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父と娘の日々

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認知症が進行していく、憎たらしく愛おしい父との、尊い日々の記録。
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2022年10月の記事一覧

安定と不安定。

安定と不安定。

昨日は4ヶ月ぶりに
東京の父の叔母に会いに行ってきた。

10年以上前から
認知症を発症しているおばちゃん。

覚えてるのかどうか
全然わからないけど
私の手を握って喜んでくれた。

今までで一番
コミュニケーションが取れて
とってもうれしかったし
お世話をしてくださっているみなさんが
それをすごく喜んでくれていたのが
ありがたかった。

おばちゃんの認知症も
ちゃくちゃくと進行しているようだけど

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健康に食べる。

健康に食べる。

もう10月だってのに
昨日はノースリーブでちょうど良かった。

今日はこの秋初の長袖。
やっと秋らしい空気になった。

でもまだ油断できないのかな。
太陽が出たなら
未だ夏のように
ギラギラしてるのかも。

父は生きたそうで
でも食べたくなくて
飲みたくなくて
苦しそうに葛藤している。

こころとからだは繋がってるというけど
生きたいから食べられるとか
そううまい具合に単純ではないんだな。

むし

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雨の日も風の日も、ヘルパーさん。

雨の日も風の日も、ヘルパーさん。

スーパーで
柿詰め放題500円てのをやってたので
品のある程度にほどほどに詰めて
リュックにしょって帰ってきた。

柿はやわらかくなると
なめらかでトロンとしてるので
父の朝ごはんに最適だ。

なかなか水分を摂ってくれないので
あとはジューシーな食べ物で
勝負するしかないな。

週末台風がやってくるので
スーパーに買い出しに行くも
いろいろ買い占められていて
オムツもちょうど良いのがなかった。

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気づかずにサヴァイヴ。

気づかずにサヴァイヴ。

昨日は村のこころの恋人夫妻から
栗が届いた。

おおーーきくて立派!
うれしくて電話してみたら
元気なお母さんの声が聞けて
うれしさ2倍だった。

台風が来てるので(2019年)
非常食になるけど
栗の調理をしてる余裕がない。。
とかなると後悔しそうなので
今日はゆとりの栗おこわを炊いた。

山盛り2杯食べて大満足。
もう何があっても大丈夫◯?

こんなお天気では
父もぐったりと大人しくしている。

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祈り。

祈り。

台風の動向を
ずっとテレビで観ていた。
(2019年)

実家の近辺は大したことなかったし
箱根の弟家族もどうにか無事だったけど
広い範囲で大変なことになっている。

自分だったらと思うと
胸がギュッとなる。

長野の田舎の近くを流れる
千曲川周辺も大変な被害。

母の弟のおじちゃんちは
決壊した場所から3キロほどだそうだ。

小さい頃
いとこと漫画を立ち読みしに行った
飯山駅周辺も床上浸水してい

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命の向かう方向。

命の向かう方向。

台風で振り落とされた
青いどんぐりたち。

もうしばらく、高いところから
景色を見ていたかったろうなあ。

台風の低気圧に揺れ動かされたのか
父は高熱を出し、肺炎になり
もうほんとうに何も口に入れなくなり
点滴の毎日。

意識も朦朧としていて
どんなに話しかけても
返事が返ってこなくなった。

認知症になってから
弟の息子の反抗期の2歳児と
まるで同じようだったのだけど
今は生まれて間もない赤ちゃ

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ただ、そばにいる。

ただ、そばにいる。

父の肺炎が回復してきたようで
熱も下がり
呼吸が穏やかになってきた。

もうあまり苦しくなさそうで
寝息を立てて眠っているよう。

でももう
時々目を開けたり
少し手を動かすくらいで
意識が戻ってくることはなくなった。

昨日の血液検査の結果では
腎不全の状態で
意識障害も起こしているとのこと。

もう、肺炎だけが原因で
朦朧としているのではないようだ

台風一過で転がるように今に至り
最後まで家

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父も、そばにいる。

父も、そばにいる。

昨日は父の意識が戻らないと書いてしまったけど
やっぱりひとのからだとは
波のようになっているようで
今日は良く目が開いている。

目を開けてるときに呼びかけると
やはり生まれたばかりの赤ちゃんのように
何かがどこかから聞こえてくるぞ
というような表情でこちらを見る。

もう目もほとんど合わないし
返事はないけれど
きっと聞こえてるだろうと
あーだこーだと話しかけている。

昔は植物人間とか言って

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父を想う人たち。

父を想う人たち。

父の呼吸が
また苦しそうになってきてしまった。

体力が落ちているので
菌に勝てないみたいだ。

往診の先生が
少しでも楽になるようにと
抗生剤の点滴を延長してくださった。

ほんとうに肺炎はどうにか
良くなってもらいたい。

往診の先生は
先の予定を立てて
希望を捨てず
父に寄り添ってくれている。

訪問看護師さんは
いつ何があっても良いように
家族に寄り添ってくれている。

ヘルパーさんは

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足音、近づく。

足音、近づく。

父の姉のおばちゃんは
たくさん悩んだそうだけど
娘たちに背中を押され
上のお姉ちゃんに連れられて
長野から遥々
父に会いに来てくれた。

とても陽気なおばちゃんとお姉ちゃんは
終始明るく笑っていて
ヘルパーさんや看護師さんのやることを見て
勉強になるわーと感心し
父に会えてほんとうに良かったと喜んで
こちらもとてもありがたかった。

一晩父の部屋で一緒に寝てくれて
私も安心して熟睡できた。

父の

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静かに燃える。

静かに燃える。

父はがんばっている。

山場なんてなんのそので。

からだの中にある
全てを燃やして
生き抜いている。

眉間に寄っていたしわも取れて
少しだけ目を開けて
穏やかな顔で
ただただ大きく早く
呼吸をしている。

ざわざわとしていた山場は通り過ぎ
また父とケンチャンと私だけの夜は
超夜型人間のケンチャンが本領を発揮して
私は安心してたくさん眠ることができた。

今日は看護師さんが
点滴をしに来てくれる

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父の背中。

父の背中。

父はがんばっている。

こころの整理ができないひとが
ちゃんと受け入れられるまで
待っているかのように。

でも最後のひとりも
そろそろ覚悟してくれたと思う。

だって
もう父のからだはボロボロだし
血圧は40代まで下がっているし
もう採血の血液も採れない
呼吸も弱くなってきた。

それでも
看護師さんもビックリの
タフさを見せてくれている。

もうがんばらなくて良いよ
と話しかけてるけど。

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満ちる朝。

満ちる朝。

昨日の朝、父は
みんなが集まってから
途切れ途切れだった呼吸を
さらにゆっくりにして
最後に開いてた目も口も
きゅっと閉めて
喉仏をストンと落として
呼吸を止めた。

最後の一息まで
生き切った。

父に育ててもらった
家族全員で見送った。

母と同じ
27日の早朝だった。

途中、これで良かったのかと
苦しい日々もあったけど
父の最後と今の穏やかな顔を見ていると
良かったんだよと
言ってくれてる

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