相方の親父さんは今もハイボールを飲んでいる
今日は相方の親父さんの一周忌だ。
幼稚園の頃から知っている。僕にとってもお父さんみたいな人だ。
親父さんは、会うたびにハイボールを飲んでいた。
親父さんの身体のどこをちぎってもハイボールが溢れ出てくるんじゃないかというぐらい飲んでいた。
僕がお酒を飲めるようになると、よくハイボールをご馳走してくれた。
「とにかく濃いの飲んだらえぇ」
僕は、とにかく濃いの飲んだらいいんだなと思っていた。
ある時、賞レースの時期に相方とネタ合わせをしようと地元に集まった。
あまり時間がなかったので、会ったらすぐに合わせる予定だった。
親父さんとばったり遭遇した。
「おう、お前ら、ちょっと飲みいこや」
捕まった。
1軒だけのつもりだった。
何軒もまわった。
店をまわっては若者をみつけるたびに「これでなんか飲んだらえぇ」と豪快な親父さん。
店員さんしか入れない厨房に入り、自分のお酒を作り出す親父さん。
息子と息子の相方をパブにつれていってくれて「お前らより俺の方がおもろい!!」とブイブイまわし始める親父さん。
僕達はネタ合わせなんて1度もしなかった。
それどころじゃなかった。
いつも片手にはハイボール。
もう片方の手にもハイボール。ハイボールかい。
「Wで」ってそういうことじゃないから。濃さのことだから。
今日、僕は仕事が長引いてしまって顔を出せなかったけど、相方に「お線香だけでもあげさせて」とお願いした。
相方も「おぉ、来てくれるのか」みたいに言っていたので、仕事後に連絡したら、
「明日は何してんの?」と今日はもうないことにされた。
そんなことあるのかと思った。
いやご時世とかもあるし、行けないのはしょうがないんだけど。違うじゃん。なんか。
直後に「おやすみ〜」って送ってきたし。
眠気から来る断りじゃん。やばいなあいつ。眠気で断んな。打破しろ。そんな眠眠は打破してくれ。
明日の朝行くわ。断んなよ。
もちろん、ウイスキーと炭酸水を持ってね。
そういえば1年前の今日もハイボールセットを持って行ったら、息子が真っ先に飲んでたな。あいつ思ってたより息子だな。
ハイボールでも飲みます。
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