「プロが教えるEQの秘密」を翻訳。周波数帯ごとの印象を書いていく。
こんにちは。イーヴィルな斉藤(@evilsaitoh)です。
以前の記事でコンプレッサーについて書きましたが、今回は同じ動画主の方のEQ版を翻訳します。
最初に書くと「チャートなんか見てないで耳で判断しやがれ!」というのが私の持論ではありますが、一方で判断材料が何もないのにいきなり「肌で覚えろ!」というのは乱暴な話です。パワハラ上司です。
なので、飽くまで知識として書いておきます。
1 動画情報
動画名:VOCAL EQ SECRETS of the PRO’s
2 EQのチャート
一番必要なのは、音を聴くこと。
※この動画で使用しているのはコンデンサーマイク・Neumann TLM67なので、ダイナミックマイクなどを使用している人は低域のブースト量を抑えるなどで対応してください。
①100Hz
100Hzはボーカルの最低音で、太く、深く、ゴロゴロした音になる。
この帯域を上げるとラジオナレーターなどが出す低い声を作ることができる。
逆に削ると細く、中高域がブーストされたように感じる。
②200Hz
200Hzは暖かさを司る。
ほとんどすべての人にとってボーカルが暖かくなる。
また、ここを削ると人によっては不快な音を出す。
男性のハイトーンや、女性の声にはほとんど100Hzが含まれていないので、ここを100Hzの代替として上げることもある。
③300~500Hz
300~500Hzは、箱の中にあるような、ホンキー(ルームトーンが余分に含まれる的な意味?)な音。
私はここを頻繁に調節することはないが、もしボーカルがヌケの悪いルームトーンを含んでいる場合はここを調節するだろう。
(ただし、ブーストすることはない)
④600Hz~1kHz
600Hz~1000Hz(1kHz)は、低中域で、あまり特徴はない。
暖かみも持つが、やはり少し箱形の鳴りがする。
ボーカルのボディ(芯)が多く含まれるので、あまりカットしたくない。
⑤1.5k~2.5kHz
1.5k~2.5kHzは、ミックスから飛び出てくるようになるが、上げすぎると鼻にかかったような音になる。
(2kHzあたりから広めのQで少しずつ上げていくとわかりやすい)
逆にここが少ないとミックスから存在感が消えていく。
(訳注:それを利用してコーラスで下げて存在感を薄めにするのはありですね)
触らないこともあるが、最も重要な帯域である。
⑥2.5~3.5kHz
2.5~3.5kHzはブーストすると鼻にかかったような音になるし、カットすると存在感が失われる。
トレードオフなので、どちらかを選んで使うことになるだろう。
⑦4kHz
4kHzは私が最も嫌いな帯域。なぜなら私たちの耳は4kHzに最も敏感だからだ。
ここが多すぎると決して良い音には聞こえない(※動画主の意見です)。
通常、ボーカルでは耳障りなところ。
逆に4kHzが少なすぎると何を言っているのかがわかりにくくなる。
このため、ここを調節する・しないに正解はない。
⑧6kHz
6kHzはクリアさを司る帯域です。
4kHzのように突き刺すような音ではありません。
ただし、ボーカルに暖かさが足りなかったり、耳障りだったりするときは4kHzと一緒に下げることもあります。
⑨7~10kHz
7~10kHzは通常、ボーカルのシビランス(歯擦音、シで耳に痛いところ)が存在する帯域である。
しかし、事実上ボーカルのトップエンド部分であり、瑞々しさがあり、安易にカットするべきではありません。
⑩17kHz~20kHz
17kHz~20kHzはボーカルの"エアー"部分であり、空気感を司る。
多すぎるとシズル感強すぎて不自然。
3 〆の言葉
色々とアイデアになるところはありますね。
実際、「基音を上げる」「400Hzを減らす」は結構クリアでしっかりした声を作るコツだと思いますね。
ただし、闇雲にEQするのではなく、ノブを回す前に何を目的としているのか」を忘れないようにしてください。
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