見出し画像

#117 -きっと英語は日本人に向いてない言語だと思う。

さて大それたタイトルを書きましたが、結構ホンキで信じてることだったりします。「向いていない」「難易度が高い」「効率が悪い」色んな言い方・捉え方があるかと思います。

前回の記事で英語について考える機会があり、その流れで今回の記事を書きます。

↑の記事でも書きましたが、北欧(ここではフィンランド・エストニアを除く)の人に比べボクたちが使用する日本語は言語の起源もちがえば使う文字も全く違います。文法だって逆に近いですし、なによりも「音」の違いが大きい。

この最後の「音」に関する所が、ボクたち日本人が英語習得の際にイチバンの足かせになっているのでは?と考えています。

聞こえる音・聞こえない音の問題

というのも日本語はゲルマン系/インド・ヨ―ロピアン系の言語に比べ、「音素数」が圧倒的に少ないのです。

日本語の母音の数は5つ。子音は17つ。合計22の音素数があります。

しかし、音素数の多い言語は日本語の倍近くの音素数があります。

リトアニア語 母音・12 子音・47     計 59
デンマーク語 母音・32 子音・20  計 52
ドイツ語   母音・20 子音・25  計 45
英語     母音・12 子音・24    計 36
日本語    母音・ 5 子音・17    計 22

情報元によっては数字が多少変化しますが、大体こんな感じです。
ちなみに世界全体をみれば、アフリカの民族言語がもっとも音素数の多い言語のようですが、今回は英語学習の面からみた話なので、そちらには触れません

どうでしょう?日本語は圧倒的に音素の数が少ないのです。

これがどういうことを意味するかというと、上記の言語を使用する人たちはボクたちが使用している日本語の音には存在しない音を使って会話をするのです。よって、ボクたちはその「音」がきちんと聞き取れない。もしくは「聞こえない」のです。

例えば、ここに2つの単語があります。

Shit     Sit

全然違う意味の言葉ですね。

でもカタカナ英語で綴るとどちらも「シット」になります。

でも正しくは後者のSは「スィ」に近い音です。
また細かく言えば、「ト」「トゥ」に近いです。

なので英語圏の人に、間違って「プリーズ、シット、ダウン!」と言うと多分びっくりしてしまいます。w

日本語には「LとR」の違いが存在しないのは多くの人がご存じかと思いますが、この事実は欧米人にとっては信じられないことなのです。

「え、だって全く違う音じゃん!違いがないってどういうこと?」

と理解に苦しみます。

聞き取れない音がどれほど学習中の言語に使用されるか?も影響する。

ここもすごく重要になってきます。

例えば、習得中の言語に自分が聞き取れない音があったとします。

でもその音の使用頻度が低ければ、さほど苦労しません。
ただその音の使用頻度が高ければ、それはそれは苦労してしまいます。

ボクたちにとっての、「LとR BとV」などがいい例ですね。

英語はLとRの使用頻度はとても高いです。

この違いが聞き取れない、きちんと発音できないのは「致命的」とも言えます。

母国語の音素数が習得中の言語の音素数より多い場合、リスニングやスピーキングの難易度はぐっと低くなります。そしてその違いは学習スピードにも大きな違いを生み出します。

例えば、2人の生徒がいたとします。

1人はデンマーク人。
もう1人は日本人。

どちらも英語のド素人で完全に同じレベルだとします。

そして先生が2人に、「How are you feeling today?」

と聞いたとします。

すると、この言葉が2人にどう聞こえたか?
ということが2人の返答に違いをもたらします。

デンマーク人の場合
「ハウ・アー・ユー・フィーリング・トゥデイ??先生コレどういう意味ですか?」

日本人の場合
「もう一度お願いします。」

ちょっと大げさな例えだとは思いますが、遠からずだと思います。

音が聞こえないことにはオウム返しもできないのです。
したとしても音が違い過ぎてオウム返しに聞こえない場合もあります。(自身の経験から言ってます)

