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博士(数理学)。 数学を専門としない方々との会話の中で「こういうこと知ってもらえたら嬉しいな」と思った情報を発信していきます。

最近の記事

離散的な不連続点をもつ関数の積分

今回は「連続な関数は積分可能」という事実を踏まえ、少しの不連続点をもつ関数も積分可能かどうかを見ていきます。 1. どのような状況で生じるか前回の記事https://note.com/euit353/n/n3cc3bd1dd961 で述べたように、部分積分の公式は $${f'(x)g(x)}$$ と $${f(x)g'(x)}$$ の積分を比較する公式と捉えることができました。そこでは暗に $${f(x)}$$ と $${g(x)}$$ が滑らかであるという仮定がなされて

    • ライプニッツ則からの部分積分

      1. ライプニッツ則ここでいうライプニッツ則とは積の微分公式のことです。つまり微分可能な関数 $${f(x)}$$, $${g(x)}$$ が与えられたときにそれらの積として定義される関数 $${f(x)g(x)}$$ の導関数 $${\bigl(f(x)g(x)\bigr)'}$$ を計算するための式。これは次の形をしています。 この式から予想できることですが、$${\bigl(f(x)g(x)\bigr)'}$$ と $${f'(x)g'(x)}$$ は一般的には同じ

      • 積和で中和

        $${N}$$ を自然数として、三角関数の和 $$ \displaystyle\sum^N_{n=1}\cos nx $$ を考えます。$${N}$$は何でもいいのですが、例えば1億などの大きい数を入れてみると項数が多すぎてこの関数の計算は大変になりそうです。 そこでこの関数に $${\sin \frac{x}{2}}$$ を掛けてみます。すると不思議なことに $$ \displaystyle\biggl(\sum^N_{n=1}\cos nx\biggr)\sin

        • 有理式から見る cos と sin の非対称性

          有理数とは$${1, -4, \frac{2}{3}, 0.5}$$のように整数を整数で割った形で表される数のことです。 次の主張の真偽を考えてみましょう。 (1) 三辺の長さが有理数の三角形$${ABC}$$に対し、$${\cos A}$$ は有理数である。 (2) 三片の長さが有理数の三角形$${ABC}$$に対し、$${\sin A}$$ は有理数である。 答え: (1)は真です。辺$${BC, CA, AB}$$の長さをそれぞれ$${a, b, c}$$ とおく

        離散的な不連続点をもつ関数の積分

          a+bi=0 なら a=b=0

          複素数の基本的な性質です。a, b は実数でiは虚数単位。 証明: a+bi=0の両辺に-biを足して a=-bi これの両辺を二乗して a^2=-b^2 実数の二乗は0以上なのでこれの両辺は0。 よって a^2=b^2=0 ゆえに a=b=0 となります。

          a+bi=0 なら a=b=0