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血も凍る

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怪談ツイキャス「禍話(まがばなし)」で放送された怖いお話を、色々な方が文章に“リライト”しています。それを独自の基準により勝手にまとめたものです。
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2019年11月の記事一覧

【禍話リライト4】見つけてくれる人

Aさんは、家電量販店でパートをしていた。 郊外に建っているわりあい大きな店だ。 いつものように品出しをしていると、 「あの、すみません」 と控えめな声が聞こえた。 振り返れば、高校生だろうか。 ブレザーにスカートという制服姿の子が立っている。 「○○というノートを探してるんですが……」 Aさんの勤め先は家電量販店ではあるが、文房具も取り扱っているところだった。 「マニアックでなかなか見かけないノートなんですけど、ここにだったら前は置いてあったんです」 文房具売り場

禍話「もうどうでもよくなった家」

よく私が話すじゃないですか、嘘が本当になっちゃうよって。 あまり尤もらしく作るとね。 ーーーーーーーーーーー 普通の一軒家の、何のいわれもないハウススタジオがあった。普段はAVの撮影等で使われているらしい。そこで雑誌の企画だったか、深夜番組だったかで、ローカルアイドルの撮影があった。アイドルとはいっても活動内容や規模からして、相当マイナーな部類の、だ。 そのハウススタジオを企画上、勝手に心霊スポットだということにして、アイドルの撮影をするという内容だった。 その家に住

禍話リライト「四面のある部屋」

 こんな空き家があるらしい。  団地群のなかにある家。  不動産会社が雑草を刈り手入れしている家。  外観はごく普通だが、表札が無いので住人がいないとわかる家。  その一室にお面がある家。  お面がある部屋がヤバい、と噂されている家。  かつて住んでいたのは自称人形師の男性だったそうだ。サラリーマンだった男性は、ある芸術家の夫婦にそそのかされて人形師への転身を決意したらしい。夫婦の名前も家にまつわる噂話として囁かれているが、そんな名前の人物は実在しない。男性は騙されたのかも

【怖い話】 いぬがくる 【「禍話」リライト 25】

 こっくりさんをしたことはあるだろうか?   これは、こっくりさんはやらない方がいい、何が来るかわからないから、というお話。  こっくりさんはあるきっかけで、昭和の一時期には大ブームになり、いくつもの学校で集団ヒステリーやパニックを引き起こすなどして、社会問題にまで発展した。  そんな時期と比べればさすがに下火にはなっていたものの、まだまだこっそり、こっくりさんが行われていた昭和の頃の体験である。  その日の放課後も女の子が4人、椅子を並べて、「鳥居」、「はい/いいえ」