なので多くの日本人の人にとって、英語を学ぶことは2度手間に近い感じなのです。よって学習スピードも変わってくる。

日本人の場合
まずは聞き取る所から、そして聞き取れたら、今度は意味を調べる。

デンマーク人の場合
聞き取った言葉を調べる。

同じレベルで同じ時期に勉強し始め、同じ量の勉強しても、デンマーク人は1年もすれば上級者レベルになってます。しかし日本人はまだ中の下をウロウロしている。もちろんこれには個人差がありますが、平均的に見てこんな感じだと思います。

この音の違いに加え、ボキャブラリーにも似ている言葉がたくさんあったり、文法も似ていたりすると、更に2人の習得スピードには差が開きます。そしてそれはどちらが優れている・劣っているということでもありません。

ただ単に有利か不利かというだけのことです。もはや科学の問題です。

韓国語は学びやすい

韓国語は文法も日本語と似てますし、単語も似ている言葉や、音が同じ言葉もたくさんあります。

この場合、先と同じ実験をやるとどうなるか?

デンマーク人を再び連れてきましょう。

そして「今度は韓国語を一緒に勉強しよう!」と持ち掛けます。

再度2人はゼロから韓国語を勉強し始めます。

そうするとどうでしょう?1年後には立場は逆転しているハズです。

それだけ文法が似てたり、共通の言葉・文化などがあると言語も学びやすくなるのです。

他にもスペイン語は比較的、日本人の人にとって学びやすい言語だと聞きます。文法には違いはあれど、ローマ字読みで通じたりするところからも言語習得の道に入りやすいのがきっかけになっているのかもしれません。

韓国語、スペイン語の音素数を見て見ましょう。

韓国語      母音・ 7 子音・19    計 26
スペイン語    母音・ 5 子音・19    計 24

これは偶然ではないと思います。

言語は聞いて喋ってナンボのものです。それができないと言語を学んでいても楽しくないですし、逆に文法が多少雑でも話ができはじめると楽しくなって、言語の上達も早くなります。

なのでこの音に関すること、聞き取れるか聞き取れないか?ということは、言語を学ぶ上でとても重要なことなのです。

昔、生まれたての赤ちゃんの難聴をチェックするお仕事をしていた人とお話をした時にこんなことを聞きました。

赤ちゃんは生まれた時はどんな音でも聞き取れる力をもっています。
でも親や周りが喋っている言語に存在する音に集中するようになり、
それ以外の「必要でない音」を聞き取る能力を捨ててしまうんです。

そしてその一度捨ててしまったものを再び自分のものにするのはかなりの努力がいる、もしくは二度と手に入らない。ようなのです。

その必要でない音を捨ててしまうのが、何時で、この人が言っていることがどのくらい正しいかはわかりませんが、そう言われた時にはひどく納得しました。

ボクは今でもLとRに関しては意識していないと怪しい時があります。知っている単語だから聞き分けられている。という要素も大きいです。全く知らない単語でその単語のなかにどちらかの音があって、「さぁ、どっち?」と言われたら100%正解できる自信はないです。

おわりに。

長々と書いてきましたが、なぜ我々日本人が英語習得に苦戦するかわかって頂けたでしょうか? もちろん教育方法や教師、生活環境・歴史、地理も大きく影響はしているのですが、この音に関することはそれ以前の問題なので、その事実を知っていただければ・・・と思った次第でした。

そんなハンデを背負った状態に、役に立たないカリキュラムやイマイチな先生に教えられ、必要性も感じられない中勉強しても上達するわけがありません。無理ゲーなのです。設定が間違ってます。

もちろん、日本にはたくさんの英語をマスターした人たちがいます。自分で努力をして勉強すればできないことはないのです。ただ、英語はボクたちにとって効率のいい言語ではないこと、デンマーク人やノルウェー人の5倍は必死になって勉強しないと同じスピードでレベルアップできないことを初めから知っておいて欲しいと切実に思っています。



書くことを仕事にするための励みになります。