【5人声劇】探偵事務所オーディナリー

■タイトル:探偵事務所 オーディナリー


■キャラ

天馬(あま)さざめ:性別自由

探偵事務所オーディナリーの探偵助手

一癖も二癖もある探偵たちの管理と手助けを行ういたって普通の一般人

異能者だらけのオーディナリーで自分だけが能力を持たないことに引け目を感じている



1 グレア:男 ※可能なら性別自由

能力:発火(パイロキネシス)

超自然発火能力を有する異能者

火炎放射のように炎を出したり、爆発を起こすことも可能

荒々しく粗暴で、よく壊したものを弁償している


2 ジョー:男 ※可能なら性別自由

能力:接触感応(サイコメトリー)

触れた者から残留思念を読み取り、過去を見ることができる異能者

大勢の触れた物や残留思念の薄い者を追いすぎると脳が焼き切れる

イギリス紳士であり喧嘩を好まない優しい性格をしているが、身長が198㎝ある


A エミリー:女 

能力:複製(コピー)

無生物であればどんなものでも複製することができる異能者

例外として自分だけは複製することが可能

おっとりしており、常に眠そうにしている


B月鈴(ユーリン):女

能力:毒(ポイズン)

固体、液体、気体のいずれかの形で体液を毒物に変えることができる異能者

基本適当な性格であり負けず嫌い

夜鈴は双子の姉


♠ 獅子ヶ谷:性別自由

能力:未来視(プロフェシー)

自分の視界にとらえたものの未来を視ることができる異能者

関西弁の気さくな性格

ややぶっきらぼうだが、情に厚い


♡ 所長:性別自由

能力:精神感応(テレパシー)

相手の脳に直接干渉し、認識を歪めることができる異能者

その姿は誰も知らず、詳細の一切は謎に包まれている


△夜鈴(イーリン):女

能力:解毒(デトロキシフィケーション)

毒物を体内で解析し、無害な物質に変質させたり、体液から解毒薬を生成することができる異能者

ふわふわとした性格だが、しっかり者

月鈴は双子の妹


〇犯人:謎の人物

若い女性を標的とした連続通り魔事件の犯人

謎の異能を持つ


1 グレア②ジョーは兼ね役

A エミリーB月鈴は兼ね役

♤ 獅子ヶ谷♡所長は兼ね役

△夜鈴◯犯人は兼ね役

――――――――――――――――――――――――


所長:異能者…それは普通の人間では持ちえない才能を有した進化した人類

異能者の出現と共に、世界は混乱の一途をたどったが、現代社会は凄まじい速度で順応

しかし、解決しない問題も多々あった

その一つが異能者の引き起こす人知を超えた犯罪…超常犯罪である


――――――――――――――――――――――――――――――


天馬:探偵事務所オーディナリー

ここは世間一般で異能者と呼ばれる超人たちを集めた特殊な探偵事務所

僕、天馬(あま)さざめは、事務所で働く探偵たちの助手を務めています


天馬:おはようございます、エミリーさん

もう昼前ですので起きてください


エミリー:んん…もう少し寝させて…まだ朝早いよ…


天馬:もう11時ですよ

それに、今日は午後から仕事があったはずでは?


エミリー:もう一人にやらせる…出しといたから…


天馬:はぁ…だそうですよ、エミリーさん


天馬:エミリーさんの能力は【複製(コピー)】

「自分を除く生き物」以外のどんなものでも複製することができる…のだが


エミリーコピー:本体(そっち)の私がやるよぉ…


天馬:それじゃあ意味ないでしょうが…!エミリーさんと同じ複製体(コピー)なんですよ!?グーたらを増やされても困ります


エミリーコピー:ひどい言いようだなぁ

だいたい女の子の寝室に勝手に入って来てさ…

そこんとこはどうなの助手くん


天馬:所長から許可はもらっています

早く起きないとブランチの時間が短くなりますよ


エミリー:それは困る!

エミリーコピー:ねえ、助手くん私の分もある?

エミリー:ちょっと複製(コピー)なのに図々しい

エミリーコピー:中身はあなたと同じでしょ!


天馬:はいはい、大丈夫です!

二人分ありますから!


エミリー:やったね

エミリーコピー:うん、やった!


天馬:お願いですから仕事もしてくださいね…


エミリー:それはどうかなぁ、その子次第

エミリーコピー:別に私がやらなくてもいいんだからその子次第


天馬:え!?ちょっと待ってくださいよ!


獅子ヶ谷:ははっ!今日もやっとんなぁ


エミリー:あ、がおちゃん


獅子ヶ谷:おう、おはようさん


天馬:獅子ヶ谷さんからも何とか言ってください

また仕事すっぽかされそうです


獅子ヶ谷:いやや

俺は未来を視ることはできるけど、変える力なんてあらへんねん


天馬:それじゃあ、さぼる未来が確定してるってことじゃないですか…


獅子ヶ谷:それは見てみなわからんなぁ

見てみよか?


