中学の時、毒グモのタトゥーシールを腕につけていたらカツアゲされた
ドクロ柄のクモだった。
そもそも毒グモなのかは定かではない。
ドクロマークのクモに毒がないわけないだろう、という判断だ。
中学の頃の僕といえばファッションが終わっていた。
今も別に始まっているとは思わないが、それでも中学の頃と比べたらマシだろう。
ある日雑貨屋に行った。
ドクロ柄の毒グモのタトゥーシールが光っていた。
僕は特にヤンキーだとかそういうものには縁がなかったし、人類史上初の反抗期がなかった男なので、そういうものには憧れが強かった。
HUNTER×HUNTERの幻影旅団なんかにも憧れた。
ヒソカみたいにトランプを持ち歩いて何かと「フフフ♡」と笑う時期もあった。
僕は迷わずクモのタトゥーシールを買い、腕につけた。
見えるようにタンクトップを着た。
めちゃくちゃ強くなれた気がした。
ある時だった。
「おい!!!スパイダーマン!!!!」
とても怖い人達に絡まれた。
スパイダーマンが僕のことだなんて思いもよらなかったが、完全に囲まれたから僕のことなのだろう。
スパイダーマンは行きたくもない路地裏に連れてかれた。
本当のスパイダーマンだったらどんなに良かったことだろう。あいにく僕はスパイダーマンではなかった。
「何これ、シール?笑」
眼帯をしている金髪の人が僕の毒グモのタトゥーシールをペリペリしながら、やんわりと肩パンをしてくる。
おしまいだと思った。
すると、それまであまり声をあげていなかったボスみたいな人が口を開いた。
「これから何されると思う??」
受動態だ。やばい。
やられる方の目線で投げかけてくる人は本当にやばい。
僕は賭けに出ることにした。
「か…改造…とか???」
中学の頃の僕にできる最大限の冗談だった。
すると、どうだ。
意外にもそのボスはボスすぎて僕の発言に対して結構笑った。
「ははは(笑)それっぽい場所だしね(笑)」
僕「ハハ…(笑)」
「キミ、なかなかおもろいね(笑)」
ボスは言った。
この世の中、やっぱりお笑いだ。
この発言が面白いかはさておき、現に相手のリーダー格と良いムードだ。
この窮地を切り抜けられるお笑いは、偉大だ。
お笑いは、すごい。
改めてお笑いのすごさを確認した。
その後、全財産を持ってかれた。
毒グモのタトゥーシールは初日に剥がした。
倍面白くなります。僕をサポートで支配してください。よろしくお願いします。