (メンバーが固まっちゃいそうなとき)隙間を空ける


渋谷ズンチャカ!づくりで大事にしている5つのこと

ここからは、渋谷ズンチャカ!づくりで大事にしていることを5つ挙げていきます。


主体はチーム・ズンチャカ!

一番大事にしていることは、この取り組みはあくまで【主体はその年の渋谷ズンチャカ!づくりに集まった「チーム・ズンチャカ!」たち】であることです。他の誰でもありません。

次次回で触れますが、チーム・ズンチャカ!のメンバーがそれぞれ自律的に動きつつも協働できるように、自分たちでスローガンを刷新してもらいました。それがこちら。

それぞれの好きや楽しみ方を持ち寄って
さまざまなボーダーを越えてゆるやかに混ざりあう
驚きときっかけと余白と偏愛にあふれた
みんなでつくる、まちの音楽祭

これ、スローガンにしては長いんですが、もし目的の像が固く結ばれていてスピードや拡大を優先するのなら短くて覚えやすいポータブルなもの(努力・友情・勝利とか)がいいんだろうけど、「スローガン<それぞれのメンバー」でありたいよね、だからこの長いスローガンからしっくりくるところ・大事にしたいところを各自が切り出して、それを持ち寄り合って渋谷ズンチャカ!をつくっていこう、となりました。
あ、長い方がいいというわけではなくて、大事なのは使われるかどうかです。

、、そういえば、立ち上げ当初は「市民参加型音楽祭」ってタグラインを使っていましたが、“参加”ってつくられた枠組みありきとも取れるので、それすら受動じゃね?ってハードコアな対話があり、“参加”ももちろんひとつの楽しみ方だけど全部じゃないよねって、いまは「みんなでつくる、まちの音楽祭」を使っています。


仕事じゃなくて(本気の)遊びです

大事にしていることの2つめは【仕事じゃなくて(本気の)遊び】です。
効率化は(そんなに)目指さず、効率より納得を大事にしたいので対話に時間をかけます。チーム・ズンチャカ!の集まりって10:30〜17:30とか13:00〜19:30とかけっこうな長時間なので、以前に効率化を目指したこともあるのですが、なんだかどんどん業務感が強くなっていってあんまり面白くないねって。

また、活動日に対面とオフラインとどっちでも集まれるようにも試してみたのですが、対面現地でオンラインとスムースに繋ごうとがんばるメンバーの負担が大きい一方で、むしろ現地とオンラインとの温度差が広がってしまいました。なので集まれるなら全員対面、コロナの影響でリアルで集まれないなら全員オンラインと、できるだけ一同に顔を合わせながら進めようとなりました。

それと、チーム・ズンチャカ!が「意識高い人」(ってあんまりこの括り方は好きじゃないのですが)だけの集まりにならないように、関わり方の濃い人も淡い人も一緒にやれればと、募集ページでは以下のように記載しています。

チーム・ズンチャカ!の活動日(企画会議&協働ワーク)は月に2回ほど。それぞれのやりたいことやありたい姿を持ち寄って、仲間から応援されたり、お互いの違和感をすり合わせたりすることで“みんなごと”にしつつ、全力の“やれる範囲”で「渋谷ズンチャカ!2022」の実現を目指すチームです。

そして、このチームは、それぞれの興味や都合などにあわせて、関わり方の濃淡を選べればと思っています。

「渋谷ズンチャカ!で実現させたいことがある!」って方は、できるだけ活動日に来て、自分のことだけでなく全体のことにも貢献して(結果、他のメンバーからも力を貸したくなってもらって)みてください。
※ 壮大なアドバイスができる人よりも、小さな一歩を自ら踏み出せる人の方が楽しめると思います。

「具体的に何かあるわけじゃないけど、お祭つくるの楽しそう!」って方もぜひ! 来られる範囲の参画でも大歓迎です。とはいえ、最初はできるだけ顔を出してくれた方が混ざりやすいと思います。
また、活動日の会場に“自習室スペース”も併設するので、仕事や勉強で忙しいときは、よかったらみんなの話を横目にどうぞ。

※(各活動日について)すべての回に出席できなくても大丈夫! 途中の日程からの参画も大歓迎です。都合にあわせて遅刻・早退も構いませんし、欠席等の連絡も不要です。

『全力の“やれる範囲”で』と書いていますが、全力なんて人それぞれ。よく「働く2割と働かない8割」とか聞きますが、これ時間軸を加味すると、いまいま「働く2割」だけだと詰むので、関わり方の濃淡を問わず場を共にするだけで大歓迎です。何ができるかわかんないし何もできないかもしれないけどで大丈夫。それに、同じ場にいれば何かが偶然起こったり興ったりもしますし。