天馬:結構です、未来は自分の手で切り開きます


獅子ヶ谷:ははは!かっこええやん!


天馬:(NA)

この人は獅子ヶ谷さん…自分の視界に映る景色の未来を視る異能「未来視(プロフェシー)」を使うことができる


獅子ヶ谷:ほれほれ、エミリー

あまちゃんのこと困らせたらあかんで


エミリー:は~い


獅子ヶ谷:なぁ、俺も今日午後から仕事入っとったろ?

なんやったっけ?


天馬:あぁ…今日は…


(台詞を遮るように)

月鈴:助手に聞くより未来視た方が早いアル


天馬:月鈴さん


獅子ヶ谷:ゆーりぃん、そう簡単に言うなや

未来視た後はめっちゃ目ぇ乾くんやで?

ドライアイになってまうわ


月鈴:不便な能力アルなぁ


獅子ヶ谷:月鈴だってこないだ毒使い過ぎて、倒れてたやろ

貧血アルぅ…ってな


月鈴:う、うるさいヨ!


夜鈴:うふふ、にぎやかですねぇ


ジョー:皆さんお揃いで早めのランチですかな?


天馬:夜鈴さん、ジョーさん

皆さん揃っちゃいましたね

じゃあジョーさんの言う通り早めのランチと行きましょうか

ついで今日のお仕事のこともお話しします


――――――――――――――――――――――――――――――


エミリー:今日もおいしいねぇ

エミリーコピー:助手くん、デザートある?


夜鈴:いいですねぇ、デザート

温かい烏龍茶あります?

一緒に出していただきたいです


ジョー:私は紅茶をいただけますか?

確か冷蔵庫にどこぞの菓子店のチョコレートがあったはず…あれもいっしょにどうです?


獅子ヶ谷:おっさん、そら俺のチョコレートや

なんか果物のケーキ入っとったろ、そっちにしぃ?


月鈴:それ私の奴ネ

食ってもいいけど毒入ってるヨ


獅子ヶ谷:んなもん冷蔵庫に入れんなや!

死んだらどうすんねん!?


夜鈴:私がいるから死にはしませんよぉ


ジョー:死ぬくらい苦しいことには変わりないですけどねぇ、はっはっはっ


天馬:笑い事じゃないですよ…!

ちゃんとデザートは出ますからご安心ください…でもその前に今日の仕事の説明をします


エミリー:え~そんな~


天馬:デザート無しにしますか?


エミリー:聞かせていただきます


天馬:本日の事件は警察からの応援要請になります


ジョー:おや…では、異能者がらみってことですか?


天馬:それはまだ何とも…事件は都内で発生した連続通り魔事件です

被害者は若い女性が8人、全員が体のどこかに鋭利な刃物で切り傷をつけられています


夜鈴:8人も?警察の皆さんは随分お粗末な捜査をされたのですねぇ


天馬:犯人の足取りが追えなかった理由はいくつかあります

一つは事件の発生場所がバラバラであること…そして“犯人が消えてしまう”ことです


ジョー:消える?それはまた珍妙ですね


天馬:目撃情報などから、ある程度犯行後の足取りも追えていますし防犯カメラにそれらしい人物も映っているのですが…どの犯行現場でも突如として足取りが消えるんです

まるで煙みたいに…


夜鈴:異能者は様々な方法で消えられますから…でもそうなると…戦闘力が高い人選が求められるかもですねぇ


天馬:となれば…


獅子ヶ谷:グレアやな


天馬:そうなんですよ…ってことで、グレアさんを迎えに行くことが我々の午後の任務です


夜鈴:彼は今何を?


天馬:再々更生プログラム中です


月鈴:ぶははは!あいつまたなんかぶち燃やしたアルか!

あいつの能力強力すぎヨ

だからいつも私を連れてけ言うてるアル


天馬:夜鈴さんのご予定もありますから


夜鈴:研究機関の方のお仕事が多いですからねぇ


月鈴:お姉ちゃんが一緒じゃなくても仕事できるヨ!


ジョー:まぁまぁ、レディがそう声を荒げてはいけませんよ

月は夜と共にある…なんでしょう?

まぁ、お一人の仕事が希望なら所長に掛け合ってみてはいかがですか?


月鈴:どうせ取り合ってくれないネ

そもそも出張中でいないアル


ジョー:ふふ、月鈴さんの本気の【毒】を【解毒】できるのは夜鈴さんだけでしょう?

毒も解毒も本当に素晴らしい能力ですけど、二つ揃えばその価値は跳ね上がりますから


月鈴:…それもそうネ

私たち二人揃えバ、臭い物に蓋ヨ!


天馬:それは使い方が…まぁいいか

とりあえずグレアさんを呼ぶとして…また物壊されたらどうしようかなぁ…


夜鈴:修繕費が馬鹿になりませんからねぇ


月鈴:それなら私に任せるヨロシ

な、エミリー


天馬:え、何か手があるんですか?


