見出し画像

(36)笑ってはいけない"陣痛に耐える妻" マト、アウトー!


※出産のお話ですので、下のお話も出て来ます。聞きたくなーいという方、ご注意くださいね。


助産師並みのサポートを披露したマトさんに連れられて、ペンサコーラのNavy Hospitalに到着。お腹壊して腹痛になったと思ってた痛みがなんと陣痛だったという。。。(笑)


陣痛って、痛みの種類が違うのかと思ってたんですよね。でも本当に、絶対お腹壊したと確信したくらい同じような痛みで始まったの。マトさんが気がつかなかったら、私は多分あのまま家にいたと思う。


病院に着いたらまず問診、そして内診をした頃にはだいぶ痛みも増してきた。痛みと言えば...そう、私まだ迷っていました。



自然分娩 vs 無痛分娩



前にも書いたけど、日本人の私にはやっぱり"お腹を痛めて産むのが美学"みたいな考えがあったので、無痛分娩には痛みを感じずに"楽して産む"みたいないなイメージがあった。だから結局どちらって選べなくて、定期検診の時に"当日決めてもいい"と言って貰ってたので、産まれる時に決めようと思っていた。


内診の結果、子宮口(cervix)はまだ2cmしか開いて無かった。


"We won't be able to give you epidural until your cervix dilate 4cm"
(子宮口が4cm開くまでに麻酔は打てない)

epidural(エピドラル)やAnesthesia(アナスティジア)は麻酔、Cervix(サヴィックス)が子宮口、Dilate(ダイアレイト)は拡張とか開くという意味。Dilateは眼科でも良く使う。瞳孔を開く目薬とか挿される時に聞きます。ちなみにカタカタで書いたのはあくまで私の聞こえ方です。

9ヶ月間の定期検診、最初はなんの事だか全然分からなかったけど、この頃には主な出産用語は覚えていた。毎日英語で出産ドキュメンタリーをテレビで見て怯えビビってたのが思ったよりもかなり勉強になっていたと思う。


私はアメリカでの出産経験しかないので、日本の出産の流れがわからないけど、日本では出産前に浣腸しておく事もあるって聞いたけど、アメリカではそんなことしません。病院に入って2cm開いてた子宮口を4cmになるまで放置ですけど、ナースは部屋に案内してくれて"イイモノ カシテアゲル"って言ってあるものを持ってきてくれました。ソレは何かと言いますと....


大きなバランスボール


だった。


"ソレニ スワッテ バウンス シテルト ラク ダカラ! グッドラック!"



部屋に残された大きなボールと私とマトさん。少しずつ陣痛の間隔も縮まってきて、痛みも増してくる。なんだか痛くてじっとしてられないから、とりあえず貸して貰ったバランスボールに座って跳ねてみた。



"あ、なんか本当に楽かも?"



って思って、ずっとバウンス、バウンスして、たまに腰を大きく回したり。止まると余計痛くなる気がして止められない。マトさんはずっと横に着いてくれてて、たまに手を握ったり、背中とか腰とか擦ってくれた。


跳ねる、跳ねる、唸る。



休む。



跳ねる、跳ねる、唸る。



↑これ、2時間近くしてた(笑)
いい加減疲れたし、陣痛もかなり強くなって、心の中では"お母さーーーーん!!!"と叫び、練習しておいたヒッヒっフーなんてすっ飛んでやってる場合じゃねぇ。
痛い、苦しい。


I can't do this ANYMORE!!!!!!

(いい加減こんなボールに座って跳ねてられっかー!!!)



って、半ば逆ギレしてマトさんに向かって叫んだ。
叫んだ瞬間、勢い良く立ち上がったんですけど、その時に来ました。何が来たかって、



"おしるし"



数日前にもうっすらあったおしるし。でもこの時のおしるしはもう100%産まれますって感じのおしるしだった(笑)
量は多かったけど破水ではなく、おしるし。


痛くて怒ってる妻、日頃怒らない(英語だと怒れない)私が豹変した姿を目にして、マトさん慌ててナース呼びに行った。ナースがドクター読んでくれて、もう1度内診したらやっと子宮口4cmまで開いてた。



"You want epidural?" (麻酔打つ?)