淡い関わりでも歓迎されるし、汗をかいた分だけ報われる。そんなチームでありたいなと。

また、チーム・ズンチャカ!の活動日には毎回さまざまな議題が挙がりますが、正解はない(≒たくさんの正解がある)ので「基本はその時々の活動日に集まったメンバーで対話して決めていこう」と宣言しています。その際、前年以前の選択は正解とは限りませんし、自分の意見も数秒で変わったって構いません。そもそも多人格的に異なる思考や趣向を同時に持っていたっていいです。
あわせて「対話の際は感じた違和感を大事にしたいので、もしモヤモヤしたことがあれば”代案”とかなくていいのでどんどん共有してください」「事前に議題を共有するので、もしその日には行けないけどその議題に関わりたい際は、欠席する方が出席してるほうより汗をかいて関わってください」とも。

それと『壮大なアドバイスができる人よりも〜』について、批評家ポジションに価値を付けないように気をつけています。批評家って、作業がない・責任がない・口だけでいいので居心地が良すぎて、フリーライドが認められる場合、隙あらば誰もがそこに向かってしまう。
これ「ROMる」というか、向こう側からウォッチすることを積極的に認めちゃうのも、構造的に悪気なく批評家的な関わりを生みがちなので、その意味でも場を共にすることが大事と感じています。

あと、単なるアイデアはわりと雑に扱っています。というのも、アイデアは(やろうと思えば)無限に出せるけど実現のためのリソースは有限なので、アイデア全部を大事にしようとするあまり身動きが取れなくなってる状況って意外とあるなあと。すべての発言を平等に扱うのではなく、自ら担う意志のこもった発言は重く、ただ言ってみただけのものは軽く扱い、当事者不在のことを進めてしまわないようにしています。


ためしにやってみよう!

大事にしていることの3つめは【ためしにやってみよう!】です。
「やったことはないんだけど、やってみたいことにトライしてみたい」も、「仕事でやってるスキルを、仕事以外でもっと自由に活かしてみたい」も、どっちも大歓迎。

特に企画の段階では、配慮はするけど躊躇はしないで、どんどん失敗しましょう、と。
というのも、自分なりに世界を認識しようとするには、ためしにやってみて感じた違和感を手がかりに手繰っていくしかないので(、、やらずにわかった気になるのはいくらでもできますが)。
また、小さくとも世に問うてみることではじめて、ソナーが返ってきたり、ドミノ倒しがはじまったり。

もしも、自身で何もためすことなく既存のベストプラクティスを探して借りてくると、図らずも依存状態になってしまって自分の主導権に気付けず、不測の事態(だいたい起きがち)にどうしていいかわからなくなることも。
それに、正解を探すよりも間違えてみた方が認識が拡がったりもしますし。

ためしにやってみて、うまくいったら自信になるし、うまくいかなかったらすごい学びになるので、どっちにしろ面白くなりがち。なので、まずは小さくためせる機会を多く設けられるように設計しています。


自分の言葉で"その面白さ"を話せるように

大事にしていることの4つめは【自分の言葉で"その面白さ"を話せるように】です。
企画を形にしようと試みるときに、「ネットでバズってた」「テレビでやってた」を面白さの理由にするのではなく、自分を主語にして、どこを面白いと思っているかを自分の言葉で表現できるように。

きっかけやインスピレーションにするのは全然ありと思いますが、大事なのは、そのアイデアが自分のものになってるかどうか。たとえば「フラッシュモブ面白そう」じゃなくて、「○○○だから私は面白そうと思う」と一歩踏み込んでみる。
、、個人的には、フラッシュモブで演る側だけが楽しいではなく観客側も置いていかれずに「おお!」ってなるのは「こんな場でこんな技が!」っていうギャップだと思うので、仮に自分がそんな企画するときはここを起点にして考えてみると思います。

また、もしも既に世にある”よくできた企画”そのものへの愛着や熱量が強いなら、むしろオリジナルに敬意を示してご本人たちに連絡・相談を推奨したいです。けっこうオリジナルが割を食ってる(しかも無邪気というか無配慮なだけで悪気はない)のを目にするので。

せっかくの”みんなでつくる”音楽祭。
大きな主語で大きい力をかけてつくられたエンターテイメントを楽しむのもいいけど、自分という小さな主語で、つたなくともためしにつくってみる。
世の中の大きな波に乗っかるんじゃなくて、小さくていいので自分で一滴の波紋を落としてみる。
もしも大きな主語にはまらないときは自分たちでつくるしかないから、社会を彫刻してみようぜ、と。


そこに"音"はあるか?

