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ご援助契約成立。ルームシェアの相手は、まさかのお嬢様女子高生・17話目

第17話 私をここに置いてください ACT 7

間違いない。
ちらっとしか見えなかったけど、あのリュックは彼奴のだ。

公園の出口の壁の外に出ると、路上で二人組の若い男……。出来れば俺もまだ若いと言いたいところなんだが……。それはもういい。

やっぱり彼女だ。手をつかまれ、二人の男達に連れ込まれようとしていた。
それに彼女は抵抗する感じは見られなかった。
ったく! またこんな奴らにのこのこ就いて行くのかよ。

一瞬にして頭に血があがった。
ナンパしている男達にじゃない。それを拒否しようとしない彼奴にだ。

「おい、美愛みあそこで何してる!」

彼女は「あっ」と声を漏らしたがすぐさま一人の男が
「おい、何邪魔してんだ。お前此奴の何なんだよ!」
男は目を威嚇させ、投げ台詞の様に言う。
ま、お決まりの展開のようだが……。

相手はそれでこっちがひるむとでも思ってんのか。俺も一時期荒れてた時代があった。
こう言う展開の時は一瞬でも怯むと負けだ。表情は一切変えず、されど威圧感は相手に押し込むように。

「俺の妹に何かあるのか」

「えっ! 妹……。あははは、妹さんでしたかぁ。済みません」
「その手離さねぇのか」
「あ、はい。どうも」
「あと用が無かったら消えろ!」

「ええええええっ、はいそれじゃ」
はいはいナンパ失敗。ま、また次狙いに行くんだろうけどな。

足早に奴らは美愛から離れて行った。
チラチラと視線を送る奴らに留めを刺すように、俺は美愛の手首を握りグイッとその体を自分の方に引き寄せ。
「馬鹿かお前は」と言い、コツンと頭を軽く叩いた。
それを見てだろうか、奴らはもうこちらを見ることはなかった。

「はぁ、また会っちゃったね。……お兄ちゃん?」

「うっ!」その上目使いで俺を見るのはやめてくれ。変な欲が生まれそうだ。

「ところでこんなところで何してんの? まだ具合悪いんでしょ」
「病院の帰りだ。病院には行けって書いておいてただろ」
「あ、そうか。ちゃんと病院に行ったんだ。偉い偉い」

「まったく、で、お前はここで何してたんだ」
「何してたって、行くとこないんだもん。また誰か拾ってくれないかなって」
拾ってくれないかなって、お前は本当に猫か。

「拾ってもらうんだったら、もっと人のいるところの方がいいじゃねぇのか」
「ああああ! それもそうだね。でもさ、平日のこんな時間に制服姿で街の中うろうろしていたら補導されちゃうよ」

「ごもっともで」

確かにそうだよな。こんな姿で当てもなく街をさまよっていたら、「家出少女です」と張り紙しながら歩いているようなもんだからな。
「なぁ、いったんその、叔父さんの所に帰ったらどうだ」
美愛は即答で「やだよ」と答えた。
あははは、よっぽど嫌なんだろうな。

「ところで私いつから妹になったの? お兄ちゃん」
ちょっとからかいながら美愛は言う。

「お前、あの医者に自分で言ったんだろ。同居している妹だって。言われちまったよ。妹さんに感謝しろって」
「そ、かぁ。ま、別にぃ―、感謝してもらわなくたっていいんだけどね」
「いやいや、俺はものすげぇ感謝してんだ本当に」
「本当に?」
「本当さ。俺一人っきりだったら、今頃どうなっていたか分かんねぇよ」
「……そうなんだ」
「そうだよ」
俺のその返事を美愛は、俯きながら訊いていた。

頬が少し赤くなっているようにも見えたのは、気のせいだろうか。
そして美愛は小さな声で

「だったら……私をあそこに置いてください」
「ん? 何か言ったか」

美愛はいきなり大声で
「だったら私をここに置いてください」と叫んだ。
「えっ! ここにって、ここ路上だぞ」

「馬鹿! あなたの所に私を置いてくださいって言ってんの! 掃除でも洗濯も、料理も、なんでもやるから、お願い。私をあなたの所に住まわせて」

「マジ?」

思わず一瞬にして頭が熱くなった。その後視界がグラッと歪んだ。
また熱が上がったんだろうか。
うつろな意識のまま、何とか美愛に支えられながら家へと辿り着いた。
この部屋の中にまた美愛がいる。いや、居てくれている。
その安心感からだろうか、ソファーに身を沈ませ、眠ってしまった。

気が付くと、美愛は俺の肩に頭を乗せて、気持ちよさそうに寝ていた。


その姿は……。まるで猫のようだ。

野木崎美愛002-800

◆◆ 同棲じゃない。あくまでもルームシェアだ! ACT 0

世の中、いや、世間と言う世界の中で、俺の取った行動は許されるのだろうか。

「……アン! そこは、くすぐったい。もっと激しくしてもいいよ。大丈夫だから」
言われるままに優しく触れていた手に力を注ぎ、グイッとその局部に力を込めた。

「ううううううううううっ。ああああああああ! いいよ、いいよ。そうそう。効いてるよ。ずんずんと奥まで効いてるよ」
「そうか。じゃぁ、こっちはどうだ」
「あ、つつつつつつつつっ!! そこは……ああああ、はまっちゃうよぉぉ!!」

美愛はのけぞるように体をねじり始めた。

「おい、逃げるなよ。これからだって言うのに」
「だってぇえ、だめだよぉ。私耐えられないかも……」
「ダメだ絶えるんだ」
「んっもう、雄太さんの意地悪ぅ」

「意地悪なんかじゃねぇだろ。背中がつったからマッサージしてくれって来たのは美愛の方じゃないか」

「そりゃ、そうなんだけど……でもマッサージって言うよりも、ツボ押しになってるような気がするんだけど」
「あっ! そうか。だよな。俺ツボ責めてたわ」

「もういい。大分良くなったから」
「本当か?」
「うんうん、もう良くなったよ」

「しかしお前、どうしたら背中がつるようなことになるんだ」
「ええッとねぇ。今日買ってもらったあの「ぼよんぼよんクッション」座ってるだけじゃもったいないなぁって。ちょっとストレッチを……。仰向けにクッションの上に寝たら、背中が「ピキッ」てね。あははは」

「馬鹿じゃねぇの。だからもう少しちゃんとしたって言うか、いいやつもあったのに。お前があれがいいって、きかないから仕方なく買ったのにさ」
「別にいいじゃん。どうしてもあれが良かったの。あ、もうこんな時間だ。夕食作るね」

「おう、頼むよ」


あれからもう2週間が過ぎ去っていた。

この家で、俺と女子高校生の美愛が一緒に暮らし始めて。

だが、一つだけ言っておく。これは同棲ではない。
あくまでも美愛はルームメイトだ。俺の家、部屋をシェアしている同居人だ。


ただし、援助契約ありのルームメイトだけど……。



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