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ジプとジアの島5

『赤と青のトランプ』

盗賊バク「お?神経衰弱か?」

女の子A「うん!赤と青のトランプを使ってるの!」

リヤ「赤と青のトランプ?」

女の子B「めくってみて!王子様!」

わんぱくジプ「どれどれ。お、ほんとだ赤一色だ」

女の子B「もう1枚めくって!?」

わんぱくジプ「んー、じゃあここ!あ!」

女の子A「ジョーカーだ!」

女の子B「ジョーカーは1枚しかないから外れだよ!」

ファズ「ほ~」

女の子A「赤と青が26枚ずつあるの!ジョーカーと合わせて53枚!」

女の子B「普通のトランプと違って自分で遊び方を考えたりできるんだよ!」

わんぱくジプ「このトランプどこで売ってるんだい?」

女の子B「王子様も欲しいの?」

わんぱくジプ「うん!買いに行こうかな!」

顔を見合わせてひそひそ話す女の子、二人は頷き、トランプをケースにしまった

わんぱくジプ「ねえこれ、どこで買えるか教えてよ!」

女の子AB「あげる!」

わんぱくジプ「え!いいの!?」

女の子A「これ、小さい子のためのトランプなの」

女の子B「あたしたち、もうそろそろ卒業するつもりだったの!」

わんぱくジプ「そっか…普通のトランプで遊ぶようになるのか…」

リヤ「まるで少年ジプでお土産をもらうみたいだね、ジプも何か上げたら?」

わんぱくジプ「うん、そうだな!じゃあ」

女の子AB「…」

わんぱくジプ「これなんかどう?小さなメダル!」

女の子A「あ!」

女の子B「ほしい!」

わんぱくジプ「でも1枚しか無いや」

盗賊バク「俺も持ってるぞ、道中で拾ったんだ。ほら」

わんぱくジプ「サンキューバク!」「はい!」

女の子AB「ありがとう!」

===
盗賊バク「ジョーカーと26枚の赤と青、製作者はどんな意図でそれを作ったんだろうな?」

わんぱくジプ「なんか俺たち、すっかり考えるのが好きになっちゃったな」

ファズ「小さい子のためのものだと言ってましたね、たしかに神経衰弱をするならわかりやすそうです」

リヤ「このカードに呪文が封じ込めてあったら面白いな」

わんぱくジプ「お、それいいな!」

カードをかざすリヤ「こうして…メラ!」

真似をするわんぱくジプ「じゃあ俺は氷の呪文…ヒャド!」

盗賊バク・ファズ「ははは」
===
リヤ「あ!行商人が露店を開いてる!」

わんぱくジプ「よし!話を聞きに行こう!」
===
わんぱくジプ「ちょっといいですか?」

行商人「なんだい?」

ファズ「この少年にそっくりな子を見かけませんでしたか?」

行商人「いや」

リヤ「…」

盗賊バク「リヤ、どうした?」

リヤ「剣が売ってある…」

行商人「どこの国も平和でな。長旅を共にしとるよ。」

リヤ「…」

行商人「鞘にベルトがついてて背負えるんだ、そんなに重くないし、君に合うんじゃないかな?」

ファズ「物騒なものを薦めてもらっては困ります」

リヤ「…」

わんぱくジプ「欲しいのか?リヤ」

リヤ「うん…」

わんぱくジプ「よし!買ってやるよリヤ!」

リヤ「ほんと!?」

ファズ「ジプ様!」

わんぱくジプ「鞘から抜いてみてもいいか?」

行商人「どれ見せてやろう」

行商人は剣を抜いた

行商人「君、重さを確かめてごらん」

リヤは剣を受け取った

ファズ「気を付けてください?リヤ殿」

リヤ「ファズ…剣を持ち歩くってどんな気持ち?」

ファズ「人を傷つけることのできる代物です。責任感というか、覚悟が芽生えますよ…」

リヤ「うん!僕これ欲しい!」

盗賊バク「火に油だったようだ、ファズ」

