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22/1/23 《プレミアリーグ21-22 第23節》 チェルシー vs トッテナム レビュー

こんにちは。えつしです。


今回は、プレミアリーグ21-22第23節、チェルシートッテナムの試合をレビュー。


先日のカラバオ杯準決勝での2戦を経て、1月だけで3回目となるこのカード。
ここまではチェルシーの2連勝とレベルの差を見せつけられる形となっていましたが、締めくくりとなる3試合目の結果はいかに。。


1. スタメン

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・チェルシー
ケパ
アスピリクエタ-チアゴ・シウバ-リュディガー-サール
ジョルジーニョ
ツィエク-マウント-コヴァチッチ-ハドソン=オドイ
ルカク

73’ ジョルジーニョ⇄カンテ
87’ ハドソン=オドイ⇄アロンソ
90’+1’ ツィエク⇄サウール

チェルシーは、直近のミッドウィークブライトン戦からアロンソカンテに代えてサールコヴァチッチを起用した〔4-1-4-1〕

チャロバークリステンセンリース・ジェイムズチルウェルが欠場。


・スパーズ
ロリス
タンガンガ-ダイアー-サンチェス-デイビス
ドハティー-ウィンクス-ホイビュア-セセニョン
ケイン-ベルフワイン

56’ セセニョン⇄モウラ、タンガンガ⇄スキップ
89’ ウィンクス⇄ヒル

スパーズは、直近のミッドウィークレスター戦からエメルソンスキップレギロンモウラに代えてドハティーセセニョンベルフワインを起用した〔4-4-2〕

ダイアーが怪我から復帰。ロメロソンが引き続き怪我で欠場。


2. 1st half

2-1. スパーズの狙いを外すチェルシーの〔4-1-4-1〕

この試合、前回対戦時のチェルシーのシステムに噛み合わせる形でスパーズ〔4-4-2〕を選択。
しかし、なんとこの日チェルシーは予想外の〔4-1-4-1〕という布陣で試合に臨みました。


・スパーズの守備とIHとSHで崩すチェルシー

SHにドハティーセセニョンというSBやWBが本職の選手を起用し、試合前には彼らが守備時にDFラインに吸収されるような形の6バックも辞さないつもりなのかと考えていましたが、いざ試合が始まるとスパーズSHが相手のSBまでプレスに出て、SHにボールが渡った際にはSBが出ていく形の守備を敢行。

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SHがSB、SBがSHに出ていくスパーズの守備

2トップのケインベルフワインは基本アンカーのジョルジーニョを2人でみる立ち位置。


この守備に対して、チェルシーは糸も簡単に解決策を見つけてしまいます。


まずはIHの斜めのランニングとSHの下がって受ける動き
特に右サイドで何度も見られたこの形。SHのツィエクハドソン=オドイがSBからボールを受けるために下がっていく動きに合わせてIHのマウントコヴァチッチが斜めのランニングでスパーズのSBの裏を狙います。
チェルシーのSHをみることになっているスパーズのSBは、自分がSHにプレッシングにいってできる後ろのスペースを使われることを気にしてSHまでプレスに出ることに迷いが生まれます。

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チェルシーのSHとIHの連動に対するスパーズSBの迷い

試合が進むにつれてIHのこのランニングに対してはボールサイドのCBのスライド25分辺りからはボールサイドのボランチがついていくようになり、SBは迷いなくSHに出ていけるように。


・SH→アンカーでのチェルシーの前進

チェルシーのSHに入ったのはピッチを遠くまでみることができる視野と類まれなキック精度を持つツィエクとプレスに来られてもボールを奪われないオンザボールでの確かな技術を持つハドソン=オドイ
スパーズのSHがチェルシーのSBまで出ていくためスペースが生まれ、彼らには内側へのドリブルでSBのプレッシングから逃れる術があります。

ここですばらしかったのがジョルジーニョ並行サポートで、SHからスパーズの中盤のラインと2トップのラインの間でボールを受けてルカクへの縦パスや逆サイドへの展開。
前述したようにスパーズのボランチがチェルシーのIHの斜めのランニングについていくようになってからは、さらに中央にスペースが生まれ、ジョルジーニョはプレーしやすそうでした。

SH→アンカーでのチェルシーの前進

・SB→アンカーでのチェルシーの前進

スパーズの2トップはSBからCBに戻すパスが出たとき以外は基本2人でアンカーのジョルジーニョをみる形でした。
しかし、幅を取り過ぎずに低い位置でボールを受けるアスピリクエタからうまく角度をつけられてSB→アンカーのジョルジーニョというルートでチェルシーの前進を許してしまうことに。

SB→アンカーでのチェルシーの前進

右サイドではドハティージョルジーニョへのパスコースを切って、内からのプレッシングでサールに寄せることによってこの問題に対処していましたが、ジョルジーニョを切りきれていないときもあったり、左サイドではセセニョンが同じプレスのかけ方をできずにアスピリクエタから簡単にジョルジーニョを使われて前進されるシーンが多く見られました。
また、SBからCBに戻すボールをスイッチにCBにプレスをかける場合以外にも、運ばれるのが嫌だったのか、ベルフワインリュディガーにプレスをかけた後にプレスバックせずにアスピリクエタジョルジーニョと繋がれるシーンが何度かありました。


アンカーを使われること意外にも、サールドハティーがご丁寧に内からプレスをかけてくれることによって利き足である左足でボールを持ってSHにパスを出すのは簡単な仕事だったでしょうし、わざわざ極端に内から寄せることによってドハティーハドソン=オドイに対するプレスバックは遅くなっていました。


