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今から、美味しくて満腹になる「デザイン」の話をします。

みなさん、はじめまして。株式会社EXIDEA(エクシディア) クリエイティブストラテジストの江口です。私たちの会社では、メディア運営、広告運用、クリエイティブ制作などを提供していますが、今回は私の仕事でもあるデザインやブランディングについて、前編・後編に分けてお伝えしようと思います。

デザインってそもそも何なのか?

前編の今回は、「デザインってそもそもどういったものなのか」に触れていきます。2018年に経産省・特許庁から発表された「『デザイン経営』宣言」や、2023年のデザインファームIDEOが日本からの撤退など、デザインについて話題に事欠かない昨今ですが、デザインを説明できる人は少ないのではないでしょうか。

また、デザインについて語られることも多くなり、どれが正しいのか、迷ってしまうことも増えているかと思います。今回と次回の記事で、デザインやブランディングについての理解が深まれば嬉しいです。

デザインとは計画と実行

まず、デザインについて語られているときに、狭義的な意味なのか、広義的な意味なのかで、話が変わってきます。狭義的なデザインであれば、広告やロゴなどのグラフィックデザイン、アプリなどのUIUXデザイン、Webデザイン、雑誌などのエディトリアルデザインなどの媒体ごとの話になり、理解がしやすいと思います。

一方で、ブランディングも含めた広義的な意味でのデザインだと、語る人が多く、混乱してしまう人もいるでしょう。その場合は、語源に立ち返ると、ヒントが見つかります。

デザイン(design)とはデッサン(dessin)と同じ、ラテン語の「designare」が語源となります。このラテン語の意味は「計画すること」「計画を表すこと」「線を引くこと」と言われています。ラテン語の翻訳なので、ここでも諸説あるのですが、ひとまず、この三つの意味を一言で表すと、デザインとは「計画と実行」と言えます。

デザインは社会のいたるところにある

すると、デザインとは本来誰でもやっていることであり、社会に存在しているすべてに関わっています。一方で、自然を除き、デザインされていないものは、この世の中に存在していません。

では、何があるのか。

答えは「計画と実行が効果的に機能しているデザイン」と「効果的に機能していないデザイン」です。世の中の商品やサービスで、「売れる・売れない」や「伝わる・伝わっていない」が生まれてしまうのは、デザインが効果的に機能しているか、していないかが分かれるためです。

デザインとは「計画と実行」。

デザインが効果的に機能しているって?

では、デザインが効果的に機能しているとはどういうことでしょうか?
デザインを「計画と実行」とした場合、人は次の順番でデザイン活動をしています。

デザイン活動では、情報の取得、計画、実行が行われている。

例えば、日常生活の食事に置き換えると、お腹が減ったという情報を脳がキャッチして、何を食べようか考えます。そして、考えた後、いくつかの選択肢の中から、食べるものを作ったり、外食に出かけたりします。この一連の活動そのものがデザイン活動であり、デザインが効果的に機能していれば、美味しくて満腹になる食事ができ、効果的に機能していなければ、美味しくない上に満腹にもならない食事にありつくということになります。

日常生活におけるデザイン活動。

「デザインは伝えること」と話す人もいる

「デザインは伝えること」と話す人もいらっしゃいますが、これも「計画と実行」で説明ができます。伝えるには、「伝えたいことを、誰に、どのように伝えればよいのか」を計画し、実行します。そして、伝わった結果、相手に行動を起こさせているのです。

つまり、情報が伝達された後に、相手が行動をしなければ効果的に機能していないデザインと言え、望んだように相手が行動をすれば効果的に機能しているデザインと言えます。

例えば、飲食店を経営している場合、数多くある飲食店の中から、お腹が減った人に自分の店舗を選んでもらわなければなりません。この場合、「飲食を提供していること」と「自分のお店は選ぶ価値があること」の二つを相手に伝える必要があります。

飲食店におけるデザイン活動の例。

デザイン思考について

2023年のIDEO日本法人の撤退から、デザイン思考の終焉という記事がネットに散見されました。

これは個人的な意見になってしまいますが、デザイン思考について語られるとき、そのいずれもがデザイン思考の表層の部分しか語っていないと思います。

デザイン思考が広まった経緯として、プロダクト開発を素早く行えたり、デザインの専門家でなくてもデザインの考え方を用いてビジネスに活かせる思考法という、いわば手段として認知されてしまった歴史があります。