エミリー:私がお札増やすよ


天馬:ダメに決まってんでしょうが…!


――――――――――――――――――――――――――――――


夜鈴:それじゃあ参りましょうか


獅子ヶ谷:なんで俺らが行かなあかんねん

グレアの相手したないで


天馬:まぁまぁここまで来たんですから…仲間を迎えるだけじゃないですか


夜鈴:暴れないといいですねぇ


天馬:うぐ


獅子ヶ谷:どうせ暴れたとき止めるために俺らのこと呼んだんやろ


天馬:うぐぐ


月鈴:私あいつ嫌いヨ


天馬:うぐぐぐ


獅子ヶ谷:てかジョーのおっさんとエミリーは何でおらんねん


夜鈴:エミリーはご飯を食べたらお腹いっぱいで睡眠時間に入ってしまいました

エミリーが起きたらジョーおじさまと事件現場を調べると書置きがありましたよ?


月鈴:気づいたらいなかったネ


獅子ヶ谷:あのエセ紳士…


天馬:まぁまぁ…晩御飯豪華にしますから


天馬:(NA)

ここは異能者専用更生施設…旧中野刑務所を改装して作られた更生施設とは名ばかりの異能者専用の監獄である


月鈴:そういえばグレアのアホは何してぶち込まれたアルか?


夜鈴:…確か、どこかの半ぐれ組織を隠れ家ごと吹き飛ばして、周囲の建物も半壊させたとか?


月鈴:ぶははは!めっちゃアホある!


獅子ヶ谷:しゃあないやろ…あいつの異能は威力極振りやし、熱くなると見境のうなってしまうさかい

ある意味それしか異能使用のメリットが無いっちゅーんは羨ましいけど

お、ここちゃうか?


天馬:みたいですね…グレアさん!迎えに来ましたよ~


(強化ガラス張りの牢獄の中に1人の男が座っている)


グレア:…ははっ…珍しく会いに来る奴がいるかと思えば…オーディナリーの探偵様御一行じゃねえか

何の用だ?


獅子ヶ谷:釈放や釈放

仕事するから手伝ってもらうで


グレア:獅子ヶ谷…釈放も何も俺は捕まったわけじゃねえ

こーせーなんちゃらってやつを受けてただけだ


獅子ヶ谷:更生プログラムや

檻の中から出してもらえへんねやから一緒やで


月鈴:そうアル!ちゃっちゃと出て私らの手伝いするヨロシ!


夜鈴:今回はグレアさんの力が必要になりそうですので


グレア:りんりん姉妹…お前らに言われるまでもねえ

出してくれんなら大歓迎だ…

さざめ!さっさとここから出しやがれ!


天馬:グレアさん…今回は仕方なく更生プログラム終わってませんが出してあげます

けど次また暴れたらしばらく出してあげませんからね


グレア:随分な物言いだな…こないだあのクソガキ共を片付けてやったのは誰だ?
事件解決の功労者だぜ俺は…だってのにこんなとこにぶち込まれる筋合いはねえな…

手柄は俺のもんだろうが?あぁん?


獅子ヶ谷:言うとんで


天馬:はぁ、ほらグレアさん

その事件現場の写真です

これなんていい画角ですよねぇ…一面真っ黒です


(天馬がガラスに貼り付けるように1枚の紙を見せる)


グレア:ぐぬ…そ、それは…


天馬:そして、こちらはこないだグレアさんが破壊した建物の修繕費の請求書です

我々は警察と公的に協力関係のある組織ですから費用的な援助を受けれていますが、グレアさんの給料から差っ引いてもいいんですよ


グレア:すいませんでした


夜鈴:うふふ…やっぱり、私たちいらなかったかもですねぇ


――――――――――――――――――――――――――――――


エミリー:おじちゃん…ここで事件があったの?


ジョー:はい…ほら、わずかですが血痕も残っています


エミリー:ねぇ、これ私って必要だったかなぁ

接触感応(サイコメトリー)があれば、大体何でもわかるのに

触れば見れるんでしょ?前にあったことが


ジョー:犯人は現場に戻ると言うでしょう?

もし本当に戻ったら私では戦えませんから


エミリー:おじちゃん弱いもんね


ジョー:武力だけが強さではありませんけどね

それにイギリス紳士は争いを好みませんので


エミリー:はいはい


ジョー:事件が起きたのは13時半ごろだそうです

人通りが少ないとはいえ、昼過ぎに犯行を行えばかなり目立ちますね…

さてさてどうやったのか


エミリー:ふわあぁぁぁあ…ん?ねぇ、おじちゃん誰か来たよ…

フードで顔が見えないなぁ


ジョー:…お、あれはリベランテブランドのコートですよ

高いんですよねぇ…その分機能とデザインが抜群で…


エミリー:…おじちゃん、手袋片方持っててくれる?


ジョー:え、はい


エミリー:あれ犯人かな?捕まえる?


