30日間の革命 #毎日小説5日目
”革命”
この言葉を聞いたのは、確か世界史の授業が最後だったかもしれない。加賀は色々な思考を巡らせた。
(これは冗談なのか?また俺をからかってるのか?)
しかし、坂本の表情を見る限り、ふざけて言っているようには見えないし、何よりその言葉に強い想いが込められているようにも感じた。
「革命って、フランス革命とか産業革命とかの革命?」
「うん。その革命だよ」
「まじ?」
「まじ」
坂本は加賀を試すような目で見つめていた。加賀は次の言葉を慎重に考えた。冗談っぽく笑って答えても、安易な同意をしても、坂本には心の内を見透かされるような気がしていた。
「よし、やりたいことはよくわかったから、詳しく聞かせてもらおうか」
「興味あるの?」
「坂本さんの口から革命なんて言葉がでたら、興味持たない人なんていないと思うよ」
「それ褒められてる?」
「半分半分かな」
「あらひどい」
先ほどの緊張感は解け、また少し穏やかな空気が流れはじめた。
「冗談だよ。でさ、革命って具体的にどんなことしたいの?」
「まだだめだよ。もっと加賀君とお話ししてからじゃないと」
「えー。そこまで言ってまたおあずけ?」
「そう、おあずけ。だからさ、これからお昼は出来るだけここで、加賀君とお話しがしたいんだけど、どうかな?」
普通なら、女子生徒にお昼を一緒にしたいと誘われるということは”恋”を連想させる。ましてや加賀の場合、女子生徒からの人気も高く、このような誘いは何度もあった。しかし、坂本からの誘いは”恋”のような甘酸っぱいものではなく、これからとんでもない嵐がくるような、そんな重さを感じた。
「いいよ。ならこれから昼はここ集合で!」
「うん。ありがとう」
それから、坂本と加賀は、ほぼ毎日昼休みを共にした。他の学生が知らない、秘密の場所で二人は”革命”について話し合った。しばらくするうちに、加賀は坂本の後ろにつき、まるで参謀のようなポジションにつくようになった。もともと生徒会長だった坂本は、会長推薦として加賀を新たに広報担当として生徒会に招き入れた。
その頃から学校の雰囲気は少しずつ変わり始めていた、
教師、生徒からの信頼が最も厚い坂本と、学校で一番の人気者である加賀が一緒になることで、二人の人気や信頼はさらに増していった。そして、5月になると、生徒会の組閣が行われ、役員が入れ替わった。生徒会長に坂本、そして副会長に加賀の名前が連なった。
いよいよ、坂本の”革命”が実行に向けて動き出したのであるーー
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