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企業に求められるCSRとは (インド滞在録#12)

(2018年夏に、会社の海外派遣プログラムで、インドのプネにある環境NGOでインターンしていた際の滞在録です。現地での体験や、日頃の気づきなどを、ゆるゆると綴っています)

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インドは、世界で唯一、CSRを法律で規定している国家である。
2013年制定の"company act"で、企業利益の2%以上を社会貢献に利用することに、法的拘束力を持たせている。

本システムの良し悪し・効果は別として、企業の社会的責任がインドでは大きな注目を集めている。CSR研究の先駆者的人物であるSeemantinee Khotさんの自宅を何度か訪問する機会があった。FAOのシニアアドバイザーを務めており、国連でも度々スピーカーとして召喚され、外資企業中心に6社の役員も兼務する方だ。

彼女が主張するのは、CSRとは、Looking goodではなく、Being goodであるということ。殆どの会社は、CSRを「慈善活動」や「イメージアップ活動」と解釈している点に警鐘を鳴らした。

即ち、世の中に既に存在する悪を解決するといったスタンスで、自社のビジネスが悪に加担している点には盲目でいる(あるいは棚上げしている)。中々耳が痛い話だ。

そして、持続可能性に配慮したビジネスの徹底(integration)こそが、CSRの究極とのこと。それは、華やかさに欠き、短期で結果が出ない場合も多く、投資・リターンの追求が常の企業には、一見受入れ難い。

「Being good が必ずしもlooking goodにならない時、企業にはどうアドバイスするのか?」と聞くと、彼女は突然、リビングで掃き掃除をしていた家政婦さんをソファーへ呼び、隣に座らせた。肩に手を置き、目線を合わせ床を指しながら、穏やかに会話している。しばらくすると、家政婦さんは何かを気付いたかのように発言をし、軽やかな足取りで作業に戻って行った。

Seemantineeさんは私へ向きを替え、「今彼女としたことを、企業に対してもしている。私の役目は、目線を提供してあげることだけで、何が正しく、何を行うかは、自分で答えを導いて貰うしかない」と教えてくれた。

”CSR活動”というのは、資金さえあらば容易にできるものだろう。
しかし、手軽さだけに惑わされず、本業で本質的・持続的に社会に価値還元する方法を考究する責任が我々事業社にはあると感じた。

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以 上


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