大事にしていることの5つめは【そこに"音"はあるか?】です。
それぞれ企画を拡げているとき、なんだか楽しくなってしまって、気がつけば音楽とはまったく関係ないところにたどり着いていたり。
多様なメンバーが自律で動きつつも協働していきやすいように、渋谷ズンチャカ!はあくまで"音楽祭"だよねと「いま、わたしたちが共につくっているのは何か?」をわかりやすく明示しています。

また、企画って意外と"制約"があった方が取っ掛かりやすかったりもするので、まずは”こじつけ”でもいいので、「そこに"音"はあるか?」という縛りを利用するつもりで企画をもっと面白がってみてとガイドしています。


  1. 主体はチーム・ズンチャカ!

  2. 仕事じゃなくて(本気の)遊びです

  3. ためしにやってみよう!

  4. 自分の言葉で"その面白さ"を話せるように

  5. そこに"音"はあるか?

以上、渋谷ズンチャカ!づくりで大事にしてること5つでした。


なんでやってるのか?

序章のおわりに、個人としての渋谷ズンチャカ!への動機の話を少し。
ぼく「まちはもっと使える」って思ってて、そのために「前例」と「担い手」を増やせたらと思っています。

渋谷ズンチャカ!をやっていてもそうなのですが、まちなかで音楽鳴らす許可を取るのって、結構にハードルが高いのですね。
ただこれ「前例」があるかないかでだいぶ変わってくるんです。なので、渋谷ズンチャカ!という渋谷区共催の半分パブリックな取り組みで、幸せに音が鳴った前例をつくれれば、あとから音を出して何かをためしてみたい人たちが楽になるだろうなと。

それと、「担い手」ってところでいうと、渋谷ズンチャカ!づくりを通してまちなかで何か企てて実現させた!って人たちを増やせたら、仮に「渋谷ズンチャカ!」という音楽祭がなくなったとしても、また、渋谷のまちじゃなかったとしても、「まちで何かやってみよう!」って人を増やせるかなって。
そうした主体が増えていくことによって、『どこもだいたい「ほぼ東京」だった』の先にあるローカルが立ち上がってくるんじゃないかって。

もうひとつ、ぼくが渋谷ズンチャカ!をやっているモチベーションとしては、「本気の素人は、やっつけのプロを越せる」って信じてるんですね。

いや、一番面白いのはやっぱり"プロの本気"なのですが、素人が臆せず本気でやってるとプロはやっつけ仕事をしにくくなりますし、それに素人の本気を積み重ねた先にプロの世界が拓けていくと思うので、渋谷ズンチャカ!がその入口や機会になれたらって思ってます。

、、まあ何よりは、「プロかどうか?」とか「有名かどうか?」とかに怯まないで、みんながやりたいことを、幸せに、もっとためしににやってみたら、もっともっと世の中が面白くなると思ってるからです。

改めて、ここ数年の渋谷ズンチャカ!を振り返ると、
2019年は史上最強クラスの台風に見舞われるも、なんとか開催。(って、こんな年もあったな)
2020年はコロナがはじまり、野外フェスが軒並み中止で9月時点では参考にできる事例がまったくない中、自分たちが参考事例になるしかない!と、感染症防止対策を徹底して開催(音が出ます)。
2021年は、開催日1ヶ月前に東京都の感染者数が初めて5,000人を超え(2020年の本番日の感染者数は116名)、急遽すべてをオンライン開催に組み替えて開催。

、、と、3年連続で災難続きですが、乗り越えてきたチーム・ズンチャカ!、伴走しながら本当にすごいなあと。これもまた、ぼくのモチベーションです。

まだまだコロナの見通しは不透明ですが、今年は渋谷の空の下で本番を迎えられるよう鋭意準備中です。
2022/9/3(土)-4(日)、よかったらぜひ遊びに来てください。


さて、今回のお話はここまで。
次回は、企画の立ち上げからボランティアが担うにあたって共有している「企画を進める上でのヒント」についてまとめてみます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?