ジョー:一般の方かもしれませんから、いきなり捕まえてはいけません


エミリー:でも、あの人多分…ナイフ持ってるよ?


ジョー:何…!?


犯人:…はっ!

(勢いよく駆け出した犯人が懐から出した刃物で切り付ける)


エミリー:えいっ!…うおっ重っ!

(犯人の刃物を持つ手をはじいて防ぐ)


ジョー:おわぁ!?


エミリー:…ナイフ…じゃなかったね

何それ


犯人:ダガー…という剣だ


エミリー:あっそ…


犯人:興味がないなら聞くな


エミリー:おじちゃん離れてて

人間の力じゃない…受け流すだけでも骨が折れそう


犯人:1人して逃がさんぞ、オーディナリー


ジョー:わ、私たちが何者か知っている…ということですか


犯人:異能者でありながら異能者を捕まえる愚か者

まさに“オーディナリー”…だろ?


エミリー:なんかムカつくね


ジョー:も、目的は何ですか!?


犯人:さぁな…とりあえず死んでくれ…!


エミリー:複製体(コピー)!

よっと!

(エミリーが拳銃を複製し犯人に向け構える)


犯人:なにっ!銃が出現しただと…!?


エミリー:ちゃんと撃てるやつだよ?

だから動かないでね


犯人:(NA)

こいつの能力は複製(コピー)のはず…複製できるような銃なんてどこに…!?

もしや、こいつの異能は近くのものを複製する能力じゃないのか…!


エミリー:(NA)

複製(コピー)にはルールがある

一つ、複製(コピー)できるものは手で触れたものだけ

二つ、一度に複製(コピー)できる数は、複製(コピー)する物ごとに決まっているし、試してみるまで最大複製可能数はわからないうえに私の体調に左右される

三つ、複製(コピー)対象は10個まで記憶することができる

11個めを触った瞬間に1個めに記憶していた複製(コピー)対象が複製できなくなり、再度複製(コピー)するためには本物を触りなおす必要がある


犯人:なるほど…侮れないな


エミリー:さぁ、どうするの?


犯人:こうする…

(犯人が突如透けるように消えていく)


エミリー:うぇ!?


ジョー:な、犯人が消えましたよ…!?


エミリー:うそでしょ…!?

困ったな…こうなったら…あれをやるしか…


ジョー:あれ…!?

危ない!…ぐあぁっ!

(ジョーが犯人の刃物からエミリーをかばって倒れる)


エミリー:おじちゃん!!


犯人:致命傷は免れたか…

これで殺せないなら勝ち目はないな

一旦引こう…ふふふ…


エミリー:待て!あ…消えた…!


――――――――――――――――――――――――――――――


~オーディナリー事務所~


獅子ヶ谷:ほんでぇ?現場に突如現れた謎のフードやろうにやられたっちゅーわけやな


グレア:被害者の写真見たぜ、みんな無防備に後ろから切られたみたいな傷だった…

ジョーは犯人が消えたことでそのことに気づいたんだろうな…

だから見えない敵でもかばえた


エミリー:ごめん…私が最初からあれをやってれば…


天馬:あれはエミリーさんの負担が大きいですから…時間もかかりますし無理ないですよ


夜鈴:命が助かっただけよかったです…


グレア:はっ、あのおっさんーがそんな簡単に死ぬかよ

腐ってもオーディナリーだ…俺が気になったのは犯人がなんで最初から透明になってこなかったかってところだ


月鈴:調子乗ってたんじゃないアルか?


獅子ヶ谷:単純な理由やな

でも犯罪者っちゅうのは短絡的なのも多いし、可能性はゼロじゃないわな


天馬:でも…むこうはジョーさんとエミリーさんのことを知っていた

犯行も突発的とういうよりは計画的な印象です


夜鈴:長時間消えていられない…というのもあるかもですねぇ

異能がいかに凄くても、人が扱う力には限界があります


獅子ヶ谷::ほな、その限界って奴を調べよか

エミリー…まだ起きてられるか?


エミリー:んがっ…!?うぅ…ふわあぁぁぁあ…ごめん、半分寝てた


獅子ヶ谷:すまんが、まだお仕事終わりじゃないで


エミリー:コピー作ると眠くなるから…


夜鈴:こればかりは異能者同士と言えど本人にしかわからない悩みですからねぇ


天馬:(NA)

異能は万能ではない

発動にも様々な条件がある場合が多いし、使えば使った分エネルギーを消費するため何かしらの形でそれが肉体に現れる

エミリーの場合は、能力の使用量に応じて通常よりも強い空腹や睡魔が襲ってしまう


グレア:それを差し引いてもそいつはよく寝てんだろ


エミリー:グレアくん、うるさいよ


天馬:エミリーさん、犯人とやりあったとき何か複製対象にしたんじゃないですか?


エミリー:うん、何かはやってみなきゃわかんないけど

う~ん…複製(コピー)!


