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不定期連載小説『YOU&I』45話

翌朝、國立は憂鬱な気分で目覚める。昨日、カフェで中野に避けられたことが夢にまで出てきたからだ。

「マジで最悪だよ。今日は学校休むか」

そんなことを考えていたが、さすがに自分の片思いが原因で大学を休むとなると親にも申し訳ないので、支度を済ませ大学へと向かった。

幸いなことに、今日は誰とも同じ授業をとっていないので、一人で過ごすことが出来る。

ただ、旅行のことはどうにかしなければならない。どうやって断ればいいのか。なるべく市ヶ谷たちに気を使われないように断る必要がある。

「病気ってことにするか? いや、それでも心配されたら面倒だな。家の事情とかが無難なのかな。でも、まだ日程決まってないのに家の事情って訳がわからんよな。金がないってのも断る理由にならないだろうし……」

旅行を事前に断る理由が中々思いつかない。國立は授業中もそんなことばかりを考えていた。

そうしている間にあっという間に昼休みとなる。國立はいつも通り、大学内のベンチに腰をかけ一人で昼食をとった。

そのとき、

「あ、春樹! こんなところにいたのか」

と小金井が声をかけてきた。

「どうしたんだよ昨日は? 急に五千円も置いて帰るからびっくりしたよ」

「あ、あぁ……ごめん。ちょっと用事を思い出してね」

國立は苦笑いをしながら答えた。

「……何があったのか知らないけど、ほら五千円。昨日のカフェは前払いだろ?」

小金井は財布から五千円を取り出し國立へと渡した。

「あ、そっか。……ごめんごめん」

「ったく。……昨日さ、あそこのカフェで亜希と会ったんだ。あそこで働いてるみたいだけど、知ってた?」

小金井は、國立の気持ちを確かめるため、そう探りを入れる。

「……そ、そうなんだ。ぜ、全然知らなかったよ」

國立は明らかに動揺していた。

(やっぱり春樹は亜希と何かあったんだな❳

小金井は國立の様子を見てそう確信する。

「……そっか。昨日、旅行の話しをしたよね。そのことで、また皆でご飯でも食べながら集まろうって話しもあるんだけど、春樹はどうする?」

「そ、そっか。……いいんじゃないか? た、ただ、俺はちょっと用事があって参加出来ないかもだけど、まあ俺一人いなくたって問題ないでしょ」

「……どうだろうね」

「な、なら、俺もう次の授業あるから行くよ。またな」

そうして國立は逃げるように去っていった。

「……もしかして、春樹は旅行も行きたくないんじゃないかな」

國立の様子を見た小金井は、そんなことも考えた。

昼休みが明け、午後の授業が始まる。小金井は一人で座っていると、

「あれ、立夏ちゃん?」

と誰かに声をかけられる。小金井が振り返ると、そこには神田が立っていた。

▶To be continued

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