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今週の地域活性化、自治体関連ニュースまとめ(2021/12/6~12)

今週は観光分野から「宿泊施設・ホテル」をキーワードにニュースをピックアップしました。

毎週600~800本に近く配信される地域活性化、自治体関連のニュースに目を通し、個人的に「これは!」と思ったニュースを要約&解説しています。日々多忙な地域、自治体に関わる皆様の情報収集の一助になれば幸いです。

■民泊施設に地域食材を使った夕朝食を届ける新サービスが登場

高級民泊施設(バケーションレンタル)の宿泊予約を手掛ける「一休.com」は三越伊勢丹と協業し、宿泊先の宿にて地元食材を使ったミールキットを提供する「Meal kit Vacation rental」を開始しました。

Airbnbや各種OTAが取り扱いを始めている民泊は新たな宿泊スタイルの選択肢として普及してきていますが、施設で料理が提供できないことが課題としてありました。

私自身も「一日中ここで過ごしたい」と思えるくらい素敵な施設に食事がついていなかったため、宿から車で15分くらいかけて食事をしに行き、(お酒なども飲めませんし)この煩わしさが宿泊体験を少し下げたという経験がありました。

今回の企画では民泊施設に美味しい食事が気軽に楽しめる「オリジナルミールキット」を提供することでより充実した宿泊体験を提供します。

第1弾として食プロジェクトを発信する「あめつち」が監修したミールキット6種類を提供。三越伊勢丹の生産者のネットワークと商品開発力を活用し、地域・生産者への貢献・支援にもなるのがとても良いですね。

ミールキットの一覧(特設ページより

ミールキットを注文できる宿は一休.comの特設ページからご確認ください。


■観光産業のデジタル&イノベーションアワードが発表。ロボットバーテンダーからホテル内の有機堆肥生産まで

スペインで行われた観光産業のデジタル&イノベーション関連の展示会、カンファレンス、商談イベントである「Tourism Innovation Summit」が開催されました。

イベント内では年間で最も優れた成果を残した企業を称えるアワード「Tourism Innovation Awards 2021」も開催。「良質な顧客体験」「AI&データ分析」「デジタル&イノベーション」「サステナブル・ツーリズム・プロジェクト」「新たなビジネスモデル」の5分野でユニークな企業が選ばれました。以下にそれぞれの受賞企業の要約を記載します。

良質な顧客体験 (The Best Customer Experience)
ヨーロッパを拠点とするクルーズ会社「MSC CRUISES」が船上で提供したロボットバーテンダーが受賞。最先端のロボットやデジタル技術を取り入れた没入型の体験が高く評価されたようです。顧客が端末から注文すると中央の人間型ロボットが器用にコップを取り出し、氷をいれシェイク。サーブまで実施します。

AI&データ分析 (The Best Innovation on AI and Data Analytics)
位置情報分析会社の「Galgus」が受賞。位置情報分析サービスの多くはwifiに接続や特定キャリアID情報を取得してデータを取得することが多いですが、Galgusの技術はユーザーがwifiに接続していなくてもスマホ等wifiデバイスを持っているだけで位置情報を分析できる技術が評価されました。同社のwifi範囲内であれば常に旅行者の行動を可視化&分析できるためこれまでより詳細な行動分析ができそうです。

ちなみに似たような技術としてはこんな例もあります

デジタル&イノベーション (The Best Digital & Innovation)
聴覚障害者向けのソリューションを提供する「Vusualfy」が受賞。同社の技術はスマホやテレビ、PC、ライト等様々なデバイスに周囲で発生した音の情報を視覚化して表示することが可能。例えばドアのチャイムが鳴った時や湯を沸かしすぎている際、ドアベルや火のアイコンを手元のデバイスに表示。音が聞こえない人でも周囲の音に合わせて反応できます。これを公共施設やホテルの部屋等で活用することで快適な旅行体験を提供します。

