見出し画像

ものを分けてみる【IB・MYP・Science】ものシリーズPart6

長かったProvocationを経て・・・
実践的な調査活動へと突入していきました。

今回はそんな調査活動に関する実践の入り口のお話です。


4−1 素材マスターになろう

生活を構成している”もの”を分解して、ある程度”もの”への感度が
高まったところでこんな問いかけをしました。

4-1.1 ”もの”の素材の質的なちがいって何?

生徒は、ポカンでした。
質的と言われましても・・・。そもそも質的ってなんやねん、と。
ということで、ここで天下のEテレ。公立時代も散々お世話になりましたが、相変わらずここでも使います。アクティブ10の物質の性質という動画を見てもらうことにしました。ただし、公立時代の使い方とは全く違う動画の使い方をしていました。

動画を見てもらった後、公立のころであれば先生である僕が、全ての重要事項を押さえます。
「質とはね、ウンタラカンタラ。。。」
「どんな方法でその質を見るのかというとね、ウンタラカンタラ。。。」
みたいな感じです。
ただし、今回は次のように課題を出しました。
「質的に見る」とは、何を見るのか。
「質的に見る」とは、何をするのか。
(→どんな方法を使うのか、という言葉の方が良かったかな。。。)
「質的に見る」ために、どう見るのか。

(→どんな見方で、という言葉の方が良k。。。)
以上のことを、スライド1枚に動画内の映像を事実としてまとめなさい。
ってな具合です。

なかなか面白いもので、同じ動画を見ているにも関わらず、
生徒がつくってくるスライドは形式も、事実として使用する情報も
千差万別でした。

生徒作成スライド①
生徒作成スライド②
生徒作成スライド③
生徒作成スライド④
生徒作成スライド⑤

おんもしろいです・・・!!!
本当に興味深い。
全く同じ映像を見ているにも関わらず、
全く同じ問いをしているにも関わらず、かくも解釈に違いがあるんです

ここで大切なことは、
教師自身が重要だと思っている重要事項の伝達、なのではなく
この解釈の違いを認識すること。そして、
解釈の違いがあるからこそ、この学校という場所にわざわざ集まって、
自分の考えを伝え、相手の考えを受け取り、
互いの認識を変容しに来ているのだということ。これこそが、
本当に学習してほしい非常に重要なプロセスであり、
このプロセスの気持ち良ささえ残ってしまえば、
(僕の尊敬する師は、これをKouyado-fu Theoryと名付けている)
おそらく今後どんな文脈にも転移していける人となっていくのだろう
と思います。

作ってきたスライドをお互いに見合い、フィードバックを与え合う時間を
とって次のプロジェクトへと移りました。

4-1.2 素材マスターへの道、スタート

ものを質的にみるということについて、フワッと押さえたのちに
(具体的なスキルをフワッと抑えることに、懐疑的でないわけではない)
次なる問いかけを行いました。

この素材は〇〇だと言い切れる科学的な条件とは何か?

この問いだけではうまく伝わらなかったので、プロジェクトを簡単に説明すると、以下のようになります。
質的に調べてみたい素材を一つ選び、期間内にその素材の質的条件をリサーチすること。
とまあ、こんな具合です。

このころの僕はまだリサーチに関する解像度が低く、
リサーチによって得られることが主に2つあるのだということを認識しておりませんでした。それはまた追々書きます。

とにもかくにも、
生徒たちは早速自分の担当素材を決め、リサーチを進めていくことに。
ここで重要だと生徒に伝えたのは、実験による実体験です。
つまり、ネットに散見される第3者から得られた情報ではなく、
自分の目の前で起こることを重要視しようということです。
実験をするとなると、大切なのは実験を如何に計画するのかということ。
このUnitでは大きく2つのスキルについて訓練しました。
①仮説をたてること
②条件制御をおこなうこと

ちょいと長くなってきたので、、次回!!

ちょこっとメモ:学校ってなんだろう。

公立時代、ずっと悩んでいました。
僕が彼らの前に立っている意味ってなんだろう。わからない。
なんで、わざわざ彼らは理科室にいる僕のところへくるのだろう。
塾などで内容を先取りしていない、ある意味で純朴な状態で
学校に来ているのならまだしも、何をするのか先取りしている人たちは、
もはや何のために学校に来ているのかもよくわからないのでは?
僕が教えるよりも、ずっとずっと伝え方の上手な塾の先生がいるわけだし、
なんなら今じゃYoutuberさんの方がよっぽど面白く伝えられる方もいるのではなかろうか。
僕はみんなの前で実験を見せるのが苦手だ。極度のあがり症で。
だから僕の実験は多くの場合、うまく見せられない。
予備実験をする時間もないし。すると、こう思う。
でんじろう先生のYoutube見てれば、いいんではないかと。

で、また戻ってくる。学校ってなんなんだ?
僕のいる意味ってなんなんだ?
こうして、授業ではアイデンティティをうまく見出すことができず、
学級経営や行事に熱量を極振りする、僕の中での典型的な教師へと
僕はなっていったのでした。
学校の中で最も多い時間って、授業なのにね。ちゃんちゃん。

この記事が参加している募集

探究学習がすき

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?