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どっちから焼く問題解決。

 ひさびさに友人とランチに出かけた。お互い、エアコンのない家に住んでおり、避暑だなんだと自宅を脱出(札幌でも近年の夏はキツイ)。
 キンキンに冷えた車に乗せてもらい、ずっと気になっていたイタリアンへ。ワタシも友人も初来店。店に一歩入って「あ…」。エアコン、効いてない。とはいえ、お店の雰囲気が良く、メニューは端から全部オーダーしたくなるものばかり。気になる。人気店と聞いていたけれど、ほかに客はなく居心地がいい。
 もっと悩むかと思ったが鹿肉のカツ定食の文字を見て決まり。この即決は優柔不断なワタシにしてはめずらしい。それくらいエゾシカ肉にはカツが合うのだ(覚えておいてください)。脂質の少ない赤身肉なので衣をつけると格別においしくなる、という話を書き出すととまらなくなるのでまた今度。
 おしゃべりも箸も止まらず、うまうまもりもりと食べていると、たちまちグループや個人のお客さんで席がどんどん埋まっていく。昼休みか。常連さんが多いらしく、店主と気軽な会話をする人もちらほら。となりのテーブルから「ここのマスターはもともと…」といった店の解説も聞こえてきて気になるじゃないか。あれ?この感じって。
 主人公が店に入ると他のお客さんが頼むものが気になり、常連客と店主との会話も情報源。まるで孤独な男性が「腹がへった」とつぶやくあのドラマや、天パの男の子が古民家カフェをめぐるEテレのあの番組のようじゃないか。なんだこの雰囲気、面白いぞ。
 お一人のお店なので店主フル稼働。その割にお待たせしていないのがすごいな。ずっと火をつかっているせいかますますエアコンが効かない。そのうちピザの注文まで入ったぞ。え、ピザ窯がある!大きなコテが出てきた。
 こうなったらますます言えなくなるワタシたち。そう、いっしょに頼んだアイスコーヒーがまだなのだ。まあ、急ぐ旅でもない、ひと段落するまでおしゃべりを…と思ったら「あ!!」と店主の声が。「忘れていましたね。すみません!」いえいえ、だいじょうぶですよ〜。「マスターの声誰かに似てない?」竹原ピストル!と、メニューも気になるが、店主のことも大いに気になる。
 ところで、定食もおいしかったが、アイスコーヒーがおいしかった。何か特別なんだろうか?しかも、コーヒーをひと口飲むとスッと涼しくなってきた。エアコン効き出した?(たぶんそんなことはない)
 エゾシカ肉の産地について聞きたかったが、おいそがしいだろうと自重(前にどこかのお店でたずねたら「北海道です」と言われて、でしょうねと心の中でつぶやいたことがある)。もうちょっと常連になったら聞いてみよう。

塩味のエゾシカカツ。わさびでいただきます。
ちなみにエゾシカは北海道に生息するニホンジカの亜種ということで、100%道産です。

 ここまでが前置きである。長くなりますが、タイトルについてはここから。
 満腹の我らは帰りに面白い食材がありそうなマーケットに立ち寄った。道東のアンテナショップのようなお店……かと思ったら、全国各地の選りすぐりっぽい食材が並んでいる。釘付けになったのが干物コーナー。いちおしはニシンの干物。確かにおいしそう。悩みに悩んで(ランチよりも決めるのに時間がかかった)ホッケ!
 すっかりニシンの口になっていたが(ぜったい好きだし)、小骨の労力に負けてしまう。
 友人が保存や調理について聞いていたので、便乗して「フライパンで焼いてもいいですか?」とお店の方に質問。小骨の労力だけでなく、グリルの労力も惜しむのかお前はと、お盆の前倒しでご先祖に怒られそう。
「フライパンで大丈夫ですよ」
「身の方から焼いていいですか?」と乙女の恥じらいとともにたずねたら、「身からです。川魚は皮から、海の魚は身からって覚えてください」
 ほえ〜〜!と変な声が出た。知らなかった。常識なのだろうか。肉はたいてい皮目から。魚のことは…どうしていただろう。ただなんとなく焼いていたのか?
 さっそくレジにいた友人に伝えたら、料理上手な友人でさえ「へえ〜〜」と言っていたので、そこまで非常識なワタシではなかったのだろう。と、思いたい。
 皮目から焼くチャンチャン焼きの鮭は川魚ってことでいいのかな?と深いことは考えず(ホイルで包むから関係ないのか?)今夜はホッケを身側から焼きます。フライパンに魚焼きシートかけまして。たのしみだ。

忘れないようにしたためた。
無事、フライパンで焼けたシマホッケ氏(食べかけ)。
ホッケって、こんなにおいしかったっけ!ってくらい旨み凝縮。
特に頭側の身はちょっと良いお店で出てくる焼き魚のようだったなー。

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#創作大賞2023 #エッセイ部門

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