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「みてね基金」運営の舞台裏、人材採用支援、トランジション、他「ETIC.ソーシャルイノベーションセンターNEWS」2021年12月15日号

こんにちは、本木裕子です。最近は、NPOやソーシャルビジネス向けのプログラムの運営が続いています。『世界を変える偉大なNPOの条件』の著者を講師に迎えたプログラムでは、60人を越えるソーシャルリーダーの活力に包まれました。

ETIC.は、社会課題を限定せず、あらゆる領域のソーシャルリーダーを支援していますが、私はここ数年、子ども領域の活動に携わる機会が増えています。

2020年4月から始まった「みてね基金」にETIC.が運営協力として関わるようになったのもそれを加速しています。

「みてね基金」は、ママの3人に1人が使う写真・動画共有アプリ「家族アルバム みてね」の事業責任者でもある、株式会社ミクシィ取締役ファウンダーの笠原 健治さん個人が10億円の助成金を拠出し始まった『すべての子ども、その家族が幸せに暮らせる』ことを目標にした助成活動です。2020年7月より約1年間、第一期助成事業として、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、緊急支援が必要な子どもとその家族を支援する53団体に対し、約3億円の支援をしました。その事業の振り返りをまとめた2つのレポートが、先月発行されました。

【レポート】
「みてね基金」第一期53団体の活動から見えたコロナ禍の子ども・家族の課題
資金使途から読み解く「みてね基金」、見えた資金以外の支援の必要性

助成事業の成果についてはレポートをご覧いただくとして、ここではプログラムの運営側からの気付きや学びついて振り返ってみます。

業務を連携する運営体制

「みてね基金」の特徴として、基金の運営体制があげられます。「みてね基金」は、株式会社ミクシィとETIC.がそれぞれの役割に応じた業務を実施して連携して行っています。「そうはいっても、基本的にはETIC.がやっているんでしょ」と思われがちですが、決してそんなことはありません。ミクシィとETIC.のメンバーが入っているSlackのやりとりは、毎日(いや毎時間くらいのときも?笑)あり、第二期から始まった支援先の伴走支援では、ミクシィの社員さんも月次面談に参画し、ETIC.スタッフとともに、支援先が抱えている課題や現状を理解し、共に知恵を絞り、伴走してくださっています。

NPOへの資金調達は寄付や会費があるなど、株式会社のビジネスとは手法が異なることもありますが、支援先との面談からご一緒することで、共通認識がどんどん増えていることを実感しています。ミクシィの社員さんも直接支援先と対峙されるので、現場の課題感をリアルに感じていただいていますし、そこから得た情報をもとに、今後の事業の展開について、共に検討しています。

他組織との連携でインパクトを拡大する

企業に所属しながら、ここまで踏み込まれる方は、今はまだ少ないですが、これから必ず増えると思っていますし、「みてね基金」の取り組みはその先駆けだと考えています。異業種への越境や、留職というものが、期間限定ではなく、組織に所属したままで常に起きているような感覚でいます。

ひとつの組織にいながら、他者とともに仕事をつくることは、ソーシャルインパクトを拡大するためには必須だと考えています。
もちろん事業の連携には難しさもありますが、お互いの強みを持ち合って、自組織だけでは叶わないことが可能になることの醍醐味があります。

ETIC.は民間公益活動促進のための休眠預金等活用で、2019年からNPO法人かものはしプロジェクトと連携し、今年からNPO法人カタリバとの連携事業も始まりました。

連携事業を通して実感するのは、お互いの強みを活かし、足りないことを補いあうことができれば、いち組織のサイズを変えずとも、規模を拡大することができる、さらに、それまでにない新しい強みや価値を生み出していく可能性があるということです。

連携事業を進めるには

かものはしプロジェクトと連携した「子どもの未来のための協働促進助成事業」も担当していまして、連携事業をうまく機能させるために、どんなことが効いているのかを考えてみました。