ナースに聞かれました。
私、妊娠期間ずっと迷ってた。やっぱり楽な道を選ぶのはズルいかも。日本では自然分娩が当たり前だから....って、その思いの方がどっちかというとずっと強かった。みんなこれを乗り越えて産んでいるんだから、私にもできるはず。。。


今、まさに決断の時です。
勇気を出して、ハッキリ言いました。





"Yes, Please! (麻酔、打ってくれ!)"



大きな声で、ハッキリと、そう申しました、わたくし。
あんなに迷った9ヶ月、この時は何の迷いもなく、躊躇なく、堂々と"私に、どうか麻酔を打ってください"、そう自分の口から出ました。


だって、痛いし苦しい(T_T)
お母さーーーーん!!!(品川に届け)




私が無痛分娩宣言すると、分娩をする部屋に移動して、あっという間に麻酔のお注射の準備が整いました。


"セッカク ウツンダカラ イタミ カンジハジメタラ イツデモ イッテイイカラ!スグ ツイカ デキルカラ!"


麻酔の追加、大歓迎よ!ってな感じで、背中にお注射されまして、その瞬間に痛みはほぼ消えた。お腹が張る感じは残ってたけど、全然痛くない。



"一体何を迷ってたんだろう"



その時そう思った。痛みに耐えて、お腹痛めて産むことが美学だと思ってたその考え、一気に吹っ飛んだ。ちなみにね、私の保険は無痛分娩の麻酔もカバーされてた。日本だと無痛って高いのかもしれないですよね。1つ言えるのは、自然分娩で痛みに耐えて産んだから可愛さが大きいとか、無痛分娩で痛みを経験してないから愛情が薄いなんて事は絶対ありません。


愛情は産み方では左右されません。



これは声を大にして言わせていただきます。
出産って大変です、本当に。私も無痛分娩選んで、痛みも和らぎ楽な出産になると思っていました。


麻酔を打ってすぐ、ドクターに言われました。


"We will break your water." (破水させます)


そう言われました。破水を待たずに、人工的に破水させるという。"Your water"のwaterって、この場面では羊水の事を指します。これ、私は出産ドキュメンタリーで何度も見てた場面。なぜわざわざ破水させるのか?というと、その方がお産が早く進むって言うことでした。ドクターが言うなら安全かもと思って、私もそれに同意して、破水させることになりました。


この時点でも痛みはなく、あるのはお腹の張りのみ。棒状の物を下から入れて、破水させました。羊水がチョロチョロっと出て行くのが分かった。赤ちゃんの心拍や陣痛の様子をモニターするために、お腹に色々貼られた。するとナースがちょっと焦っています。


"I can't take the baby's heart rate...."
(赤ちゃんの心拍がうまく読み取れない)


それ聞いて、えっ!?っとなって、ナースとドクターがバタバタし始めた。なんやかんや焦って相談してるのを見るしかなくて、咄嗟の判断をしたドクターがこう言った。


"Water モドス"


は? モドス?戻す? 今破水させたのにどうやって戻すんだろうと思ってみてたら、長めのストローのような棒が付いた大きな大きな点滴の袋を見せられた。


"Water モドス"



長めのストローを下から入れて、点滴袋から少しずつ液体が子宮に入っていく。。。。Water戻された。。。(汗)



おめぇら、破水させないほうが良かったんじゃぁねぇのか?


