見出し画像

【出版のミライ⑪】~他業種に学ぶ出版業界3つの改善点

【エッセンシャル出版社の考える「出版のミライ」⑪】

音楽業界の構造と出版業界の構造。似ているようで出版業界の方が「配本」の仕組みといい、「収益幅・収益構造」といい、課題点が多いように思いました。その辺りを他業種に学びつつ、考えていきたいと思います。

こんにちは!エッセンシャル出版社の小林です。

私が、”本づくり”をしていく上で、日々、どのようなことを考え、どのような目的で本をつくっているか、記事風に残していきたいと思います。

【プロフィール】

大学卒業後、年中~小学校6年生までの子を対象とした塾、花まる学習会に入社。将来メシが食える大人になること、魅力的な人になるということを教育理念の事業で、授業や野外体験の引率などを行う。授業など子どもたちに関わる傍ら、広報部、講演会事業、ブロック責任者などあらゆる業務にも携わる。現在はエッセンシャル出版社で、本づくり、広報など、出版業に関わる全てに携わる。
エッセンシャル出版社: https://www.essential-p.com/

毎回、音声で配信している「ミライ会議」、今回は、「他業種に学ぶ出版のミライ」というテーマでした。

最近、「ミライ会議」内では、「構造」の把握について、よく話題になっているのですが、いくつかの切り口を図にしてみると、こういうイメージです。

画像1

画像2

出版業界は流通面での課題を抱える一方、収益幅としての課題もあるということが見えてきました。

今は、コロナの影響で様々な事業が転換を求められている状況の中で、他業種の動きも参考にしながら、出版社の可能性について、検討していきたいと思います。

一つは、旅行業の取り組みです。大手旅行代理店のHISは、海外にも支店をたくさん持っているのですが、海外旅行は今、できないため、事業の転換が求められています。そこで、タイの事業所では、自分たちがこれまでに培ってきたリソースをうまく活用し、アイリスオーヤマと組む策を始め、成果を出しているそうです。成功しているそうです。

どのような内容かというと、HISが持っているリソースは、
□海外旅行をする中流階級の顧客リスト
□使われることがほとんどなくなった店舗
です。

これを店舗を持たないアイリスオーヤマという生活用品の企画、製造、販売会社と組み、HISのタイの中流階級のお客様の顧客リストを活用し、アイリスオーヤマの商品・サービスの体験会をHISの店舗で行い、お互いにWINを得たそうです。

このように、異業種で組み、お互いに利点を生かし合うというのが一つの視点です。

もう一つの視点としては、出版社が提供する価値を「本」という単発の物・コンテンツを販売するというサービスから、本を媒介・入り口・ツールとして活用しながら、「日々、日常に落とし込めるサービスを提供する」という発想への転換・変更です。

YouTubeでは、「食べる系の動画」の再生回数が高いという傾向があるようです。要するに、日々「食べない人はいない」ので、誰もが行う「食べる」というテーマについての動画は、「何かを得る」ということはなくとも、思わず再生してしまいやすいということなのではないでしょうか。

ここからヒントを得て、「非日常」とか「特別な価値」の提供こそが本の真価であると思いがちな発想にとらわれず、「日常にあること」「ありふれた価値」といった視点から、価値提供を考えてみるのも、面白いかなと思いました。

ある書店さんの例ですが、以前、八百屋さん的な発想を取り入れ、毎日新鮮な素材(新刊)が店先に来るように、店内のラインナップを、日々入れ替えながら並べるように工夫し、その周りに、関連するちょっと古い素材(旧刊)も一緒に、ついでに手にとれるように提供していくという、八百屋さんのようなスタイルで運営している書店さんがあったそうです。これも、八百屋という異業種を参考に、個性的な書店づくりをしているという点でヒントになりそうです。

(まとめ)

画像3

出版業界は、流通の構造変更だけでなく、収益幅についても構造改革が必要だということが見えてきました。

コロナ禍でいろいろな業種が、事業の改革について考えているので、それらの事例を参考に考えると、

1、異業種と組み、お互いの負の要素を補い合う

2、単発の本による特別な価値の提供だけではなく、日常の中に落とし込んだ継続的なサービスの提供

3、似たような形式の異業種を参考にし、展開・運営・販売の方法を再考する

この3点をもとに、今後も、出版のミライについて、考えていきたいと思います。


想いを込めて作った書籍を応援してもらうことに繋がり、大変嬉しく思います。 また本が売れなくなっているというこの時代に、少しでも皆様にお伝えしたいという気持ちの糧になります。