静かに燃える。
父はがんばっている。
山場なんてなんのそので。
からだの中にある
全てを燃やして
生き抜いている。
眉間に寄っていたしわも取れて
少しだけ目を開けて
穏やかな顔で
ただただ大きく早く
呼吸をしている。
ざわざわとしていた山場は通り過ぎ
また父とケンチャンと私だけの夜は
超夜型人間のケンチャンが本領を発揮して
私は安心してたくさん眠ることができた。
今日は看護師さんが
点滴をしに来てくれるだけの
静かな一日。
今の父はもう
山を登ったり降りたりはしない。
ただただ静かに
全てを燃やし尽くすまで
生きるんだ。
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