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ジプとジアの島

8
全8回の会話劇。大きな声では言えませんがいろんな作品からオマージュしてます。
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#会話劇

ジプとジアの島8(終)

『自ら禁じた純真』ジプ「ジーが引退を考え出したのか、王位継承が知れ渡ったある日、彼は子供を連れて王の間に現れた」 ジア「そうか…新しい神官も育てていかないとだめなんだ」 === ジプ「あれ以来、すっかりもう一人のバクが現れなくなったな?」 バク「いなくなったわけではありません。自分が必要と感じたらばいつでも顔を出すでしょう…ん?」 ジプ「ジー、その者は?」 シズ「あら…その子は」 ジー「この子には神官の資質があるようにおもいましての。ほら、ご挨拶するのじゃ」

ジプとジアの島7

『4つ目の王冠』トラ「父さんはいつもそうだ!自分はスケールの小さい人間だと思って!リヤのお母さんに王様の役をくださいって言うくらいの気概を持ってもらいたいね!」 トラの父「な、なにを言うんだトラ!」 トラ「どうせこの魚だって、釣りあげてみたら案外小さかったとか言うにきまってるんだ!!父さんを小さくしてるのは父さん自身だ!」 トラの父「ぐぬぬぬぬ、ならば巨大な魚を釣り上げて見せようじゃないか!お前が父さんを見直すような魚を思い描いてみせようぞ!」 トラ「ねえ!今かかって

ジプとジアの島6

『劇と現実の境界線』リヤ「いた!」 クー「…こっちに来たら死んでやる」 盗賊バク「わかったこれ以上近づかない」 ファズ「オルゴ・デミーラよ、お前は魔王なのか?」 クー「…僕は」 リヤ・わんぱくジプ・盗賊バク・ファズ「…」 クー「僕はもう僕じゃない。」 リヤ・わんぱくジプ・盗賊バク・ファズ「…」 クー「君たちは何をしにここに来た?」 リヤ「5人で歩いた道をたどってきたんだ」 クー「5人で歩いた道…」 わんぱくジプ「また5人でここから出ないか?ここは誰でもな

ジプとジアの島5

『赤と青のトランプ』盗賊バク「お?神経衰弱か?」 女の子A「うん!赤と青のトランプを使ってるの!」 リヤ「赤と青のトランプ?」 女の子B「めくってみて!王子様!」 わんぱくジプ「どれどれ。お、ほんとだ赤一色だ」 女の子B「もう1枚めくって!?」 わんぱくジプ「んー、じゃあここ!あ!」 女の子A「ジョーカーだ!」 女の子B「ジョーカーは1枚しかないから外れだよ!」 ファズ「ほ~」 女の子A「赤と青が26枚ずつあるの!ジョーカーと合わせて53枚!」 女の子B

ジプとジアの島4

『一番暗い夜明け前、からの朝』王と妃と王子が朝食を食べている わんぱくジプ「ところで父上、王墓に封印されていたという不吉な物語を、父上はご存じなのですか?」 王様「む、それは…」 后「うふふ」 わんぱくジプ「どうしたのですか?母上」 王様「これ、おかしなことを言うでないぞ」 后「いいじゃないですか、私が后となった理由とも関係があるんですもの」 わんぱくジプ「母上が后になった理由!?」 王様「ええい!こうなったらジプはテコでも動かん!好きに話すがよい!」 王が

ジプとジアの島3

『目を開く時』盗賊バク「ファズ、後ろを向いてどうした」 ファズ「私は後で入らせてもらいます」 わんぱくジプ「ファズはなんか知らないけど、風呂が嫌いなんだ、俺の背中、流してくれたことは数えるくらいしかないんだぜ」 ファズ「許されるものなら毎日お流ししたいくらいです」 わんぱくジプ「だったら一緒に風呂へ入れ!これから宿屋で一緒に寝泊まりするんだぞ!これは親睦を深めるためにも必要だ!」 リヤ「そうだよファズさん!ファズさん?」 ファズ「…」 わんぱくジプ「…」 盗賊

ジプとジアの島2

『竜が届けた物語』ざわざわ ジプ「はじまる!みな!拍手!」 ぱちぱちぱちぱち! === リヤ「…」 観客(あがってる!) リヤ「~~~」 観客(がんばれっ!) リヤ「やだやだやだ~~~!僕に勇者なんて無理だよおおおおおおおおおお!!」 呆然とする観客 マリベル「リヤ!リヤ!」 リヤ「はっ、母さん!」 マリベル「また立ったまま夢を見てたの?」 リヤ「実はその…うん」 観客「ははは」 マリベル「大丈夫よ。あなたは海の民の子、勇者ではなく船乗りになるんだ

ジプとジアの島1

『長くて2段重ねの夢』「それ!」 「キャッチ!」 砂浜で、ピラミッド型のパズルを空高く投げて遊ぶ二人 ジプ「長くて…2段重ねの夢を見たんだ」 ジア「2段重ね?」 ジプ「古代のどこかの国で、若き王として君臨する夢のあとに、近代のどこかの国で恋愛ゲームをする夢」 ジア「へえっ聞かせてよ」 === ジー「王冠を見つけた時が、ジプ様が王位につく時という訳ですな」 シズ「ケツァル様亡き今も、神官の権限が保たれる、いわば猶予期間ね」 シー「もしジプ様ではなく神官が本物