夜鈴:これは…コートですね…


エミリー:あ…もう限界…あとは頼む…よ

(エミリーがゆっくり眠りについていく)


グレア:寝ちまった


獅子ヶ谷:よぉ働いてくれたわ…にしてもどこにでもある普通のコートにしか見えへんな


グレア:ジョーのおっさんが起きたら見てもらうしかねえかな

かなり精度下がるけど、コピーからでもサイコメトリーできなくはないんだろ?


月鈴:ん?このコートリバーシブルになってるネ!

よっと!


夜鈴:これは…!?ジョーおじさまに見てもらうまでもないかもしれませんねぇ


月鈴:すげえアル!裏返したら透明になったネ!


獅子ヶ谷:各国軍部が作っとる最新の光学迷彩でもこうはいかん

こら、光の反射か何かに干渉できるタイプの異能…つまりはリアル透明マントっちゅうこっちゃ…これはコートやけど


天馬:物体を透明にする異能持ちだった…ってことでしょうか?


グレア:いや、だとしたらなおさら最初から透明コートで来れば良かったはずだ…

なぜそうしなかったのか…


夜鈴:そういえば…エミリーは相手の力がめちゃくちゃ強かったとも言っていましたねぇ


月鈴:力押しできると思ったアルよ!

きっとそうネ!


グレア:…はぁ~なるほど?

おい、そのコート貸せ

おい、獅子ヶ谷…俺と腕相撲だ…俺は小指でいい


獅子ヶ谷:あ?なんでこんなときに…


グレア:早くしろ


天馬:透明なコート着ても見た目変わらないから変な感じしますね


獅子ヶ谷:どうでもええわんなこと…たく、ほれ

行くで…ふんっ!


夜鈴:あら?


月鈴:急にコートが出てきたアル!


獅子ヶ谷:それもそうやが…なんやこれびくともせえへん…!?


グレア:…透明化に怪力…このコートが再現できる異能は1度に1つまでってことだ

林原透(はやしばらとおる)と中津公孝(なかつきみたか)の異能だ

警察のデータべースで見たことある…ん?透明に戻らねえな


天馬:その二人なら…3か月前に行方不明になってますね


グレア:可能性が上がったな…敵の異能は…他人の異能を物に付与する、もしくはそれに近しい能力だ…

多分、付与できる異能の数か、付与対象の数かにしばりがあるタイプじゃねえかな

コートの裏側を透明にして、普段は普通のコートとして使う

必要な瞬間に裏返して、透明化と怪力を使い分けてるってわけだ


獅子ヶ谷:やっぱ喧嘩となると頭回んねんな

他人の異能だとしたら透明化の持続時間やらは手探りになるやろし、いきなり目の前で透明化が解ければ意味は無くなる…ジョーのおっさんが一緒ってことはサイコメトリーで手の内バレてる可能性あるわけやし、堂々と襲い掛かってから透明になったほうが隙つくれるっちゅうわけや


月鈴:…でもそいつ喧嘩以外で頭回ってないネ


グレア:いつも回ってねえやつよりマシだ


天馬:はいはい喧嘩しない


ジョー:確証はないですから…私が見ましょう


天馬:ジョーさん!けがは大丈夫ですか?


ジョー:はは、皮を切った程度ですよ…さて、話は聞いていました

調べてみましょう


天馬:(NA)

ジョーさんの異能…接触感応(サイコメトリー)は触れた物の残留思念を見る能力

触れた物体がどのような行動をとったかの軌跡を追うことができる

接触感応で見える世界は、残留思念が3Dモデルのように形になり、ドローンカメラで映像を見ているようなイメージだという

つまり一つの物品に触れている人間が多ければ多いほどその残留思念は膨大になり、欲しい情報だけをピックアップするのは困難になる


ジョー:…ふぅ、終わりました


夜鈴:大丈夫ですか?…お水です


ジョー:ありがとうございます、今回は持ち主がはっきりしているコートですから大したことなかったですよ

何者かから、このコートを受け取っている犯人のビジョンが見えました

犯人やコートを渡したのが何者なのかはわかりませんでしたが…場所は廃墟のようです


グレア:なら…俺の出番だな!


天馬:頼むから全壊だけは勘弁してくださいね


――――――――――――――――――――――――――――――


天馬:(NA)

ということで…怪我をしたジョーさん、そしてジョーさんの看病でエミリーさんは待機となり

グレアさん、獅子ヶ谷さん、月鈴さん、夜鈴さんでアジトへと乗り込むことになったのでした


夜鈴:あぁ駄目ですよ~

その毒カプセルは中和してしまいましたから、自分で命は落とせません

精神操作系の異能でしょうかぁ…?

怖いですね~

少し静かにしてくださいねぇ


天馬:夜鈴さん、裏から怪しい書類がいくつか出てきました

うまくいけば今回の黒幕がわかりますよ


夜鈴:そうですか~よかったです

他の方はいませんでしたか?


