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戦略人事よりも先に、戦略のための人事を。ある経営者の話から考える人事の要諦。

結論から話すと、ここに凝縮されます。
「MVVも大事。でも、戦略はもっと大事。」
(MVV:Mission、Vision、Value)

今日、友人である経営者にコンサル先の会社で講演してもらいました。
彼は、A社でCOOをやり、その後B社でCEOをやり、それぞれで実績を出し、成功を収めています。

講演の最後に質疑応答の時間に役員がこう聞きました。

「ミッションやヴィジョンやヴァリューがあってよかった、こういう時に役に立ったということはありましたか?」と。

友人はこう答えました。
「それよりも大事なのは戦略だと思います。」と。

趣旨はこうです。
・MVVは大事。確かに大儀としては必要
・社会貢献のためにやっている。それが自分のエネルギーの源泉。自分のためよりも人のためのほうがエネルギーがでる
・でも経営においてはMVVよりも戦略が大事
・MVVがあっても社員は動けない。戦略は何をするかしないかという具体的な行動の判断軸になる。
・コンサルしているある会社で立派なMVVはあるが戦略がないので社員が動けない。それは目隠しをして走らせているようなもの。来月、その会社から優秀な社員が2人辞めることになっている。本当にもったいない。

前後の文脈もあっての話なので、分かりにくいと思うので、私の解釈で話します。

まず、会社は組織です。

Googleで調べたOxford辞典で参考にすると、組織とは「ある目的を目指し、幾つかの物とか何人かの人とかで形作られる、秩序のある全体。そういう全体としてのまとまりを作ること。また、その組み立て方。」とあります。
大方、異論はないでしょう。

そして、ここに定義がある通り、目的を目指しています。
つまり、目的が必要です。
組織である限り、MissionとVisionは必要です。

常々思うのですが、「うちの会社にもMission、Visionが必要だよね?」という話があったりしますが、MissionとVisionがない会社はそもそも組織ではないのです。

次に「秩序のある」とありますから、Valueも必要です。
(Valueはここでは「行動指針」としておきます。)

「MissionとVisionがあれば大丈夫!これを目指していこう。」
「それを目指すために社員のあるべき行動として、規範としてValueを作ろう、これを指針にしていこう。」
立派です。素晴らしいです。
組織ですから、あって当然ですよね。

でも、それだけじゃ会社にならないのです。

MissionもVisionもValueも組織の最低限の条件であって、これだけでは会社にならないのです。
会社は営利目的で作るものです。

儲けなくていいなら会社じゃなくていいのです。
儲けるためには、利益の出る商品・サービス、強み、市場における立ち位置、収益の仕組み、オペレーション、競合に勝つ方法が最低限必要です。
これがストーリーや再現性のあるものにしたのが戦略です。

MVVは組織の必要条件であって、会社には継続的な利益創出と、そのための戦略が必要になります。それがあって初めて会社と呼べるのに、MVVを作ってキャーキャーと喜んでいる人たちはきっと経営者ではないのでしょう。

人事や人事コンサルも心しておくべきです。
経営陣で戦略の議論がされ尽くしているか?戦略は明確か?戦略に基づいて施策や実務は明確になっているか?

戦略がなければ人事制度も組織開発も抽象的な内容か、教科書に書いてあるような定型的な内容になります。
例えば、人事制度なんて本を買ってちょっと勉強すれば、まあ誰にでも作れるようになります。最近の書籍はよくできているので本当によくまとまっていますよ。丁寧に階層別のコンピテンシーをまとめたような書籍も売っている。でも、書籍だから、誰にでも使えるものだから、抽象的なのです。ふわっとしているのです。

MVVは組織としてあって当たり前。
戦略はありますか?
戦略に基づいて人事してますか?

ちなみに組織に基づいて戦略を考えることもあるけれど、これは今日の話とは別ですね。

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