【詩】つゆくさ
むらさきはたいした色だ、と君は言った。
もしひとが無色の世界にとつぜん放りこまれるとしたら、
きっとはじめにむらさきを忘れる。
ああそうだ。ぼくたちは自然なむらさきをあまりしらない。
むらさきは異世界だ。どこか神秘的で、魅惑的で、ちょっぴりこわい。
だとしたら、君はむらさきの化身なのかもしれないね。
手をつなぐとき、つめがむらさきでないかこっそり確認する。
君のゆびさきから、異世界がながれこんでくる。僕はそのちからづよさに溺れそうになる。
たいした君だ。君はたいしたひとだ。
いつか僕は、このいとしいむらさきを忘れてしまうのだろうか。
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