仲村 燈

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A級順位戦4回戦、マスク未着用問題についての愚痴

 A級順位戦の4回戦、永瀬王座対佐藤天彦九段の対局で「マスク未着用」による反則負けという珍事が発生した。本件に関して、僕は何か意見を発せられる立場にいるわけではない。が、いち将棋ファンとして思うところ多々あり、僭越ながら筆を取ることにした。まあ、ようするに愚痴を吐きたくなったのである。めんどくさいオッサンのたわごとにつき合っていただけるとありがたい。  まず個人的なスタンスを示しておくと、僕は本件において一番の非はルールを守らなかった佐藤天彦九段にあると考えている。どこかの

    • 増川宏一(2021)『〈大橋家文書〉の研究』法政大学出版局

       非常に興味深く、参考になった。  以下、本書にて明らかになった新事実、誤りと思われる点、補足、考察など。  P51  1802年に大橋英長の名で出された転居届が引用されている。  英長の生年は確かでないが、このとき十代半ばと推察され、父である宗英(大橋分家六代目当主)も存命である。二年後に大橋分家の七代目として御城将棋に上がる英長がひとり家を出るのも妙だ。  この時に家を出たのは英長ではなく、その兄である魚太郎(後述)だったのではないかと思う。  P58  大橋分家の五

      • 名古屋市政資料館、あと江戸末期の将棋指し

         名古屋の丸善さんに「桎梏の雪」のサイン本が入ったそう。あいかわらず売れてる感じのしない拙作、ご迷惑になっていないだろうか。  ところで、名古屋といえば、名古屋市政資料館だ。知る人ぞ知るこの名建築を訪れた際に見てもらいたいのは、ガラスである。正面ホールのステンドグラスではない。フツーの通路とかに使われている窓ガラスだ。一見なんの変哲もないそれは、よく見ればなかに微妙なムラがあって、何色かに光を分散させている。これは、この板ガラスがむかしの製法でつくられたもの、つまり、吹きガラ

        • 桎梏の雪

           さる7月28日、僕の書いた小説「桎梏の雪」が上梓された。講談社主催の第15回小説現代長編新人賞で奨励賞をいただいた作品である。感激。発売日にはお祝いとしてお高いアイスクリームを5個購入し、翌日には食べきった。  しかしながら拙作、これがま~あ売れている気配がない。頭をかかえるくらい。作家になるという夢がかなったのはうれしいが、頭に「売れない」がついてしまった。  「売れない作家」というと、なんだかあやしい洋館で惨劇に巻き込まれそうな肩書きである。それも、みんな慣れてきてうす

        A級順位戦4回戦、マスク未着用問題についての愚痴