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「プロが教えるボーカル・コンプレッションの秘密」がためになった。コンプの要はリリース

 こんにちは。イーヴィルな斉藤(@evilsaitoh)です。
 遊戯王やりながらミキシングの動画を見るのにハマっています。集中しろよ。
 
マドルチェでプラチナ1まで行きました✌︎('ω')✌︎

 今回は海外のミキシングエンジニア・Colt Capperruneさんの「VOCAL COMPRESSION SECRETS of the PROs」って動画が良かったので翻訳しながら解説します。
 ほぼ自分用メモですが、文章化すると誰かが助かる時があるのです。マイナーアプリ入れた時のトラブルシューティングとかね。

 もちろん、このミックス方法がいついかなるときも正しい訳ではありません。
 でも何もとっかかりがないのに「場合によるけどうまいことやれ」と言われても何もわからないっすよね。
 そういう時の指標になるといいなと思います。

 また、正確さを期待しないでください。
 俺が間違っているということは、Google翻訳が間違っているということなので、シリコンバレーまで腹にダイナマイトでも巻いて文句言いに言ってください。

1 動画情報

動画名:VOCAL COMPRESSION SECRETS of the PROs

2 ボーカル・コンプ(Urei 1176)の設定方法

※動画内は実機ですが、プラグインの方が動作はキビキビしているらしいので適宜変えてください。
※このセクションは音楽が流れて解説がないので、たぶんこの人がやりたいんだろうな、と思ったことを書いていきます。


Urei 1176 FET式コンプレッサー。世界で一番有名。
  1. アタックはOFF(もしくは最速)、リリースは最速、レシオは4で開始。

  2. IN・OUTでコンプをかける前くらいの音量に揃えておく(後で変えるので適当に)。

  3. アタックを真ん中あたりに設定するとリダクションメーターが動くので、減った分をアウトプットで補う。
    (訳注・メーターはガシガシ動くので耳で判断するのが良いと思います)

  4. リダクションメーターの動きが小さい=コンプの掛かりが浅い時はインプットを上げてアウトプットを下げる。
    (訳注:声楽やジャズ、バラードなどであまりコンプをかけたくないときは逆の手順で浅めにかけましょう)

  5. アタックを最速・最遅に変えてみて、リダクション・メーターが-20dBを越えないように設定している(たぶん)。

  6. リリースを最速・最遅に変えてみて、ボーカルをどれだけ前に出すかを決める(超重要)。
    (訳注:自分も実機でやってみましたが、コンプレッションが浅いと前に出る感覚がわかりにくいです)


※ここからは本人の解説の翻訳

  • リリースが速いほどボーカルは近く前に出てきて、遅いほど遠くになる(重要)。

    • これはリリースが遅いとずっとコンプがかかりっぱなしになり、音量が小さくなるから。

    • リバーブとディレイをかけているのにどうやって「近い音」を出しているのかと聞かれることがあるが、私のトリックはこれだ。

  • また、「ボーカルが最も静かなところ」で圧縮が発生しないようにするのが私の使うトリックのひとつである。

    • そう設定するためには、インプットで信号の量を整える。
      (訳注:動画ではサビ前の静かな「ビー、イー、イー…」と歌ってる最後の「イー」にまったくコンプが反応していません)

    • これはコンプをかける目的が「音量差をなくすため」だから。
      コンプを掛ける必要がないところは掛けないことで元の音量に、必要があるところは圧縮して小さくすることで音量差をなくすことができるため。

  • 曲によってどのコンプレッサーを使うかを決めたり、どれくらいのリダクションにするか決めている。

    • 柔らかいピアノ&柔らかいボーカルのものと、ハードロックでは前者の方がリダクション量は少なくなる。

    • また、コンプレッサーの機種は、ひとつひとつ特徴がある。
      (訳注:今回使った1176はハードで歪んできっちりかかるタイプ。他にもTeletronix LA-2Aはゆっくりかかってコンプくさくないのでバラードに合うなど)

3 マルチバンド・コンプレッサーの設定

Fabfilter Pro-MBの彼のプリセット(を私が再現したもの)
  • 私は1176コンプの他に、ほとんど毎回Fabfilterのマルチバンドコンプ(Pro-MB)を使っている。

    • これは各周波数帯域でも「最も大きなところ」にだけコンプレッションを行いたいから。

  • どの帯域もアタック・リリースは最速、ニーはハードニー。オーバーサンプリング4倍。ルックアヘッドは少しだけ。

  • ④の最高域は、耳に痛いシビランス(歯擦音)に使用し「シッ」などの音に使用する。
    (訳注:歯擦音が飛び出ているところに合わせてフレキシブルに周波数帯域を移動させています)

  • ①の低域は、曲中でも低いボーカルの基音を叩くようにしている。
    これでボーカルの一貫したボトムエンドを維持する(歌う音によってボコボコしないようにしている)。

  • 2つの中域は、飛び出て欲しくない帯域で叩くように調整したり、叩きすぎなら少し上げたりする。
    (訳注:結構アバウトで良さそう)

  • Fabfilter Pro-MBを使う理由は、最速のアタック・リリースで使ってもなんのキャラクターも足さないから扱いやすいため。

4 まだヴァイブが足りない場合に UA176コンプレッサー

Universal Audio - 176 さっきの1176より先に生まれた真空管コンプ。
  • もう少しヴァイブが欲しい場合は、その後にUA176を使用する。ただし、ここまでで充分なボーカルができた場合は使わない。

    • レシオは2:1のまま、先ほどと同じようにリリース・アタックを決める。

    • 大きく叩くとヴァイブが出て、私はその感じが好きだから強めにかけている(訳注:この曲の場合は-3dB~-4dBほどコンプレッションしていました)

    • また1176と同じく「一番小さいところではほとんど針が振れない」ように気をつけて。

5 注意点

  • ボーカルの息が声と同じくらい大きく感じたら、それはコンプレッションしすぎ。

  • コンプレッションは「飽和ギリギリ」が最も格好良く、あなたの顔の前でカリカリになり(原文ママ)、最高の衝突エネルギーを生じる。

  • コンプしすぎるとその感覚が崩壊し、平坦なつまらない音になっていく。

  • 決してこの動画と同じ設定にこだわらず、常にコンプレッサーで遊ぶことを忘れないで。

6 感想

「ボーカルのコンプはアタックが○msくらいが良いんだよね~」みたいな具体的な数字を出せば素人目にはそれっぽく見えるんですが、「プロほどハッキリしたことが言わず、にわか知識の奴ほど適当に言い切る」というTwitterでよく見る現象がきちんと起きていますね。

「プラグインは目的があって初めて挿せ」はDTM界では常識なんですが、ついEQ、コンプ足してから考える…としてしまいがちです。反省せねばね(´ω`)

 ただ、この手順を知っても、自分で設定するのは結構至難の業だったりします。
 てか一番小さい音量のところに合わせるとリダクションが軽くしか動かねぇ!アタックとリリースひねっても全然いかねぇ!
 とはいえ、知識を使うときに難しいのは当然のことなので、ちょっとこの方式で遊んでみます。

 見知らぬあなたの役に立てたら幸いです。

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