そう思っても言えない。英語で言えない。
でも水分が戻った瞬間、赤ちゃんの心拍はキレイに取れるようになった。



やっぱり、破水させなきゃ良かったんだよね。。。
言えないけどさ。まぁ良い、赤ちゃん無事なら良い。



って思ったら、またナースが言った。



"ネガエリ ウッチャ ダメ"


寝ちゃダメじゃなくて、寝返りしちゃダメだって。赤ちゃんの心拍がこの一定の位置でしか取れないって言うから(泣) 何の為の破水。。。。



寝返りしたり、ポジション変えたかったらナースコールしてねって、そう言ってナース達は消えた。赤ちゃんが心配で動けない。左側を下に横向いたまま同じ位置。それでもちょこっと足の位置変えたりしながら2時間位頑張った。そしたらなんか。。。。


"痛みが戻って来た"



麻酔切れたっぽい。早くねぇか? でもあの麻酔ドクター、"追い麻酔"いつでも言って良いからって言ってたので、早速ナースに相談した。そしたらこう言われました。



"アラ、ドクター イマ エマージェンシーオペ ハイッチャッタ"


麻酔医、緊急オペで手術室から出てこられず。
ガビーーーン(T_T)



この時真夜中だったんですよ。。。多分ドクターも最小限しか居なかったと思う。終わったらすぐ来てくれるように頼んでおいてくれるとのこと。


そのやり取りの間にもどんどん痛みは戻って来た。
もう唸るしかない。陣痛が来る度に歯を食いしばって唸る、半泣き、休む。この繰り返し。マトさん相変わらず横に付いて、手を握ったり、背中擦ったり。そしてたまに横になってウトウトしてる。


寝てる姿にイラッとして、でも文句言う暇はない。痛くないときはちょこっと休む。そしてまた唸る。私の唸り声が大きくなったら起きたマトさん。陣痛のモニターを見ながら私の背中を擦って、こう言いました。


"Here comes next contraction!"
(ほら、次の陣痛来るよ!)


モニター見てたら分かったんだろうね。
本当に、新しい命を産み落とそうとしている時にこの言い方なんだけど、うっすら殺意を覚えた。歯を食いしばって、怒りを抑えて言いました。



"I don't wanna know.(知りたくない)"



そして痛みと共に更に余計に大声で唸りました。
そしたらですよ、マトさんがなんと



"私の姿を見て笑ってやがる"



殺意が増した瞬間だった。
おめぇさん、何を笑ってるんだよ? え?
今あたしゃぁ、痛みと戦ってるんだよ、あんたの子供を産むためにさ。なんか笑いを堪えているのも分かるんだけど、それも余計に腹が立つ。後で聞いたら、私が凄い怖い顔で怒ってて、そんな姿初めてで笑っちゃったらしい。



"笑ってはいけない 分娩室24時"だったらケツバットで殴られるよ、あんた。タイキックも食らう。



"マト、アウトー"



ってアナウンス入れるわ、本当。




イライラと痛みは増すばかり。何時間経ってもドクター来ない(泣)
ここから4、5時間、マトさん相手に唸り続けました。



次回、いよいよリサに会えるのか!?




《今日のヒトサラ》

•トルティーヤチップス(Doritos)

マトさんって、どこに行くにもスナックの準備が抜かりないんだけど、大抵はDoritos(ドリトス)っていうチップスが多い。確か出産の時も、お腹空いた時の為にと自分用にドリトスとGatorade持参してたと思う。食べられない私の横で食べてたよ、確か。

私もドリトス大好きだけど、そのまま食べるよりも、Guacamole(アボカドディップ)とかサルサと一緒に食べるの好き。ハワイのTaco BellのDoritos Tacosという、タコスシェルがドリトスで出来ているタコスはオススメ。写真はNacho Cheese味のトルティーヤチップスで出来たタコスシェルを使ったおうちタコス。











この記事が参加している募集

エッセイに登場する”出演者”である家族に”出演料”として温泉旅行をプレゼントするのが目標です。イッテQ!の温泉同好会の様な宴会をすべく、各自芸を磨いて待機中との事ですので、サポートしていただければ幸いです。スキ、シェアだけでもすごくうれしいです。よろしくお願いしますm(‐‐)m