天馬:何人かいましたけど問題なかったです

取りこぼしちゃった分は獅子ヶ谷さんと月鈴さんで処理してくれます


夜鈴:それなら安心ですねぇ

月鈴だけだと危ないですから


天馬:ははは…それにしても随分おとなしくなりましたね


夜鈴:月鈴の毒を少しだけ中和して、強制的に眠らせるものに変えたのですよ

飲めば死んじゃう毒も、コントロールできれば使い勝手のよいお薬です


天馬:…僕も欲しいです、その薬


夜鈴:ふふふ、助手さんはいつも頑張ってて偉いですからね


天馬:僕は皆さんみたいな力は無いので、首切られないように必死なんです

…あ、通信が…はい…え!?月鈴さんが!?

マジですか!すぐにそっち行きます!


夜鈴:…私からすればこのメンバーをまとめれていることが超能力ですね~


――――――――――――――――――――――――――


天馬:月鈴さん!何してるんですか!


月鈴:何って…見てわかるアル

毒ガス出してるネ


天馬:これ人死ぬやつじゃないですよね!?


月鈴:死なないヨ

たぶん


天馬:多分じゃ困りますよ!


グレア:馬鹿野郎が…さざめ!ここで俺の能力は使えねえ!外に出るぞ!


天馬:わかりました!獅子ヶ谷さん!サポートを!

ここにいる人たちはもうほぼほぼ無力化したみたいなもんなんで月鈴さんに任せます!


獅子ヶ谷:おう!行くでグレア


グレア:命令すんな

しかし…なんなんだここ…やたらと敵が多いぞ

もしかして、割とでかめの藪(やぶ)をつついたのか?


獅子ヶ谷:さぁな…でも、たぶん犯罪者の巣窟やろこんなもん

武器とかぎょうさんあったし

お手柄ってことでボーナスもらわな割に合わんで


グレア:…もう少し割に合わなくなりそうだぜ?


犯人:もうこの場所がバレるとは思わなかったぞ

(建物の陰からコートを着た犯人が現れる)


グレア:あのコート、あれがおっさんとエミリーを襲った奴か…

馬鹿を言ってんじゃねえぜ…悪い奴は捕まるって相場が決まってんだ


犯人:お前が言うのか狂炎(きょうえん)のグレア


グレア:へっ…当然だ

俺が悪だった時なんて…一度もねえ!


獅子ヶ谷:やれやれ…ほんまどの口が言うとんねん


獅子ヶ谷:(NA)

発火(パイロキネシス)それがグレアの異能

自身の体の好きな場所から炎を生成可能…本人の調整で爆発やバーナーのような集中的な高火力を出すことも可能…

そして異能を使用する代償は…


犯人:…ぐぅ!?なんて熱だ…


獅子ヶ谷:はっーはっは!!燃えろ!燃えろ!!クソ犯罪者!!

…てめえを燃やせばよぉ…手柄は俺のもんだぜぇ!!


獅子ヶ谷:(NA)

脳みそまで熱くなりすぎて、狂炎なんて通り名がつくくらい徐々に自我を失ってしまうってところやな


獅子ヶ谷:グレア!いったん止まれ!


グレア:あぁ!?なんだ…てめぇ…邪魔すんのか!


獅子ヶ谷:(NA)

未来視で視える未来は最長24時間後

その時間に近づけば近づくほど、目と脳に負担がかかる


獅子ヶ谷:…あと1分使い続ければ、自我なくなってこの辺吹き飛ばすで


グレア:なら…先にお前をぶっ飛ばして…!!


獅子ヶ谷:待て待て、手柄はお前に譲ってやるから、俺にもやらせろゆーてんねん

喧嘩ならその後にいくらでもしたる


グレア:…へっ!しょうがねえ…!

はぁ~~~~…ちょっと頭冷やしてやらあ


犯人:仲間割れか?哀れだな


犯人(コピー):だが…お前が私に勝てるわけがない


グレア:おぁ!?増えたぞ!?これってエミリーの複製(コピー)じゃねえのか!?


獅子ヶ谷:はっ、俺の能力知らんのか?…そう来ることくらいわかっとったちゅうねん!


犯人:ふん、この異能の恐ろしさはお前たちが一番知っているはずだ

数の恐怖を思い知るがいい…!!


――――――――――――――――――――――――――


月鈴:…んで、これが犯人アルか?


犯人:ち…違います…俺は犯人では…


天馬:…ん~演技には見えないくらいの消耗具合ですね

お二人で何したんです?


獅子ヶ谷:別にぃ、普通に喧嘩しとっただけやで


グレア:コピーで大量の分身作ろうとして、勝手に倒れただけだ

コピー作り出すのにどれくらいのエネルギーが必要か知らなかったんだろ


月鈴:お前なんでエミリーの異能が使えるアル


犯人:そ、それは…貸してもらったので


グレア:誰が貸した?


犯人:それは… 知らなくて…


グレア:あぁっ!?知らねえだあ!