ひとつは、常日頃からのフラットなコミュニケーション。Slackがおもなツールですが、ETIC.の中、外という境界線は薄く、というよりもほぼなく、やりとりしている感覚があります。ここに「雑談」チャンネルがあるのもいいところです。気になる情報をシェアする、たわいもないことをつぶやく余白も大事です。

もう一つは、オンラインでいいのでこまめに顔を合わせること。ミクシィさんのご提案で、「みてね基金」の事務局は、週に1回定例ミーティングがあります。アジェンダが少なくても、話すことでチームとしての一体感が出てくると感じています。始まった当初、アジェンダがたまっていないために遠慮をし、ミーティングをキャンセルすることがあったのですが、週1回のリズムが大切だったと反省しています。定例ミーティング以外でも、プロジェクトごとのミーティングや、採択先との面談で、週に3回程は顔をあわせています。

強力な業務推進力、スピード感と軽やかさを学ぶ

「みてね基金」の運営のプロセスで、ミクシィさんの強力な業務推進力、スピード感と軽やかさを体感しています。第一期は、助成テーマを決定してから公募まで1ヶ月で公募を開始しました。助成総額3億円の規模でこの準備期間は、ETIC.の過去史上からしても断トツで最速でした。こうしてお仕事をご一緒する中で多くを学ばせてもらっている分、私たちも事業に貢献したいと常々思っています。
NPOセクターの実情を反映したソーシャルインパクトにつなげるための助成金の仕組みづくりや、ネットワークを活用した連携、協働を目的としたコーディネーションなどでお返ししていきたいです。

リソースを効果的に活用して、ソーシャルリターン(社会への還元)をもたらす。そしてそれを報告・公開することによって、次のリソースをよびこむ、その循環をつくり、さらにはそれ自体が事業となるように、そして活動が拡がるように念じています。

このメールマガジンの読者には、ネットワークや連携が得意な人がたくさんいます。ぜひ皆さんから、そのコツや工夫について、お話しを伺いたいです。


- INFORMATION -

志をともにできる人と出会いたい!
DRIVEキャリアの採用支援をご利用ください​​​

ETICが運営している、思いとやりがいで仕事を探す求人サイト「DRIVEキャリア」では、いちばん人材が動きやすいと言われている
1月から3月にかけて、さまざまなキャンペーンを企画しています。

【1】キャリアコーチングWEEKの実施

学生から社会人、また起業家の伴走をしてきたETICコーディネーターが
無料でキャリアコーチングをします。
自分の強みは何なのか。心から願っていることは何か等に耳を傾けながら、
これからの人生を拓いていけるようなキャリアプランを一緒に考えます。
皆さんのお近くに興味ある方がいらしたら、ぜひご案内ください。

 ■キャリアコーチングWEEK >>詳細はこちら

【2】採用ニーズがある団体様向けに無料相談を承ります

自団体で募集していても欲しい人材からの募集が来ない、
活動を加速させたいがどんな人を採用したらいいかわからない等、
採用活動に課題がある団体様には無料相談も受け付けています。

年間を通して約1万人ぐらいの学生、若手社会人との接点があるので、
ポテンシャル層の意識や動向などもアドバイスができると思いますし、
相応しい人材がいれば、直接おつなぎする人材紹介もやっています。
お気軽にご相談ください。

 ■採用支援に関するお問い合わせ >>詳細はこちら

ご相談の際には、なるべく事業や組織の状況を包み隠さず話してもらっています。採用する側もされる側も、人を雇用することはとても勇気がいることです。双方を尊重しながら、ニュートラルな立場でお手伝いしますので、ぜひお声かけください。(担当:野田)

ドラッカースクールMBA講師に学ぶ「トランジション」

マインドフルネスやセルフマネジメントを、米国のピーターF.ドラッカースクールでMBAやエグゼクティブに教えてきた、世界でも草分けの一人、ジェレミー・ハンター氏による特別セッションです。

【2022年2月4日(金)、2月18日(金)、4月8日(金)、4月22日(金)、6月17日(金)、8月19日(金)各10:00~13:30】全6回のコースをオンラインで開催します。

