薬の処方から医師の考え方が見える
株式会社ユカリア データインテリジェンス事業部の城前です。
電子カルテの実症例を元にした、医師のA先生による
「MRが医師の考え方を理解するためのポイント」の解説、
今回は第4話をお送りします。
先生の略歴を含む第1話はこちら。
薬の処方の推移を追って、医師の考え方を知る
MRが「医師の考え方」を学習をする場合、「薬の処方の推移」は、大事なポイントです。
薬の切り替えが起きるにあたっては必ず理由があります。
患者に何が起きていたのか
医師が何を考えていたのか
を出来る限り事実ベースで確認することが、質の高い学びに繋がります。
そのためには、実際の電子カルテの実症例を元に学習するのが一番です。
検査値だけでなく、医師所見などのテキストデータも含めてじっくりと読み込むことをお勧めします。
今回も、ユカリアさんの電子カルテデータベースから抽出した症例を見てみましょう。
症例 50代 男性 透析患者
糖尿病・透析を他院でコントロールしていた患者
10月3日から重症下肢虚血の治療のため当病院の透析に通院するようになった。当時はHb9.7で、エポエチンを使用していた。
12月9日からダルベポエチンを使うようになり、Hb値は10以上に改善した
その後、患者からの要望で糖尿病コントロールも当病院で行うようになると、Hbは更に上昇
翌年4月2日にはHb12.4まで上昇
4月6日、薬剤をエポエチンに戻す
Hb値にはコントロール安全域があります。低過ぎても高過ぎてもいけません。
このケースでは、医師がHb値に合わせてESA製剤を替えてコントロールしている様子が分かります。
もともと低すぎだったのでダルベポエチンに替えましたが、その後上昇が続き13程度まで上がったため、高値リスクを懸念してエポエチンに戻すという判断をしています。
他にも薬が切り替わるポイントとして着目してほしいのは、外来通院していた患者が悪化して入院する場合です。
飲み薬であったものが中止となり、注射薬に切り替わります。
テキスト情報を含む電子カルテデータを読み込むと、その時医師がどうしているのか、実態がよく分かります。
もう一つ良い題材としては、心不全のペイシェントジャーニーの特徴である、急性増悪を繰り返して進行していくパターンです。
この際、通院から入院に変わるわけですが、入院時にどんな薬剤が処方され、その後の経過に合わせてどう切り替えしていくのか、医師所見の内容と併せて見てみると良いです。
製薬企業がMRに提示する症例は、どうしても表面的で単純なものになりがちで、検査値を重視したものが多いですが、テキストで書かれた医師所見などを含む電子カルテデータを取り入れることで、医師の考え方を理解する解像度が、ぐっと高くなると思います。
それでは、第4話は以上です。
第5話はこちら
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