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(1)『ゼロから12ヵ国語マスターした私の最強の外国語習得法』

 世の中にはさまざまな語学の勉強法の書籍が出版されています。自分も6言語をこれまでに習得していますが、一体どんな勉強法が効果的なのでしょうか。このシリーズではこれまで読んだ勉強法の書籍から語学習得法を紹介していきます。まずは50冊を目指します。

 語学の習得方法は、人さまざまのやりやすい方法があって、一概に「これが効果的」と言える方法がありません。ここでの紹介でどういった方法が自分にあっているのか検証してもらうと同時に、各書が共通して言っていることも引き出していきたいと思います。

 まず、第一回目は
『ゼロから12ヵ国語マスターした私の最強の外国語習得法』
 Kazu Languages
 SBクリエーティブ


 わずか20代なのにすでに12か国語も身につけたという著者のKAZUさん。若いため、オンラインでの学習が主なようですが、最新のアプリも駆使して言語を身につけられたのは頼もしい。なかでも僕はこれまで聞いたことがなかった語学学習アプリを紹介されているので、今後の役に立ちそうだ。

 さて、彼が語学習得で主に繰り返しやったのは2つのステップ。
ステップ1:ネイティブの発音をまねる
 実践的なフレーズをネイティブの発音をまねして声に出す。
・実用的なフレーズをストックすることが目的。
・発音をまねるときは唇をどんなかたちにするのか、舌はどんな形で、どこに舌をおけばいいのかを確認する。トーンにも注目する。
・フレーズ30個をまず覚え(日本語での表付き)、そしてその回答も自分で言えるようにする。

 このステップ1は僕も確かに実践しました。インドネシア語やマレー語、タイ語、カンボジア語でこれをやったのですが、確かに即効性があります。

 そもそもなんですが、著者も述べているように、語学というのは単なるコミュニケーションの手段であって、会話は実践的に最初から習わないといけないと思います。確かにアルファベットや発音は最初にやっておくべき項目ではあるのですが、日本の英語の勉強方法は発音はあまりやらず、最初から単語や文法に入ってしまう。これでは上達するには時間がかかります。

 この本を読んでいた思い出したのは、受験英語を勉強しているとき、日常会話で出てくるフレーズがほとんど出てこなかったこと。代ゼミの授業の先生のテキストには後ろのほうにちょこっと数ページほど出ていましたが、それだけでした。その他は単語や文法、読解がずらりと並んでいましたが、これだけやっていると確かにしゃべることにはなかなか繋がりません。

 そのため、ステップ1ではまずは発音などを一通りやった上でフレーズを覚えてしまうという手順なのです。

ステップ2:実践的な文法を学ぶ
・ステップ1を続行しながら、リーディングを始める。
・音声と同時に音読するオーバーラッピングが効果的。
・物語や会話文が多く載っているテキストを使う。
・文章を書き写しながら音読する。

 そして、ステップ2に入って初めて文法を勉強する。コミュニケーションの実践の場で文法を活かさなくては意味がありません。リーディングと音読を重ねていくことで文法を強化していくとのこと。さらに、例文は、手を動かして書くと、印刷された文字を読むだけでは、学習効果に大きな違いが出るとも指摘。要はまずはどんどん暗記していって、体に染み込むぐらいまでやってしまうことが大切なのです。

 そこからストックしたフレーズの基本ルールを予想し、自分で簡単な文章を作る。さらに、和訳文からその言語に翻訳してみる。このあたりはグーグルやDEEPLといった自動翻訳ソフトを使うことも指摘していますが、それでも自力で頭の中で和訳から対象言語にさっと訳していくようにしないと会話になりません。

 この2つのステップをしっかりとやっていけば、どんな言語でも身につくという方法で、僕も異論はありません。

 著者はアラビア語やタイ語といった文字の異なる言語も習得されていますが、文字習得については現地の子供向けのアプリや動画を使うといいとしています。それもありでしょうが、僕がカンボジア語をやった経験からすると、やはり書いていかないとなかなか難しい。それも音読とともに。

 外国語を勉強するには、継続が必要です。著者は勉強を遊びに変えることも強調しており、そのための習慣術についても述べられています。また、挫折しないためのマインドセット法についても語っており、「語学に完璧はない」と割り切っているところも面白い。語学はいくらやっても完璧になることはありえないので、その心積もりでやらないと確かにどこかで挫折するでしょう。

 これは外国語を一括りにした勉強法ですが、もちろん英語だけを勉強したい方法にも適用できます。

 僕も12言語の習得に向けて頑張っていますが、しかし、5言語以上になるとなかなかその言葉のメンテナンスが大変になってきます。語学というのは毎日やり続けるものなので、メンテをしていかないとどんどんレベルが落ちていく。Kazuさんはこのあたりのことはどうなさっているのか聞いてみたい。

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