今回のテーマは「Transition(トランジション)」

仕事での役職の変化や転職、結婚など、目に見える変化(Change)とは異なり、「Transition(トランジション)」は、自分自身の内側に起きる変容のこと。

例えば、人に任せるのが苦手だと思っていたことの理由に気づき、そのパターンを抜け出すこと、自分が我慢したらいいという自己犠牲の気持ちで行動することをやめることのような、​​​あり方(Being)の変化です。
これは心理的な変容であり、目に見える変化(Change)と同時期に起きることもあれば、目に見えない変化であるTransition(トランジション)のみが起きることもあります。ジェレミーさんはこういった大人になってからの成長は意図的にするものだと言い、本セッションの目的でもあります。

立ち止まる機会をつくり、自分の人生を丁寧に見つめ、考える時間を持つことで、Transition(トランジション)を意識的に体験し、人生のステージのシフトすることが可能になります。Transition(トランジション)についてまずは知り、そして対処の仕方を学び、半年のセッションで実践します。

 ■プログラムの詳細 >>こちらのご案内をご確認ください。


Social Impact Day 2021
インパクト・エコノミーへの転換点
- 社会的インパクト時代の到来 -
2022年1月21日(金)24日(月)・25日(火)開催

人々と社会のインパクト志向は、どのような未来の実現を可能にするのでしょうか。

気候変動問題の深刻化や社会課題の複雑化・多様化により、これまでの経済システムが生み出した社会の中で、強い閉塞感と違和感を覚える人々が増えています。

こうした現状を受け、社会や環境に対する「社会的インパクト」を組み入れた新しい価値観の活動や取り組みは、現状に大きな危機感を持つ人々や組織によって、この10年で急速に発展してきました。

金融資本、社会資本、自然資本、人的資本などのうち、これまでの経済システムでは特定の資本の発展が優先されてきました。「何かを犠牲にして、何かを生み出す」のではなく、全ての資本の健全な発展がバランス良く考慮され、人々やコミュニティ、地球が将来にわたってサステナブルに繁栄するために、私たちは何に価値を置くべきなのでしょうか。

これまでの社会の成り立ちが限界を迎えている今、私たちは社会システムに社会的インパクトの視点を組み込むべき歴史的転換点にいます。

このSocial Impact Dayでは、社会のインパクト志向を促進をするためのインパクト・エコノミーの3つの重点領域について議論を深めます。この複雑かつ正解のない社会において、私たち一人一人が自分なりの社会的インパクトの発揮の仕方を探し、語らう場です。多くの方のご参加をお待ちしております。

■イベント詳細の詳細は >> こちら

■1月25日(火)13:00~14:20のセッション4「休眠預金活用の社会的インパクトを考える〜活用開始から3年の現在地と今後の展望を考える〜」では、ETIC.の番野も登壇致します。詳細は >> こちら

Editor's Note - 編集後記 -


6月からソーシャルイノベーション事業部でインターンをしている戸嶋彩音です。「みてね基金」を担当し、先月出したレポートにむけた情報整理などをしていました。写真にあるミートアップにも参加し、採択団体の皆様の想いや熱量を肌で感じる貴重な機会となりました。

突然ですが、みなさまにとってETIC.の存在とはどのようなものですか?
私にとってETIC.とは、ソーシャルセクターへの入口や社会課題への関わり方の選択肢が多様であることを教えてくれた、そんな存在です。

これまで中間支援組織という存在すら知らなかった私にとって、みてね基金で様々な団体との関わりを通して現場の団体の課題が見え、中間支援を担う存在の大きさ、必要性を感じています。事業部の先輩方の背中を見て、どこでなにを経験したらそこに追いつくことができるのか、同じフィールドに立って仕事をすることができるのか、自分の未熟さを痛感し葛藤する日々ですが、ソーシャルセクターへの学びはまだ始まったばかり。インターンは12月までですが、終わってもこれからどんな出会いや経験をすることができるのか楽しみです。

発行元:
NPO法人ETIC.ソーシャルイノベーション事業部
incu@etic.or.jp

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