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マリファナの香りと娼婦の微笑~アムステルダムのレッドライト地区~

アムステルダム中央駅から旧教会の方へ15分ほど歩くと、マリファナの香りがひときわ強く漂うエリアがある。
合法的な売春街のレッドライト地区だ。

となりにはチャイナタウンが隣接し、日本食材を売る中華系スーパーも多いので、日本人はよく行く場所だ。
街並みは教会も運河も申し分なく綺麗で素晴らしいのだけど、マリファナ臭くておまけに公衆トイレの臭いもするところが残念だ。

もっとも、合法的にマリファナが吸えるのだから吸う人にとっては素晴らしいのだろう。

どこの街も美しいオランダでも、このエリアはちょっと雰囲気が違う。
マリファナを販売するCoffee shopは、特にレッドライトやチャイナタウンに多い。

娼館は飾り窓と呼ばれるドアと赤いカーテンが特徴的で、ドア越しに娼婦が魅惑的ないでたちで立っている。
彼女たちは夜まで待たずとも昼間から営業中である。

娼婦にカメラを向けることは禁止されていて、違反すれば罰金を取られるので注意が必要だ。動物のように見てはいけない、というマナーがある。

娼婦は合法であり、また誇りある仕事という認識がオランダの興味深い文化である。

売春街博物館 Red Light's Secret

飾り窓を模して、娼婦として見られている気分を味わえる

レッドライト地区と売春婦の歴史を知れる小さな博物館がある。国立美術館やゴッホ美術館のように予約は不要で、いつでも入ることができる。

港に近いレッドライトは、14~15世紀の航海時代から船員たちが集う歓楽街として栄えた。アムステルダムでも歴史の古い街である。

オランダで売春が合法になったのは2000年のことだ。
オランダ国籍またはEEA(欧州経済領域)加盟国の国籍であれば娼婦として働ける。

生活に困って娼婦になる人がほとんどで、皆仕事は辛いと思っているが報酬がいいのでやるそうだ。
お金を貯めてから、法律事務所で働くという人もいる。

娼婦は女性に限らず男性もいる。
オランダには同性愛も多いし、ニーズも多様なのかもしれない。
男女が一緒にサービスを受けることもよくあることらしい。
一体どのようなサービスなのかは、私もわからないのでご想像にお任せする。

娼婦は21歳からなれるという。
年をとったら娼婦はどうするのか?
年をとると、性交渉なしのSMプレイのサービスを提供するという。
博物館の中には、SMプレイで使われる様々な”専門器具”が…。
檻と手かせもあって本格的。
「監獄プレイ」というやつ??

娼婦の労働組合があり、名前がなんと”Geisha”と言う。
オランダは江戸幕府が鎖国をしていた間も交易をしていたので、オランダ領事館員や船員たちの間で長崎の芸者が評判になっていたのかもしれない。

娼婦の殺害事件は多く、一年に一人は仕事中に殺されてしまう。危険と隣り合わせの仕事なのだ。
有名なのは、1956年に中国系のアニーという娼婦が娼館で殺害された事件。
客に殺されたのか、または別の何者かなのか、真相は明らかになっていない。

飾り窓越しに見る娼婦たちに、卑屈な様子はまったく感じられない。
堂々と通りに向かって立ち、誇り高く微笑んでいる。


レッドライト地区

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