見出し画像

スナップ写真の思考回路

スナップ撮影には二つの方法というかアプローチがあるように思う。

一つは条件反射的に撮る、まさにスナップ、手首をきかせたような撮り方。何かに出会したら居合のように撮るやり方。
ライカなら絞りを絞って、ただひたすらシャッターチャンスを待つ撮り方になろうか。

もう一つが、とにかく歩きながら、何か面白い光景に出会ったら、そこでちょっと立ち止まって、構図とか露出とかピントを置くところを決めて撮るやり方。
比較的のんびりとした撮り方になるだろう。


僕の場合は後者のやり方で撮ることが多い。というか基本それだ。

その時の頭の中はどうなっているのかをちょっと思い出してみたいと思う。

墓標だ、と思った。墓標が打ち捨てられているな、と。だから、自転車から降りてその場でまずシャッターを切る。ピントはきちんと合わせて、見たままの印象で。
金網をぼかして近づいて撮った。上のが記録っぽいと思って寄ってみたが、むしろこちらの方が記録写真になってしまっているな、とは、今になって思うこと。


朝のポタリング、あーここへんでちょい止まるか、と自転車停めて、ふとみたら鳥たちが羽を休めているではないか。それだけ撮っても、絵にはならないと思って、雑草を前ボケに使って構図を整えようとした。
手前の菜の花にピントを合わせようとしたときに、背後に自転車。慌てて構図をずらしているから奥にピントを合わせる隙がなかった。


水門。緩やかに登りになっている。ここを走ってくる人がいたら空を背景にして撮れるな、としばし待つことにした。するとやってきたのは盲目のランナーと、それをサポートする2人だった。三分割構図でポイントを置き、数枚シャッターを切った。あらかじめ露出はシルエット気味になるようにしておいた。
構図に迷いがある。人を撮ることの緊張のなかで、それでも数枚シャッターを切った。2枚目の方がいいように思う。一枚目は記録的な気がするが、それは、あっと思ってとりあえずシャッターを切ったからだ。


街中を撮る。昼間の、それもこれは平日だったか、人は少なく、夜に向けて準備をしている人たちの姿が目につく。その中で、男性の歩く後ろ姿を見かける。換算135mmのついたX-pro2にカメラを持ち替えてビルの圧縮を狙いつつ、ど真ん中で撮った。
よちよち歩きで階段に挑戦する無謀なお子。光の入り具合と、目線の方向から、もうここしかない、と構図が先に頭に浮かぶ。これを撮るために階段を一段上がった記憶がある。


オートフォーカスのないカメラでのスナップは絞りを絞って広角で居合のように撮るのが一つの方法としてよく言われるが、僕はボケが大好き人間、ボケにばかり頼る愚か者ゆえ、どうしてもこんなのんびりとした撮り方になる。でも、こんなのもまたスナップ撮影として認めてもいい、のかな。なにより楽しいし。ね。

この記事が参加している募集

カメラのたのしみ方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?