借りてるくせにそんなわけないだろ!


犯人:本当に知らないんだ!

この顔と同じ奴から異能は借りた!

そいつは大量の異能を持ってて、その中には姿を変えるものもあった!

俺はそれでこの姿に変えられたんだ!

だから、この顔が素顔なのかもわからねえよ…


天馬:はぁ…厄介事の香りですねぇ…

獅子ヶ谷さん、グレアさん…さっき中で戦ってた人たちなんですが…


獅子ヶ谷:おぉ、なんかあったんか


月鈴:消えたネ


グレア:消えた?なんで消えるんだ


夜鈴:複製体だったんです


獅子ヶ谷:マジか…なんか数が多いなって思っとったけど、又貸しが可能なんか

おい、どういうルールで貸したんや


犯人:俺はもとになる複製(コピー)の異能を借りた…この姿になることを条件として…

他の奴らには俺から異能を貸し与えた…複製体の作成は自分のみ、出せる数は1体だけ

って条件で…


グレア:何かを条件として、他人の異能を使ったり、他人や物に付与する能力ってことか

…こいつの消耗の仕方から見て、エミリーより燃費が悪そうだ

又貸しをすればするほど、異能がなにがしかの方法で弱体化していく…そんな能力なんじゃねえか?


天馬:…犯人は何かしらの方法で異能を集めていた

透明化、怪力、変装、そして複製…

エミリーさんとのわずかな接触で異能を使われたことを考えると、異能を盗む条件は接触程度の簡単なものなのかもしれませんね


獅子ヶ谷:…そやな…ん?

グレアちょっとこっち来て~


グレア:あ?なんだよ…


月鈴::助手の言うことが正しいなら使える能力は他にもありそうアル…

でもこんなチンピラ組織をそそのかして、異能をやって…こんな場所に呼び出して…

目的は何アルか…?

そもそも通り魔をしてた理由もわかんないし

お前、なんか知らねえのかヨ


犯人:それは…


天馬:…犯人はエミリーさん、ジョーさんがオーディナリーであることを知ってた…ってことはもしかしたら…犯人の目的は最初からオーディナリーだったとしたら…!?


天馬:(NA)

その瞬間、空に眩い閃光と轟音、そして衝撃が走った

そこで僕の意識は途切れた


――――――――――――――――――――――――――


(電話が鳴る)

犯人:はい…もしもし

…あぁ、現場にいたのはグレア、獅子ヶ谷、王夜鈴(わんいーりん)、王月鈴(わんゆーりん)姉妹だ

…なに?もう一人?…あぁ、あの異能も持たない探偵助手か?

数に入れる必要はないだろう…あんたがそこまで言うとは驚きだな…

今後は気を付けるとしよう

…あぁ、今後だ…あの程度の爆弾でくたばってくれれば苦労はない

獅子ヶ谷に未来を視られた…現場に奴らはいなかったんだ

逃げられたんだろう


はぁ、わかってる…認める、謝るよ

舐めていたんだ

複製(コピー)と接触感応(サイコメトリー)を奪うのは大したことじゃないと思っていたが…実際に奪えたのは複製(コピー)だけ

だから、あの場所におびき寄せて、爆弾で動きを封じて、一気に異能を奪うつもりだったが…お粗末だった

次はもうしくじらない…

ところで…もうすぐ俺の貸借(レンディング)に利息が発生する…

また頼むよ

それじゃあな…


――――――――――――――――――――――――――


天馬:…あれ…ここって…

(事務所のベッドで目が覚める天馬…ベッドの脇には突っ伏すようにエミリーが寝ている)


エミリー:す~…す~…


天馬:エミリーさん…エミリーさん?


エミリー:うぁ?んん…ふわぁ~あ~おはようあまちゃん…無事でよかった


天馬:無事って…いっ…!?

うわ…包帯でぐるぐるだ…何があったんですか・


ジョー:爆弾の爆発ですよ


天馬:ジョーさん…爆弾って


ジョー:現場の写真です


天馬:なんだこれ…現場が吹き飛んでる…グレアさんが何かしたんですか!?


ジョー:違います落ち着いてください


天馬:あ、はい


ジョー:敵の正体がわかりました


天馬:え!?


ジョー:現場から私が見つけてきましてね…大変だったんですよ


天馬:…僕どれくらい寝てました?


ジョー:二日です


天馬:…なるほど…じゃあ、犯人は誰か教えてもらっていいですか?

所長


ジョー:おや…なぜバレたのか…

(ジョーの見た目のまま、声が変わる)

所長…ふふ、うまく変わったと思ったんだが…


天馬:…この写真から見るに、ジョーさんが犯人を割り出すのは至難の技です

本当に犯人を見つけたのなら、今頃倒れていると思います


所長:探偵が板についてきたんじゃないか?さざめくん


天馬:僕は助手が関の山ですよ…

皆は無事なんですか?


