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博士後期課程に進む方へ

 修士論文の提出期限が近づき、博士後期課程に進むか否かの意思決定を迫られる時期になりました。後期課程に進むと決めた方は、自覚はあまりないかもしれませんが、勇気のある決定をされたと思います。

 私も後期課程に進むことを選び、最近修了しました。在学中に心がけたことを書き留めておきたいと思います。

常に複数の研究プロジェクトを持つ

 博士後期課程に進む場合、査読付き学術雑誌に論文を掲載していく必要があります。これは場合によっては年単位の時間を要する大変な作業です。このとき、研究プロジェクトが一つしかないと「この論文がrejectされたら・・・」という思いに駆られます。この思考は作業効率を著しく落とすかもしれません。

 そこで、テキストの演習問題のような簡易なテーマでも構いませんので、常に複数の研究プロジェクトを持つことをお勧めします。それによって「この論文がrejectされても、あの論文がある」と思えるようになり、各種作業にも前向きに取り組むことができるでしょう。

英語圏の人を観光案内できる程度の英語力を持つ

 博士前期課程の主戦場は学内ですが、後期課程の主戦場は学外です。学会発表や論文投稿など、英語によるコミュニケーションを求められる場面もあるでしょう。これは多くの大学院入試で英語能力を測る理由でもあります。

 具体的にどれほどの水準の英語力が必要でしょうか。個人的には英語圏の人から「今度日本に行くので、観光の案内をして欲しい」と頼まれて快諾できる水準だと思います。では、どうすればその水準の英語力が手に入るかが気になるところですが、それは私が聞きたいくらいです。

非常勤を始めるのは改定要求を受けてから

 博士課程に進んでしばらくすると非常勤講師の依頼を受けることがあります。大学や専門学校、資格試験の予備校など、意外と多くの雇用機会があります。どの非常勤講師の仕事も貴重な機会です。特に受講者に何かを説明して納得させるのは、学会報告の良い練習になります。

 ただし、非常勤を始めるのは少なくとも査読付き学術雑誌から改定要求を受けてからが良いと思います。講義の準備は想像以上に時間のかかる作業です。査読付き学術雑誌に論文が掲載される目処がついてない時点では、あまりに犠牲にされる時間が長すぎると思います。

生活を成り立たせるための「奥の手」を持つ

 博士後期課程の期間は、研究に多くの時間をさくことができる貴重な時間であるとよく言われます。実際、時間が経つにつれて徐々にそれが許されなくなります。ぜひ有意義に過ごしていただきたいと思います。

 他方、それは大学院生の立場でありながら一定の収入を確保できることが前提にあります。その前提を満たされない場合に備えて、親族からの理解や大学などの関係機関からの支援、いざというときに仕事に就ける資格や経験など、最低限の生活を成り立たせるための「奥の手」は常に持っておいたほうが良いです。



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