30日間の革命 #毎日小説27日目
「今日は集まってくれてありがとう。みんな席に座っていいよ。ならさっそくだけど、今日集まってくれた新しいメンバーを紹介していくね」
加賀がそう言うと、坂本は口をはさんだ。
「せっかくなら、自分自身で自己紹介しようよ。セトが紹介するより、そっちの方がよりお互いのことを知れるでしょ」
坂本の提案に、教室内の緊張感は更に高まった。
「そ、そうだよね。なら、神原君からお願いしていい?」
加賀は、上級生の神原から指名した。
「え、僕からですか。いきなり自己紹介って言われても……」
神原がもごついていると、すかさず馬場が口を開いた。
「では、僕から自己紹介しますね。1年3組の馬場清史郎です。この学校の古い体質を変えたいと思っています。まだ1年生ですが、気持ちだけは誰にも負けていません。よろしくお願いします」
馬場は、他の二人とは意識が違うと言わんばかりに、堂々と自己紹介をした。とても1年生に思えないほど、堂々としたあいさつに、神原と手崎は更なるプレッシャーを感じた。
「ありがとう。なら神原君いける?」
加賀は再び神原を指名した。神原は、少しうつむきながら拳を握りしめて話し始めた。
「……3年2組の神原彰人です。情報処理部に所属しています。正直、自分が何で呼ばれたのか、まだわかっていません。だけど、君たちが変なことを起こさないように、監視役として加入したつもりなんで、よろしく……」
すると坂本が、
「監視役か! それ凄い大事かも。ぜひしっかりとした監視をお願いね」
と神原に笑顔で答えた。照れている様子の神原を、馬場は横目でにらんだ。
「ありがと。なら最後に手崎さん、よろしく」
手崎は、誰よりも緊張した面持ちで話しはじめた。
「は、はい。あ、あの私は2年1組の手崎恭子と申します。えと、将棋同好会に所属しています。と、特に秀でたものとか、自慢できることはないので、あまりお役に立てるかわかりませんが、精一杯頑張ろうと思いますので、よろしくお願いします」
何とかしゃべりきったという様子の手崎に、再び坂本が口を開いた。
「セトから手崎さんのことは聞いてるよ。将棋凄い強いんだってね。こんど私も対局させてね」
「は、はい! 喜んで」
坂本は、いつも通りの穏やかな笑顔で手崎に話した。生徒会長から、こんな言葉をかけてもらえたことが嬉しく、そして何より、加賀が自分の話をしてくれていたことが一番嬉しく感じた。
「手崎さん、ありがと。これで、新メンバーの紹介は終わったから、今度はこっちも挨拶しなきゃね」
そう言うと、まずは加賀から自己紹介を始めた。
「みんな既に知ってると思うけど、3年1組の加賀セトです。今回、3人に声をかけさせてもらいました。何かあれば相談してください。よろしくです」
簡単に自己紹介を終えると、次は森下に振った。
「次は俺か。えっと、3年3組の森下 雄二です。野球部のキャプテンをやってます。正直、俺もまだ革命って全然ピンときてないけど、やるからにはとことんやってやろうと思ってるから、よろしく!」
森下は力強く自己紹介をした。そして、最後に坂本が話し始めた。
「3年1組の坂本小春です。正直、革命なんて聞いてもまだわからない人も多いと思う。だから、1つだけ頭に入れておいてほしいことがあるの。それは主体性を持つこと。自分自身がどうしたいのか、それをしっかりと持つことが、革命を成功させることよりも大切なことだと思っています。だから、自分の考えと違うことが起きたら、いつでも反対してね。よろしくお願いします」
短いあいさつだったが、ここにいる全員の心を坂本はつかんだ。
「よし、これで一通り自己紹介は済んだね。これからみんなよろしくね。そういえば、森下はこのあと部活だよね。なら今日はいったんこれで解散しようか」
加賀がそう告げると、森下は部活へと向かった。そして、皆も席を立とうとしたとき、坂本が再び口を開いたーー
▼30日間の革命 1日目~26日目
まだお読みでない方は、ぜひ1日目からお読みください!
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