ただ、餅は餅屋と言うように、メソッドだけ知っても、デザイン思考のポテンシャルをすべての人が発揮できるかと言うと、不可能と言わざるを得ません。デザイン思考のポテンシャルを発揮させるためには、デザイン・事業・業界・社会・人などの文脈から、性質や歴史を交えて計画と実行をしなければなりません。

一方で、デザイン思考の根底にあった哲学は、ユーザーに寄り添った事業開発を行うことで、世界や社会をよりよくしていこうというものです。

これは人間中心的な考え方とも言えますが、「現状をよりよく改善していく」という思想に則れば、地球や宇宙を視野に入れた生態系まで考えることだって可能となります(現在では、サーキュラーデザインやライフセンタードデザイン、環境中心設計などと呼ばれるようになっています)。

つまり、デザイン思考のメソッドは限界が訪れているのかもしれませんが、その根底にある思想や哲学は、生物としての人間の矜持に関わるものであり、いつまでも生き続けているものだと考えられます。

デザインが経営に役立つ理由

話が脱線してしまいましたが、デザインを「計画と実行」と考え、その結果が「効果的に機能している(していない)」で考えると、経産省が「『デザイン経営』宣言」で伝えているように、デザインが経営に役立つ理由もわかります。

例えば、商品やサービスであれば、ユーザーに喜ばれないものであれば効果的に機能していないと言え、ユーザーに喜ばれたり、人に紹介されたりした場合は、効果的に機能していると言えます。

これは、チラシやPOPなどの販促物でも、社内で行われる会議でも言えますし、会社や事業においても同様のことが言えます。

仮に、会議が効果的に機能していないのであれば、必ずボトルネックが存在しているので、これをどうやって取り除き、改善していくのか、計画と実行をしていくだけです(ビジネスデザインやコミュニケーションデザインとも言われます)。

デザインが経営に役立つ理由。

デザイナーと関わった方がいい理由

デザインが「計画と実行」であり、デザイン活動の結果として、「効果的に機能しているデザインと効果的に機能していないデザイン」に分かれることを、これまで説明してきました。

では、デザイナーとはどんな職業なのか?

これは元も子もない話になりますが、デザイナーとは、デザインを効果的に機能させられる人、つまり、情報の取得、計画、実行がうまい人と言えます。

ただし、誰でもデザイナーになれる現代では、その能力はピンキリになってしまったと言わざるを得ません。

能力の低いデザイナーについて知っても仕方がないと思うので、優れたデザイナーの特長をお話すると、課題発見能力の高さが挙げられます。

本質を突くとも言えますが、能力の高いデザイナーの特長のひとつとして、クライアントが考えている課題や計画が本質的ではない場合、これを指摘することがあります。

例えば、誤った課題を想定して施策を行なっても、無駄なコストが発生するだけですが、デザイナーに相談することで、これを未然に防ぎやすくなります。

この本質を突く能力は、グラフィックやWebアプリケーションなどのアウトプットを作ることにも活かされ、優れたデザイナーと仕事をすると、事業や商品の本質に磨きをかけ、洗練されたものとなります。

これはカッコいい、可愛いということではなく、その性質にあった「らしさ」を、高いレベルでしっかりと表現できるということです。

まとめ

少し長くなってしまいましたが、以上がデザインについての触りの話となります。そして、デザインやデザイナーについて、端的にまとめると以下のようになります。

  • デザインとは、計画と実行。

  • デザインとは、社会に存在しているものすべてに関わっている。

  • デザインとは効果的に機能しているか、機能していないかのどちらか。

  • デザイナーとは情報の取得、計画、実行がうまい人。

  • 優れたデザイナーは、課題を発見し、本質を突くことができる。

デザインについて語られることは多く、これからも尽きないでしょう。そのような中で、デザインで何ができるのか、デザインとはそもそも何のか、どういう依頼をすればいいのか、迷う方もいらっしゃると思います。

ただ、ビジネスの現場では利益を向上させることが必須のことです。デザインに力を入れると、打率が上がりやすいというのはありますが、それ以上に、自分たちの事業は社会に対してどう役に立っているのか、自分たちのポジションはどこなのか、エンゲージメントをどう高めていけばいいのかなど、事業の本質に立って、課題を改善したり、事業創出できるのが、デザインです。

なので、明確な課題や依頼内容をお持ちでなくとも、ご相談ください。
弊社エクシディアには、自慢したいデザイナーがたくさんいますので、今後は彼らも紹介する予定です。

デザインの投資効果。経済産業省・特許庁「『デザイン経営』宣言」より転載。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!
後編の次回は、ブランディングについて書く予定ですので、ぜひ併せてお読みください。

Text by Masaru Eguchi


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