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【詩】代償



正解のない迷路みたいだった。後に僕はそう語るだろう。

触れてはいけないものだった、形のないもの、実態を持たないもの、

そんなもの、枠にはめこもうとしてはいけなかった。

ブローチの彼女は笑みをうかべたまま軋んでいる。だらしないチューインガムみたいにのびきった時間は、僕の首にとぐろをまく。

瓶の中の舟は宙返りする。僕を乗せて。上も下も、明日も昨日もない。今は今でしかなくて、悲しいことに彼らは天邪鬼だ。

きまりきった毎日になんの香ばしさがある?見てみろよほら、彼らのせいで枠は壊れてしまった。

靴を投げてもいいだろう。コインで明日を決めたって。

これは僕らの頼みでした。花のようにただ寝起きするから、安寧をください。

7かける24のマスは、一旦白紙に。液状化した部屋の床で指先を頼りにジグソーパズル。

ひとまわりもふたまわりも大きな部屋を用意しよう。彼ら客人たちの扱いには慣れないね。いつになっても、いつになってもだ。



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