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夜明けは天使とうららかに

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『夜明けは天使とうららかに』  精神面に不調を抱える母と仕事をしながら母のケアをする父を両親に持つ菖太。彼は学校に居づらさを感じつつも、それを打ち明けることが出来ずにいた。 …
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夜明けは天使とうららかに 1-1

夜明けは天使とうららかに 1-1

夜明けは天使とうららかにあいいろのうさぎ

「ただいま」

 玄関のドアを開けると、少し間を置いてお母さんがリビングから出てきた。

「おかえりなさい」

 と穏やかに微笑みながら言ってくれる。僕はそれを見て『良かった、今日は元気なんだ』と安心した。

「確か今日はお誕生日会をやったのよね。楽しかった?」

 僕のクラスでは毎月、誕生月の子たちのお祝いをする。僕は二月が誕生日だから、クラスメイト全

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夜明けは天使とうららかに 3-3

夜明けは天使とうららかに 3-3

〇 〇 〇

 学校に行くと、隆聖の方が先に教室にいた。

 目が合って、お互い固まってしまう。こういう時ってどうすれば良いんだろう。

「菖太さん、落ち着いてください。『おはよう』って声をかければいいんですよ」

 リセが耳打ちしてくれて、僕は隆聖の方に向かって歩き出す。何だか変に緊張して右手と右足が一緒に出てしまった気がする。

「お、おはよう!」

 僕が言うと、隆聖も『あぁ、そうだ』みたい

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