所長:獅子ヶ谷くんが爆発が起きる未来を視てね…

逃げるのは無理だと判断して、グレアくんに迎撃させたんだ

爆風の熱や衝撃を弾き返して弱まらせてくれた

夜鈴くんと月鈴くんが体液を凝固させて壁にしてくれたから、これくらいの怪我で済んだんだよ


天馬:そうですか…よかった

その見た目、混乱するんでやめてもらえますか?


所長:おや…それじゃあ


(ここから声が月鈴に変わる)

月鈴:この見た目の方がいいかな?

声もよく似ているだろう?


天馬:却下で


月鈴:残念…それなら


(ここから声が夜鈴に変わる)

夜鈴:こっちにしようか


天馬:いたずらはやめてくださいよ…


天馬:(NA)

所長の異能は精神感応(テレパシー)

他人の意識に干渉し。認識を歪めることができる

今目の前にいる所長のことを僕の脳は所長だと認識できていないのだ

本当の姿や声は誰も見たことが無い

所長:そうだな…お遊びはこれくらいにしよう

犯人だが…こんな感じで合っているかな?


(所長がその場に犯人の姿を作り出す)


天馬:…うわぁ、そうです…ほんとにここにいるみたいですよ


所長君の脳をそう錯覚させているんだ


犯人:この犯人の能力には覚えがある


天馬:うわっしゃべった


犯人:貸借(レンディング)と呼ばれるものだ

異能者に触れることで、異能のコピーを一方的に借りることができる

そして、借りた能力を切り分けることで他の人間や無機物にも貸し与えることが可能だ

生きているか死んで間もない異能者からじゃないと借りられないということ

そして、他人にや他のものに貸せば貸すほど、借りた能力が弱体化することが弱点だな


エミリー:だから、私の異能を使うことができたんだねぇ


天馬:えっ!エミリーさん…これは本物…幻覚…?


エミリー:ふふ、どっちかな?


天馬:うぐ…まぁ、今はこっちが先ですね

それでいくと、現存する異能者にこっそり触れるだけで最強になれてしまうとんでも異能ですね


グレア:それがそうでもねえんだなぁ


天馬:今度はグレアさんが…そうでもないってどういうことですか?


グレア:どんな異能にも強い力の代償は存在する

貸借(レンディング)の場合は、借りた異能の代償が2週間に1度強化されて発生する“利息”が発生しちまうんだ

借入期間が長いほど、利息は大きくなっていく


天馬:え!?それって…


エミリー:私の能力を借りてるから、睡魔と空腹が通常の比にならないくらい襲うと思うよ


グレア:俺の異能を借りたとしたら、正気を保ってられねえかもな


夜鈴:私や月鈴の異能を借りたとすれば~


月鈴:体が一気に水分不足になったり、体液に含まれる成分が無くなるネ


獅子ヶ谷:俺の未来視なら、良くて視力低下…悪いと失明するかもしれへんな


ジョー:私の力を使えば、脳が機能不全になるかもしれません


天馬:確かにそれじゃあ、異能を片っ端から借りようもんなら…2週に一度死にますね…


所長:そう…私が昔対応したことがある異能者でね

冴島弘(さえじまひろむ)という男性だ

姿を変える異能で見た目を変えているようだが…そこまで危険視する必要がある犯罪者ではなかった

異能を借りようにも借りられないわけだし、自分の命をぞんざいに扱うタイプでもなかったからね


ジョー:でも、犯人はお構いなしに異能を借入ようとしている

考えられるのは…利息を踏み倒す方法を見つけたから…


月鈴:2週に一回の利息の支払いを免れられれば、異能は使い放題ネ


夜鈴:利息は絶対に発生します

なので、利息を払ってもなお問題ない体を手に入れるか…誰かに肩代わりしてもらうしかないと思いますねぇ


天馬:で、でも…そんな無敵な体があるなら、異能を集める必要ないですよね…

それ自体が無敵の異能です…だとすれば…


所長:肩代わり…だろうね

確証はないけど、そういう異能に心当たりがあるんだ


天馬:心当たり…ですか…?


所長:昔…他人や自分に受けた傷や病気を視界に映った他人に渡せる異能を持つ者がいたんだ

冴島はそいつと手を組んだのかもしれない


天馬:じゃあ…!


所長:情報を事務所のデスクに置いておく

捕まえるんだ


天馬:わかりました…でも、僕は異能も持たない探偵助手ですから…

何ができるか…


所長:ふふ…君は何もわかっていない

君が来て1年…

ここは随分変わったよ


天馬:そうですか?平々凡々な自分ができることなんてたかが知れてると思いますが…


所長:君にしかできないことがあるんだよ…さざめくん

それじゃあね


天馬:次は何も仕掛けないでくださいよ…?


(間をとる)


所長:…強い力も使いこなせなければ意味はない

必要だったのは、暴れ馬のような力でも道具のように操れる…そんな真の“探偵”さ

…期待しているよ…【一般人(オーディナリー)】

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