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今年買ってよかったもの

 清水の舞台を、とはよく言ったものだ。あるいは、ええいままよ! とか。なんなんだ、ままよ!って。
 今年買って良かったもの。基本自由にできるお金はカメラが自転車に費やしてしまって、やべえ、これからどうするべ?となる自分だが、今年のはじめ、カメラにて最も高額な買い物をした。
 まさに、清水の舞台から飛び降りる気分だった。

 noteにも何回も書いているので勿体ぶる必要もないが、それが、これだ。

leica M typ240
型落ち、今となっては、派生機種を無視しても2代前のカメラのくせに、なんなんだオマエは!この高慢ちき!な、お値段。でも買ってしまった。
 数年に一度やってくる2月の超多忙期に、ええい!ままよ!と、ココロが正常な判断を失った結果、いや、気を失った結果、我が家に鎮座なすった。「購入する」をポチッとするときの感覚は、5d2を店頭で、震えた声で買いますと言って、あーーーやっちまった!とココロが叫んだとき(そして弾んだとき)以来のものだった。
 いや、記憶にないって言いつつ。よく覚えてることだ。



 故障したら、もう手が出せないとか、ライカのアフターサービスの恐ろしさとか噂に聞くアレコレを考えると我ら一般市民にライカはやめとけ、なんだろう。おまけにこれまで買ったカメラボディのなかで、中古にも関わらずいちばん高価である。そして機能的に言えば、ライカが機能性を求めない人が手にするとはいえ、さすが10年前のカメラである。
 けれど、光を捉えた写真はおお!となる。


 便利な機能はさほど使わないので、たとえば125点AFとかいらない。真ん中で合わせます。連写なんかも使わない。多分、ここら辺はもうね、運動会にしか使いません。その辺は割り切りです。
 あって嬉しいのは高感度と、暗闇でピント合わせる機能くらいなもんだ。それもミラーレスはマニュアルレンズで撮っているので、暗所AF性能は必然ではなくなってしまった。だから、 typ240を買って足りないなあと思うのは高感度くらい。

 いや、ほかにあるな。 

 typ240を手にして久々にライカM3にフイルムを詰めた。これがあかんかった。ボディのたった数ミリの厚みの違いを実感させられたのだ。この数ミリの違いで持ちやすさが違ってくるじゃないか。分厚いのも悪くないのだけれど、ボディを替えると、M3の手に吸い付く感じは他にない。

 それからx100fと併用するのもよろしくない。シャッター音があまりに違う。街中のスナップなら断然、チッとしかならない、ほとんど無音のx100fの方がよい。

 しかし、そうしてそれらを解決するライカがあるのを、僕は知っている。

leicaM10-Pだ。

くわばらくわばら。

 機能ではなく、シャッター音とボディの厚みに、求めるものが出てくるなんてと思う。が、そういうカメラなんだろう。

 兎にも角にもこのカメラを手にしたことで、撮り方がずいぶん雑になった。下手になったといえばいいか。ファインダーのなかへの配慮が足りないというか、自我は相変わらず強いがガチガチではなくなった、と言おうか。

 ライカを手にしてすぐに写真展に出さないかと声をかけていただいたりもした。だからと言ってライカを手にしたらコミュニケーションが変化した、なんてことはない。ただ、40を超え、なにかひとつ、ここらで最高(に高い)のものを手にしてみようと思ったのだ。



 そうして気づいたのは日本製(メイドインジャパンでなくとも)カメラの作りの良さだったりもする。この価格で、こんな機能を付加し、堅牢製もそこそこあって、真面目なモノ作りを感じさせる。多少雨に濡れたってへっちゃら、実際祭りのときに6Dが濡れて止まったことがあったが、しばらくしたら完全復帰である。そしてそれからもうだいぶ経っているが壊れる気配はまだまだない。
 ほんとに日本の製品はすごいと思う。


 が、今やカメラはその価格を上げ、おいそれと手に入れられるものではなくなった。同じCanonの5シリーズでも一眼レフのころとはかなり価格が違う。レンズも。だったら、レンズが小さく、街歩きやスナップに良い出立ちで、そして最高な操作感、道具としての魅力を持ったものを買っても良かろうとなったのだ。


 子どもの頃からそんな買い方をしてきた。ちまちま駄菓子を買うのではなく、お小遣いをためて(と言っても我が家はお小遣い制ではなく、お年玉がそのままその年の予算となるので、挨拶回りは大切だったのだ。)、どんと欲しいものを買うような子どもだった。今、40を超えて、車も実用性重視で、腕時計にも興味なく、スマホの類も買い替えもほとんどしないし、服に関してはしまパトで済ませるような自分、何か一品くらい、逸品を持っていて良かろうと(バランス的にどうかという話はあるが)思ったわけだ。

 今ライカに使えるレンズは7本、うち純正はオールドレンズの2本。ズミタールとテレエルマー。ズミタールは沈胴式なので、ちょっと使うのに躊躇する。無意識に沈胴させてしまいそうになるからだ。エルマーの方はレンズキャップが外れやすく、また長い鏡胴のためにあまり出番がない。狙って撮るとき以外は持って行かないが、写りが良いので望遠が欲しいときは重宝する。これら2本は貰い物。ライカM3についてきたものだ。


 自分で買ったものはノクトン35mm  ヘリアー50mm  スピードマスターの50mm 7artisans の75mm 。そして今回、アポスコパーの90mmを手に入れた。
 軽くて小さい、しかして中望遠のレンズは、ボディにつけてみるとこれが頗る快適。本当は、中国製の90mmf1.25とかf1.5を手に入れたいと思っていた。1.5の方はお値段としても安いしね。それでボケと圧縮効果の効いたスナップを撮りたいと思っていたけれど、そこはいつものマップカメラのタイムセールでフォクトレンダーのアポスコパーが出ていたのだからしょうがない。ボケるのが好きだし、解放こそそのレンズの個性だと思っている自分が、f2.8の単焦点を手に入れるとは思いもしなかった。




 まだ試し撮りもできていないが、予報だと週末はまたしても雨。外に出て撮影とはちょっといかないかもしれない。が、きっと、このコンパクトさはスナップの幅を広げてくれそうな気がする。

 そういうわけで、今年買って良かったもの。それはライカにまつわるあれこれなわけだが、これでピントを合わせながら撮る時間が頗る楽しい。
 とても中古でも高い買い物だったが、こういう時間を与えてくれたことにはプライスレスのタグをつけたい。日々の暮らしに楔を打ってくれるような存在、それが私にとってのLEICAだ。


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