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児童精神科医に気付かされた、子どもの「イヤ!」への対応法

子どものこころの専門家である児童精神科の先生へインタビューさせてもらった。

その先生には、私の息子(3歳)と同学年のお子さんがいる。もともとFacebookでつながっていて、お子さんとのやりとりでハッと気付かされたことの投稿を見ては「そういう視点で見られるの、すごいな〜」「子どもの気持ちの受け止め方がさすがだな〜」と尊敬しながら読んでいた。

専門家だってイライラする?

インタビューで子育てのことに話題が移ったとき、先生はこんな風に言っていた。

「子どもの発達にとってはこんな言葉がけがいい、などの正論はたくさん知っている。だけど、本当に子育ては思い通りにいかない。毎日のようにイライラもしますよ。正論を知っているのと、できるのとではとても違う」と。

イヤイヤ期を脱したものの、子どもの「これやりたい」と大人の「これしてほしい」がぶつかって、しょっちゅうイライラ怒ってしまう私にとって「子どもの専門家であってもイライラする」ことは、心強さを感じたというか、イライラしてしまうのはある意味仕方のないことなのだと、結構気持ちが軽くなった。

正論よりも大事なこと

でもそれ以上に、そのあとの先生の言葉にハッと気付かされた。

「正しいと言われている対応や言葉がけをするには、まず大人の方に余白がないとできないんですよね」

確かに、仕事のことを家庭に持ち込まないようにしようとは思っているものの、どうしても締切の前にはやや気持ちにゆとりがない。そのため、若干の焦燥感を抱えながら、保育園から帰宅した子どものお世話をしている。つまり、気持ちの全てを子どもの方に向けられていない。

それを子どもは敏感に察知し、甘えてくる。私は「もぅ!そんなに赤ちゃんみたい甘ったれないでよ!」と思い、それが言動の端々に表れる。それもまた子どもは察知し、不満を募らせ、ちょっとしたことで怒り始め……こちらもゆとりがないから、イライラを爆発させて高圧的な態度で応戦することとなる。これが納期前によく起こる光景だ。

反対に納期の山が過ぎると、自分のこころにゆとりがあるのだろう。子どもへの対応が、自然と穏やかになっている。だからこそ、子どもの機嫌も非常にいい。

イヤイヤ期や子どもの「これやりたい」などへの対応方法を調べると、まずは子どもの気持ちを受け止めましょう、と必ずといっていいほど書かれている。そして「そんなのわかっちゃいるけど、できない時どうすればいいのよ!」と、若干偏屈な気持ちが生まれる。

もちろん、まずは子どもの気持ちを受け止めることが正論に間違いなく、大事なことなのだろう。だけどそれよりも、もう1歩手前で、子どもに向き合う大人がこころに余白を持つことが大事だし、正論よりもむしろこっちのほうが重要なのではないかと感じた。

子育て中の親だけでなく……

余白を持つことは、子どもと暮らし育てている大人だけでなく、どの大人にも必要かもしれない、とも先生は言う。

例えば電車内で子どもが騒いでいるとキレる大人、ベビーカーの親子が待っているのに我先にとエレベーターに乗り込み、親子が乗れなくても知らん顔の大人、店内で床に転がりギャーギャー泣きわめいている子どもを迷惑そうに一べつする大人ーー。

そんな大人たち一人ひとりにも心の余白があれば、ちょっとあやしてくれたり、手伝ってくれたりできるのではないかとのことだった。

まずは大人がこころに余白を

子どもが生まれてからの3年間で(いや、妊娠したときからだからプラス10カ月)、意識的にも無意識的にも「子どもにはこう接しましょう」をインプットしてきている。例えば対話的に接するとか、まずは感情を受け止めるとか。それらを試みるものの、できる日もあればできない日もあって、一貫性がないなと自己嫌悪に陥り、あまりできた親ではないなと反省する。

でも反省する前に、まずはこころの余白をつくる。こっちのほうが大事なのかもしれない。

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