【詩】あの夏と君
花火が夜空をスーッと登っていく
そのまま咲いたままでいて
どうか
散らないでキラキラ輝いて
何度も背を照らされる
今年の夏はもう終わり
そう思いたい
思わせて
涙が視界を歪ませる
暗いアスファルトがのっぺりとした底がない穴に見える
このまま吸い込まれて戻って来れなくてもそれでいいや
そう思った時夕立の跡にキラキラと花火が反射する
日めくりカレンダーはずっとそのまま
カレンダーだけ時が止まっている
めくって千切る
めくって千切る
明日からまた会う君にどんな顔を向けたらいいんだろう
庭で枯れた向日葵たちがうつむいている
ひぐらしも姿は見えないけどどこかで鳴いてる
簾をくぐってくる風たちは皆優しいけど慰めてはくれない
あの熱い風たちはどこかへ行ってしまった
あの日と一緒に
「おはよう」
その声の先
相変わらず君の顔はあの日の花火みたいだった
【続き】
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