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【東大卒と楽しむ】英語のインターネットミームの歩き方 その1

 イーロン・マスクのSNSも最近は英語版の大喜利やミームばっかり見て笑っているだけになってしまった。ただ笑って終わりではもったいないので、これからは見て面白かったものの中からピックアップして、解説するような記事も書いていきたいと思う。英語のスラングや表現、いまの金融システムのおかしさをミームを通じて知るということもあるだろうから、無駄ではなかろう。

 ちなみに「インターネットミーム」とは、インターネット上で広まったなんらかの情報を指す言葉で、日本語で言うと2ちゃんのコピペに近いような、何らかの諧謔や教訓を含んだものを指す場合が多い。最近でいうとバズった画像やコラ画像、ネタツイートなど、ネット上で伝播したものを指す。

 ミームという言葉自体はリチャード・ドーキンスが『利己的な遺伝子』の中で造ったもののようで、脳から脳へと伝達される情報を指すらしい。mimic(まねる)と同じギリシア語に由来しgeneと同じように一音節の単語にしたかったのでmemeにしたのだとウィキペディアには書かれている。まあこういう説明でわかりにくければ、以下の具体的な例を見ればなんとなくどういうものか分かるだろう。

ウィリアム・シェイクスピア

https://twitter.com/PicturesFoIder/status/1677527165460676608

 見てのとおり、「ウィリアム」と「pear(洋梨)」があり、ウィリアムが洋梨をシェイクしている。だからWilliam shakes pear.(William Shakespeare)と言うわけだ。くだらない。
 ウィリアム・シェイクスピアは実はフランシス・ベーコンだという説がある。たぶんそうなんだろう。

溶接を学べ

https://twitter.com/LibertyCappy/status/1676954157104893952

2010年:「オレが生涯働いてたプラントは閉鎖され故郷の街は死にかけている」「ガハハ。プログラミングを勉強しろよ」
2023年:「4年もかけて無駄な学位を取って、1,000ドルも借金があるぜ」「ガハハ。溶接を勉強しろよ」

 10年くらい前は、アメリカの製造業の衰退が深刻だからみんなIT企業にプログラマーとして就職しなきゃならないというトレンドがあった。それが少し遅れて日本にもやってきて、ポコポコプログラミングスクールが乱立していた時期があった。GAFAやらITベンチャーやらがもてはやされてITバブルがあった時期で、『ヒルビリー・エレジー』みたいな本が流行ってた時期だ。
 その時期にはIT企業に就職してそれなりにいい待遇があったが、もはやそのITの仕事もインドや中国、あるいはベトナムあたりに外注されるようになって、日本でもそうだが単なるコーダーみたいな人は全然食えなくなってしまった。

 その後コロナのパンデミックによる大量離職時代がやってきて、現場で働く仕事は大変な人手不足になり、ITのスキルを持ってオフィスで働くよりも現場で働くほうが給与も待遇もいいとなって、四大を出て学位を取ることに意味なんかあるのか?ということになっているのが現在のアメリカだ。それが「溶接を勉強しろ」というこのミームに繁栄されている。このトレンドは日本にも波及しつつあるだろう。ChatGPTによってその傾向はさらに拍車が掛かった。もうプログラミングといっても、幼少期からアセンブラ言語に触れて親しんでいて自分独自のOSを開発したことがあるくらいの人じゃなきゃ食えないレベルだろう。
 日本もこんな感じだ↓

 よくよく見ると若いエンジニア風の男が飲んでいるのには「100% ORGANIC SOY MILK」と書かれている。もちろん妙な健康志向の強い世代を揶揄する意味合いもあるが、アメリカではどうもmilkを飲むのはガキんちょだという通念があるらしい。「キャッチミー・イフユーキャン」という映画があり、レオナルド・ディカプリオが18歳ぐらいの詐欺師を演じているが、パイロットのふりをしているのにレストランで飲み物を聞かれて「ミルクで」と答えるようなシーンがあった。あれは背伸びしているが実際はまだまだガキだという表現になっているわけだ。

 最後に”LMAO”というのは、Laughing my ass offの略で、尻が外れるほど笑う、つまり「大爆笑」という意味らしい。"lol"というのもあり、laughing out loudの略で、日本語でいうwwwに近いものだろう。LMAOのほうは「大草原不可避」ぐらいの感じだろうか。

アメリカ人 1700年代といま

1700年代のアメリカ人:イギリス兵ども、殺すぞ おまえらの茶なんかクソ食らえ オレは税金を払わない
今のアメリカ人:今日は政府が外出を許可してくれないかな

 この犬のミームもよく見かける。かつては独立心旺盛だったのに、いまや飼い慣らされてしまったという状況を揶揄するのに犬が適しているのだろう。
 red coatというのは独立戦争のときの英国軍兵士を意味するらしい。つまりは赤いコートを着ていたということなんだろう。赤で言うとred tapeといいえば「お役所仕事」という意味にもなるらしい。理由は役所の書類を赤いひもで閉じていたからだ。
 screw〜も「〜なんかクソ食らえ」という表現で、映画などで耳にすることも多いだろう。まあ極めて粗暴で下品な表現なので使わないほうがいいが。

 今回は以上である。次回は金融系のミームを取り上げたいと思う。

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