2-2. 1st halfまとめ

チェルシーは、IHの斜めのランニング、ジョルジーニョの献身的なサポートで主導権を握り、なんと下記の通り前半75%ものボール支配率を記録しました。


スパーズはカウンターで何度かチャンスを作り、39分21秒にはセセニョンのクロスからケインがネットを揺らしたと思ったのですが、チアゴ・シウバへのプッシングによるファールでこれが認められず。


さらにチェルシーの素早い揺さぶりで、タンガンガは得意の相手が前を向く前に寄せ切って激しくチャージにいく守備ができず、ハドソン=オドイとの勝負は劣勢。37分の時点でイエローカードをもらってしまっています。


チェルシーペースで試合が進んでいるのは間違いないものの、レスター戦同様ベルフワインがポストプレーで貢献できることを示し、なんとか点は許していないというスパーズ


それに対して2-1.であげた前進のルートだけでなくコヴァチッチのレイオフから前向きのジョルジーニョを使うなど、選手それぞれのとんでもないインテリジェンスだったり、ルカクへのシンプルなボールからの個の力であったりを見せつけているチェルシーという前半でしたが、果たして後半はどのような動きがあったのか。。


3. 2nd half

後半開始からすぐ、46分台にハドソン=オドイタンガンガを背負ったところから反転し、そこからドリブルで運んで逆サイドのツィエクへ繋ぎます。マウントの斜めのランニングとアスピリクエタのオーバーラップもあってセセニョンデイビスのどちらも寄せられず、ツィエクが余裕を持って放ったシュートは綺麗な放物線を描いてゴールマウスの隅へ吸い込まれ、46分47秒チェルシーが先制。あのシュートはさすがのロリスもノーチャンスでしょう。
後ろ向きへの相手への対応で、タンガンガがあまりにも簡単にハドソン=オドイに入れ替わられてしまったことと、あのキック精度を持つツィエクがボールを持っているのにセセニョンデイビスのどちらが寄せてどちらがカバーにいくのか瞬時に判断できなかったことが悔やまれる点です。


さらにその数分後にはハドソン=オドイコヴァチッチの単純なワンツーでタンガンガが裏を取られ、カバーにいったダイアーのファールで与えたFKからチアゴ・シウバのヘディングで54分39秒スパーズ2失点目。


その直後の56分セセニョンタンガンガに代えてモウラスキップを投入し、〔4-3-3〕の並びに変更したスパーズ


しかし、守備面ではケインがCB間を切りながらプレスをかけてもアンカーのジョルジーニョはガラ空きで誰がそこを潰すのかはっきりしておらず前半以上に簡単にプレス回避されるように。


攻撃面でも、献身的に下がってスパーズのSBについていくチェルシーのSHやドハティーからボールを引き出すためにサポートにいくウィンクスを逆サイドのIHであるにも関わらず潰しにいくマウントの守備に苦しめられ、うまくボールを前進させることができず。


その後チェルシー〔4-2-3-1〕〔3-4-2-1〕〔3-5-2〕とシステムをいじりまくり、最後は後ろの枚数を増やしてしっかりと守り切りゲームセット。


スパーズ89分という遅い時間にウィンクスに代えてヒルを投入し、〔4-2-3-1〕にしたりしながら最後まで諦めませんでしたが、正直チェルシーの1点目が入った後にベルフワインケパまでプレスにいって恐らくこの試合初めて2トップの間を通されてジョルジーニョを使われたところ辺りからもうスパーズとしてはかなり厳しい勝負でした。


1月のチェルシースパーズの試合は、チェルシー3戦3勝スパーズ3戦3敗、最終戦のスコアは2-0で終了となりました。


4. 感想、総括

カラバオ杯の2ndレグで〔4-4-2〕っぽい守備を見せたスパーズ。それを受けてトゥヘルはこの3戦目に〔4-1-4-1〕という形をチョイスしました。
その時点でスパーズとしては狙いを外された形になっていたこの試合でしたが、それにしてもあまりにもチームとしてのレベルに差があり過ぎました。


試合後にいつにも増してチャンピオンズリーグ王者であるチェルシーと今のスパーズとの差を強調していたコンテでしたが、サイドの低い位置でスパーズのSBを釣り出そうとするツィエクや、前後左右あらゆる方向に動き回ってサポートを作り続けるジョルジーニョ、さらにそれにスパーズの選手が反応したときの彼らの判断スピードと正確なプレーなどまさにその差を見せつけられた試合となりました。


あのスタメンでスパーズにやれることがあったとすると、もっと明確に1stDFラインを下げてSB→ジョルジーニョというルートも2トップで遮断し、SHがチェルシーのSBまで出ていくこともしないという道だったと思いますが、それでも勝つのはかなり難しい試合になったことは間違いないでしょう。


5. おわりに

チェルシーとの3試合では圧倒的な力の差を思い知らされた感のあるスパーズですが、冬の移籍期間最終日にはユヴェントスからクルゼフスキベンタンクールの2人を獲得。


クルゼフスキ前線からのプレッシングベンタンクール前向きの守備には定評があるようです。
なので、ここ数試合中盤が相手の中盤を捕まえ切れておらず前線もプレスバックしないために今回のチェルシー戦のようにSB→アンカーという外→内のパスで崩されることの多かったスパーズですが、ロメロソンも戻ってくる代表ウィーク明けの試合では今までよりも洗練されたプレッシングを見せてくれるかもしれません。


さらにクルゼフスキはWGとして内に絞ってのプレーが得意で、2トップのCFやトップ下での起用も可能ということでますます楽しみです。


スパーズサポーターにはかなり心に来る別れもあった今回の移籍市場でしたが、別れもあれば出会いもあるのが移籍期間ということで、スパーズの新しい未来に期待したいと思います。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


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