サステナブル・ツーリズム・プロジェクト (The Best Sustainable Tourism Project)
ホテルから排出される有機廃棄物を堆肥に変えるプロジェクトを推進し、有機農業を促進する「Garden hotels」が受賞。また同ホテルはごみやCO2の排出量を常時トラッキングするほか、地元食材をふんだんに利用した地産地消のパイオニアという点も評価されました。

新たなビジネスモデル (The Best New Business Model)
サウジアラビアで初となるクルーズ会社「Cruise Saudi」が受賞。同国の観光産業の発展に貢献していることが評価されました。

ファイナリストまで含めたすべての企業はこちらからご確認ください。

■東武鉄道が「ホテルガチャ」販売、 1回5555円、日光・中禅寺金谷ホテルなど16プラン

東武鉄道は同社ホテルグループの宿泊券やレストランの食事券が当たる「ホテルガチャ」を販売。沿線を中心とした国内旅行需要の喚起を図ります。

ガチャは全16プラン。高級ホテルマリオット銀座の朝食付きプレミアムルームや中禅寺湖金谷ホテルの宿泊券、スカイツリー展望デッキ内のSky Restaurant 634のディナー券等当たります。すべて5555円以上の内容となっており、販売数は500個限定。詳細は上記記事内をご確認ください。

旅行商品がランダムで当たる〇〇ガチャの先駆けはピーチ航空が実施した「旅くじ」。指定された行先の航空券購入に利用できるクーポンの他、現地でのミッションが与えられ、クリアすることでさらなるポイントなどが獲得できるユニークな企画です。

また西部グループもお年玉初夢ガチャ2022と銘打ち、同様の企画を発表しています。こちらは1回1万円、100万円相当の「ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町のスイートルーム」宿泊券が目玉になっており

こうしたガチャはどうしても高額商品に注目が集まりますが、偶然の出会いを生み出す手法としても注目です。

コロナ渦で物理的な行動が制限され、旅行需要が落ち込む中、偶然のきっかけを元に予想外のものを見つけ、価値を見出だす「セレンディピティ」を触発する一連の企画は低迷する旅行需要喚起の起爆剤の1つになるのではないでしょうか。

■高知県日高村が地域との関わりレベル別に仕事を紹介するサービス「いきつけいなか」をリリース

高知県日高村が日高村の地域商社nossonと協働し関係人口創出サービス
いきつけいなか」をリリースしました。

コロナ渦において地方移住や2拠点生活が注目される中、「都心で働く一方地方での暮らしに興味がある人」や「田舎で暮らしたいけど知り合いがいない、仕事面で不安な人」等、地方暮らしを実現するまでには個人によって様々な課題や不安があると思います。

「いきつけいなか」はそんな不安を持つ人々が自身に最適な期間や関係度で気軽に地域と繋がれるプラットフォーム。地域の仕事やちょっとしたお手伝いが掲載されているサイトですが、特徴的なのは 地域とのかかわり度を表した「いきつけ度」によって求人やお手伝い内容が探せる 点。

「いきつけ度」の数値に応じて1時間程度の簡単なお手伝いから、1週間程度の滞在でできるお手伝い、移住して関わる地域おこし協力隊まで多様な関わり方を提案しています。

地域とのかかわり度を表す「いきつけ度」この数値を基準に地域とのかかわり方を模索できる
いきつけいなかHPより)

関係人口の増加は日本全国様々な自治体で取り組みたいことだと思いますが、ピンポイントでターゲティングして関係人口を創出するのもなかなかハードルが高いのではないでしょうか(価値観も変遷するため明確なペルソナ定義が難しそうです)

「いきつけいなか」のように地域と関われる様々なオプション(選択肢)をたくさん用意し、それを分かりやすい形で表現してくれるのは非常にいいなぁと思いました。興味がある人はオプションの中から勝手に選択できるので。

まだ掲載数は少ないですが、今後新たに新設された地域おこし協力隊インターン制度などを活用し、個人の価値観等に適した柔軟な期間での関わり方のオプションを増やしていくようです。


【注意】
掲載内容の正確性には努めていますが、それを保証するものではありません。お問い合わせや指摘等に関してはコメント欄よりお願いいたします。

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