「大学に行っても意味がない」とコメントする人の正体
ヤフコメやBBSに多く、ツイッターにもいないわけではない「大学なんて意味がないから高校を出て高卒で働けばいい」みたいなコメントをよく目にします。私が気になるのは、大学関係トピックでこの種のコメントが常時一定割合あるので、どんな人がしているのか大変気になるところです。
まさか本人が一流大学を卒業してこんなことを書くわけがないと思うのですね。かといって、学歴に全然恵まれず、頭脳労働とまるで関係のないゾーンで生きてきた人がしつこくコメントするのもなんかキャラが違うよなぁと思うわけです。
まず、コメント主の単語やキャラクターを深掘りしていくとある程度のプロファイリングが可能です。
「もし大学に行きたければ働きながら有名大学の夜学に行けばいい」
この短文コメントには2つ注目すべき点があります。まずは、大手大学の夜間部はほぼ絶滅状態にもかかわらず知識のアップデートがなされていないこと(※1)。もう一つは夜学という死語です。このことから相当の年齢、恐らくは60代が推定値で前後10歳ぐらいの間にはおさまるでしょう。
この時代の大学進学率は2割程度。成績がいいけど兄弟姉妹が多くて大学に行けなかった、敢えて手に職をつけるために普通科高校を断念して工業高校に行ったみたいな層が多かった時代で、進学校にもそのまま就職をする生徒が存在する時代でした。
そんな彼らもサラリーマンとして人生を歩める時代だったので、大卒ではないけれどなんとか定年前には下級の管理職になって部下を束ねていたら、大して出来がよくなさそうな新人たちが猫も杓子も大卒で、会社自体も大卒からしか採用しないような状況を目の当たりにします。まるで自分の人生が否定されたかのような思いの人の多いのではないでしょうか。
そして、名前の出ないヤフコメやBBSでため込んだルサンチマンを誤った方向で射出する行動に出てしまうわけですね。なにも「俺も時代が時代で大学行けなかったけど行きたかった」みたいに言えばいいものを、若者を自分と同じ沼に引きずり込むように。
・社会では役に立たないのだから大学なんか行く必要がない
・大学に行かなきゃならない社会だから少子化が進むんだ
・企業の側も高卒採用を増やせ
・大学に行くよりも工業高校などで手に職をつけた方がいい
・大学に行きたければ働きながら有名大学の夜学に行けばいい(ほぼ絶滅)
・大手企業の高卒枠の方が絶対にお得(ほぼ絶滅)
彼らの必死の抵抗は続きます。まるで1年生の時に理不尽な思いをした体育会系が上級生になった時に1年生に暴力をふるうのと同じ原理です。
ところで、彼らを黙らせる反論のメソッドがあります。「そこまでおっしゃるのですから自分のお子さんも当然高卒で働かせるんですよね?」と言うと、以降コメントがつかなくなります。別に素性を明かしているわけではないのだから実際の状況にかかわらず「ああそうだよ!」ぐらい威勢よく言えばいいのに、そういうところで黙ってしまうのは、ウソはついちゃいけないみたいな妙に実直で昭和な職人気質でしょうか。
※1:大学の夜間部がどのように推移し減少していったか、また文部科学省や大学関係者のデータやコメント、その考察は拙著を読めばわかりますがここでは私は素性を明かしていないので紹介できずすみません(笑)。
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