ファズ「持ち歩く分には構いません、そして我々が目的を達成したら剣をジプ様に返却することを約束してください、リヤ殿」

リヤ「うん!」

わんぱくジプ「いくらだ?」

行商人「2800でどうかな?」

わんぱくジプ「わかった。バク、ファズ、何か必要なものがあればついでに買うぞ?」

ファズ「お気遣いありがとうございます、大丈夫です」

盗賊バク「身代わりの魔除けのようなものはあるか?」

行商人「うーん、今はないねえ」

盗賊バク「そうか。ジプ、剣だけでよさそうだ」

わんぱくジプ「釣りはとっといてくれ」

行商人「おお気前がいいねえ、ありがとさん」

===
リヤは剣を装備した

リヤ「えへへ」

わんぱくジプ「なかなか似合うぞ」

リヤ「ありがとうジプ!」

盗賊バク「聞き込みを続けよう」

ファズ「ええ」
===
わんぱくジプ「これといった情報はなかったな」

盗賊バク「今日のところは切り上げるか」

ファズ「そういえばバク殿、身代わりの魔除けを欲しがってましたね?」

盗賊バク「ああ。自分のためというわけではないのだが…」

リヤ「クーのため?」

盗賊バク「…俺は万が一のことがないことを願っているらしい」

リヤ「…ごめんね、剣を欲しがったりして」

盗賊バク「かまうな…お前は覚悟を背負ったんだ。それは奴を含めた5人が全員で生還できるとは限らないということ、俺も覚悟を決めねばならん」

ファズ「…」

わんぱくジプ「なあ、今日は宿屋に泊まらないか?」

ファズ「宿に泊まるにしてもそのことは城の者に伝えておきましょう」

リヤ「こんな時ルーラが使えたらなあ」
===
その夜、僕たちは宿屋で冒険の最後の夜を過ごした
===
女の子AB「あ!」

わんぱくジプ「やあ!今日も会ったね」

女の子A「さっき、そっちのお兄ちゃんに似てる人がいたの!」

盗賊バク「なに!?」

ファズ「どこでみかけたのです!?」

女の子B「枝分かれの洞窟に入っていったよ!」

リヤ「あそこが根城か!」

盗賊バク「行こう!」
===
わんぱくジプ「クーが教会を爆破したのは二日前…罠の中に飛び込むことになるか」

ファズ「生まれたての魔王の葛藤を感じますね」

盗賊バク「離れたくはないが、拒まない訳にもいかない…奴がしてるのはジプの読み通り闇のゲームへの挑戦…!それは他者というままならない存在を誘導し、自分を受け入れるか否かを半強制で提示するという形で収まっている…!」

リヤ「この洞窟は4つに枝分かれしてる」

ファズ「4人で別々の道を行けば誰かが対面することになりますが…」

わんぱくジプ「俺とリヤは恐らく爆薬の罠に気づけない…」

盗賊バク「奴は俺たち以外の者が洞窟に入ることを想定しているのか?」

リヤ「もしかして罠なんてないんじゃない?」

わんぱくジプ「リヤ、分岐点から最深部までは声が届かなかったよな」

リヤ「うん」

ファズ「4人の声量でも無理ですかね?」

盗賊バク「あいつが呼びかけに応じてこっちに来るなんてことあるだろうか」

一同「…」

リヤ「バクが王冠を隠したルートは5人で進んだルートだよね」

わんぱくジプ「確かに…そのルートに賭けるか?」

ファズ「それが一番な気がします」

盗賊バク「当たりだったら?」

わんぱくジプ「ラストバトル」

ファズ「外れだったら?」

リヤ「逃げられて冒険が長引く」

盗賊バク「…どっちも悪くないな」
===
盗賊バク「…爆薬が置いてあるな」

リヤ「うん」

わんぱくジプ「仕掛けはないようだけど…」

ファズ「爆発しない罠」

一同「くっw」

リヤ「さんざん深読みしたのに」

わんぱくジプ「魔王は仲良くしたいみたいだな」

つづく