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医師が製薬企業に求める、処方に適した(適さない)患者像の伝え方とは?

こんにちは。株式会社ユカリア データインテリジェンス事業部の城前です。

前回のSGLT2阻害薬のお話に続き、今回も弊社イベントの中で行った講演の動画とその概要をご紹介いたします。


【ポイント】

  • 情報提供において「実症例に基づいた治療提案」に注力することが重要

  • 医師が好適患者像・不適患者像をクリアにイメージできるような情報提供が求められている

  • MRの実臨床理解の解像度を上げるためのステップとは?

①「実症例に基づいた治療提案」に注力することが重要

突然ですが・・・
医師が製薬会社のMRから受ける情報提供のうち、何が処方ドライバーになるでしょうか?

製薬会社の方であれば、今までの経験や調査などから答えをお持ちと思いますが、今回改めて、以下のスライドの4項目を対象に「情報提供の満足度」と「情報提供が薬剤の積極的な処方につながる度合い」を医師に対し定量調査しました。

MRから医師への情報提供では何が処方ドライバーになるか?

その結果、「情報提供が薬剤の積極的な処方につながる度合い」で一位に挙がったのは「研究論文などのエビデンス」でした。これはおそらく多くの方にとって納得感のある結果ではないでしょうか。医師の「情報提供の満足度」は7割を超えており、この点に関しては多くのMRが十分な活動を行えていることが伺えます。

注目すべきは、「情報提供が薬剤の積極的な処方につながる度合い」で二位に挙がった「実症例に基づいた治療提案」ですこちらの「情報提供の満足度」は、4項目の中で最も低い結果でした。医師のニーズが高く、処方につながる可能性が高いにも関わらず、十分に情報提供が行えていないということです。

「実症例に基づいた治療提案」は処方につながる可能性が高く、且つ医師の満足度が低い

これは、MRからの情報提供で差がつくポイントと言えるのではないでしょうか。

②医師が好適患者像・不適患者像をクリアにイメージできるような情報提供が求められている

この調査結果をもとに、どのような提案が好まれるのかを弊社パネル医師へのインタビューで掘り下げたところ、医師は「各薬剤における好適患者像、またその逆となる不適患者像」をイメージしやすくするような情報提供を求めているという傾向が見えました。

医師が求める好適患者・不適患者像

好適患者像がはっきりとイメージできると、積極的に新薬を導入しやすく、また、マネジメントにも役立ちます。逆に、不適患者像には他の治療オプションを提案するなど、処方経験の浅い新薬を使用する際にトラブルに遭うことのないような提案を求めている医師が多いようです。

とはいえ、これを実現するのはなかなか難しいのではないでしょうか。医師との会話において、実際の患者像を共有し適切な処方イメージを醸成するためには、MRの「実臨床理解の解像度」を上げることが課題となります。

③MRの実臨床理解の解像度を上げるためのステップとは?

しかし、臨床業務を実際に行うわけではないMRが実臨床理解の解像度をあげることは困難を極めます。

当社では、その解決策のひとつとして「Positioning Probe(ポジショニングプローブ)」というサービスを提供しています。

医師目線の妥当性や訴求ポイントを明らかにする
Positioning Probe(ポジショニング プローブ)

まず、薬剤ごとに想定される患者のペルソナ、ペイシェントジャーニーをもとに、当社の電子カルテデータベース「ユカリアデータレイク」から類似する症例をピックアップします。

患者の基本情報
時系列での経過
処方とHbA1c検査値の変化

そして、その症例をもとに医師にインタビュー調査を行い、現場目線での妥当性や、医師に訴求すべきポイントを明らかにしていきます。

必要に応じて、医師自身にカルテを読み込み症例サマリーを作成していただき、さらに得られた回答に対して何往復もやりとりを続けることでブラッシュアップしていきます。

そして最終的には実際の臨床業務に根差したパターン別の患者像のシナリオを作成していきます。
今回は講演用にシンプルな内容としていますが、患者像だけでなく、主な対象となる医師の背景情報や、どのようなディテーリングや会話が医師の困りごとを解消するのかを言語化していきます。

このような取り組みにより、定量的なアンケート調査よりも極めて具体的で解像度の高い臨床への理解が進み、医師目線での処方に繋がる情報提供が促進されていくのではないでしょうか。

以上、2回にわたり、弊社イベントの講演動画とその概要をお伝えしてきました。

弊社では、今回のような、データに裏打ちされたMRの現場での戦術作成支援をさまざまな疾患・テーマで行っております。
本記事の内容で気になることがありましたら、以下のメールアドレスまで、お気軽にご連絡ください。

株式会社ユカリア
データインテリジェンス事業部 pharma.biz@eucalia.jp

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