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命懸けの海賊たち〜キャプテン•フィリップスを見て〜

 キャプテン•フィリップスという映画を見ました。簡単にストーリーを説明すると、アメリカのコンテナ船がソマリアの海賊に襲撃され、人質になった船長を助けるという話です。

 海賊、と聞くと、何だか漫画のような、夢のある話のような感じがするけど、実際はそうではない。彼らは生活のために命懸けで海賊をやっている。この映画を見て、学んだことです。

 作中の中で、ソマリアの海賊は何度も言います。「It’s not game」(これはお遊びじゃないんだよ)

 これは多分、発展段階にある国から見たアメリカ、そして日本などの先進国に対する印象なのではないでしょうか。毎日、朝昼晩と食事を取り、好きな服を買い、休日は趣味に興じる。そして、世界に蔓延る貧困をニュースで見ると、「格差をなくせ!」と騒ぎ出す。貧困にある人、国から見ると、そんな僕らは馬鹿げているように思えるでしょう。各国の政府が、戦略的に貧困国の援助をしているのを見たりしていると、彼らはまるで貧困を利用し、ゲームをしているようです。

 印象的な言葉があります。人質になった船長が、ソマリアの海賊団に問います。

 「海賊なんかよりも、もっといい仕事があるんじゃないのか?」

ソマリアの海賊の1人が答えます。

 「Maybe in America」
(アメリカなら、あるだろうな)

 この言葉にドキッとしました。路上のゴミを集めたり、犯罪に近い行為をしながら金を稼ぐ人を見ていると、「なんでこんなことをするんだろう」と僕は思っていました。日本で呑気に暮らしている僕の無知が生み出した考えです。

 でも、彼らにはそれしかないんです。先進国や富裕層による搾取や、教育システム、変えることの難しい構造が、彼らからチャンスを奪っているのです。

 でも、日本にいる僕らは、その点を見逃して、「もっとがんばれよ」と個人の責任を問う傾向にある気がします。例えば、うつ病の人を見た時も、個人の弱さを問題にします。でも、それは会社の環境だったり、天気や人間関係などの、外部環境が大きく影響しています。

 
 個人の責任を問うことは簡単です。もっと、大枠で物事を見なければならないと、この映画を観て思いました。

 僕に何ができるのか?それは分かりません。というか、何もできないでしょう。でも、頭を使わずに、「貧困をなくせ」とか「もっと働け、強くなれ」みたいな言葉を簡単に口には出したくないです。何もできることはないけど、考えることは絶対に辞めたくないです。

 最後のシーンが、また印象的でした。

(ここからネタバレ入ります!)


 キャプテンは、最後救出されます。そして、医療係の人から、「これはあなたの血ですか?」と尋ねられます。

「That’s not mine」
(これは俺のじゃない)

と、キャプテンは答えます。

 僕たちのこの裕福な生活は、誰かの血によってできています。ファッションを楽しんだり、食を楽しむことはもちろん素晴らしいことですが、その裏には搾取、つまり、誰かの血が流れているんだということを、常に頭に置いておきたいです。


 キャプテン•フィリップス。ぜひ観てみてください!

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