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夜明けは天使とうららかに

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『夜明けは天使とうららかに』  精神面に不調を抱える母と仕事をしながら母のケアをする父を両親に持つ菖太。彼は学校に居づらさを感じつつも、それを打ち明けることが出来ずにいた。 …
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#エピローグ

夜明けは天使とうららかに 1-1

夜明けは天使とうららかに 1-1

夜明けは天使とうららかにあいいろのうさぎ

「ただいま」

 玄関のドアを開けると、少し間を置いてお母さんがリビングから出てきた。

「おかえりなさい」

 と穏やかに微笑みながら言ってくれる。僕はそれを見て『良かった、今日は元気なんだ』と安心した。

「確か今日はお誕生日会をやったのよね。楽しかった?」

 僕のクラスでは毎月、誕生月の子たちのお祝いをする。僕は二月が誕生日だから、クラスメイト全

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夜明けは天使とうららかに 3-4

夜明けは天使とうららかに 3-4

エピローグ菖太さんへ

 ……なんて、書き出してみたのですが、実際この手紙が菖太さんに届くことはありません。じゃあなぜこんなことをしているかというと、ただの私の自己満足です。本来もうどこにも存在できないはずの私がこうして手紙を書けることを嬉しく思います。

 この手紙は届かないから、菖太さんに私の正体はいつまでも気づかれないままなのですが──もしかすると大人になってから近いところまで気づくかもしれ

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