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他人は無責任?「おとなしいだけで特に問題はありません」

核家族化が進み、多くの母親が子育ての知識や子どもの発達過程をよく知らないまま子育てをしています。いきなり「ぶっつけ本番」で、子育てがうまくいかないのも当然だといえます。

なかでも第一子が発達障害の場合には、ひとりで子育てをしているお母さんは比較する対象がないため、よほどの問題行動がない限り、そのことに気づくことすら難しいといえるでしょう。

女の子の場合には、幼いうちはおとなしくて言葉も出ていることが多いので、特にわかりづらいのではないかと思います。

家の中での様子を見ると、行動の切り替えが悪い、こだわりも強いなど、お母さんは「手のかかる子」だと思っていても、園や学校で先生に話を聞くと、「おとなしいだけで特に問題ありません」といわれてしまうことがあります。

言葉が出ていても会話にならず、一方的に自分の興味のあることばかり話していても、幼い子にはよく見られることなので気づいてもらいにくいのです。

この時点で、両者のあいだには大きな認識のズレが生じてしまいます。

家では手がかかるので、親はつい心配になって手や口を出します。ところが、園や学校からは、「心配しすぎ」「過保護ですね」などといわれてしまうこともあります。支援をお願いすると、「面倒な親」などといわれてしまうこともよくあるのです。

一方で、まったく逆の行動をとる子もいます。家ではおとなしく、外では行動が激しくトラブルを起こす。すると、「親がちゃんと見ていないからだ」、「ほったからしにしている」などと周囲から責められることになります。

他人は無責任にものをいう

「過保護」だとか「ほったらかし」だとか、周囲からの批判にはあまり耳を貸さないほうがよいと私は思います。周囲の人には責任がなく、いいたいことをいえるので、それに振り回されると余計に疲れてしまいます。

発達障害の子どもの子育てには、とてもエネルギーが必要です。無責任な人たちからの批判に対してエネルギーを使うなんてもったいない。たとえ「ママ友」から孤立しても、生活に対する影響はそれほどありません。

定型発達の保護者が持っているのは定型発達の子どもの情報だけだからです。精神的な負担が大きいと感じるのなら、つながりがなくてもそれほど大きな損失はないので無理をしないことです。

それよりも、私は「車の運転」をお勧めしています。活動範囲を広げられるし、行きづまってしまったときには、逃げ出せる場所を作ることもできるからです。

発達障害の女の子は、全体の2割と少なく、仲間を見つけるのも簡単なことではありません。親子ともども「女の子の仲間」を見つけておくことは、心の健康を保つ上でもとても重要です。

定型発達の子と比較して落ち込むよりも、仲間と一緒に社会へ理解を広めていくほうがずっと建設的だし健康的です。

発達障害の理解が広まっていないのだから、さらに少数派の女の子の問題には正直なかなか支援の手がまわってきません。それなのにひとりで戦うなんてリスクが大きすぎます。

できるだけ女の子の仲間を多く見つけ、サポートし合えるように活動しましょう。それには「ネットと車がとても役立つ」というのが、私の経験からのアドバイスです。

―『発達障害の女の子のお母さんが、早めに知っておきたい「47のルール」』ルール11 ママにも必要な仲間づくり  より

◆本書の紹介◆
発達障害の女の子の保護者や支援者が気をつけるべき点や、
知っておくべき情報などを全6章、「47のルール」としてわかりやすくまとめたのが本書です。

1章 診断や医療機関の上手な使い方について
2章 親としての心構え、親のとるべき行動
3章 日常生活での支援と療育について
4章 健やかな生活を送るための学校選び
5章 女の子に必要な「学び」-思春期と性教育
6章 療育支援Q&A
   「何度注意してもやめてくれません?」
   「プライドが高くて注意するとパニックになります」
   「新しい場所や新しいことが苦手です」など。

豊富な経験や、専門家からのアドバイスをもとに著者が作りあげてきた「発達障害の女の子たちが幸せに生きていくためのノウハウ」です。
ぜひご活用ください。

―藤原美保(Fujiwara Miho)

藤原さん250

健康運動指導士、介護福祉士。株式会社スプレンドーレ代表。エアロビクス、ピラティス、ヨガインストラクター等フィットネスのインストラクターとしてスポーツクラブ、スポーツセンターでクラスを担当。発達障害のお子さんの運動指導の担当をきっかけに、彼らの身体使いの不器用さを目のあたりにし、何か手助けができないかと、感覚統合やコーディネーショントレーニングを学ぶ。その後、親の会から姿勢矯正指導を依頼され、定期的にクラスを開催。周囲の助けを受け、放課後等デイサービス施設「ルーチェ」を愛知県名古屋市に立ち上げる。

100組以上の発達障害の女の子とその保護者をサポートしてきた経験を踏まえ、実践の場からの声を届けるために、『発達障害の女の子のお母さんが、早めに知っておきたい「47のルール」』を執筆。


想いを込めて作った書籍を応援してもらうことに繋がり、大変嬉しく思います。 また本が売れなくなっているというこの時代に、少しでも皆様にお伝えしたいという気持ちの糧になります。